マンションの管理費を滞納したらどうなる?リスクと対処法を徹底解説
更新日:
公開日:2018.10.2
家を買えばローンを、賃貸であれば家賃をオーナーに支払わなければなりません。
そしてこれがマンションであれば、ローンや家賃とは別に「マンション管理費」も毎月支払わなければなりません。
しかし、このマンション管理費を滞納してしまう人が少なからずいます。
それはローンや家賃は払わなければ家を失うリスクがあるが、マンション管理費は払う理由がよくわからないためでしょう。
しかし、マンションの管理費を滞納すると後々面倒なことになるかもしれません。
そこで今回は管理費の滞納でどのようなリスクがあるのか、またどうしても払えない時にはどのように対処すればいいのか解説していきます。
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滞納しがち?マンションの管理費(共益費)とは

管理費とは、一般的にはマンションを維持管理して行くために必要な費用のことで、以下のような使われ方をします。
- エントランスや廊下など共用部分の電気代や電球交換費用
- 定期清掃費用
- エレベーターの維持管理・点検費用
- その他共用部分で発生する費用
このようにマンションの運営管理のために必要となる費用で、共益費という言われ方をする場合もあります。
もしもこの管理費がなければ、マンションの掃除や共用部分の電気の交換なども自分たちでやらなければならないかもしれません。
同じマンションでも管理費が違う!?
同じマンションならば管理費は同じと思うかもしれませんが、実際には部屋ごとに管理費が違ったりします。それは以下の理由によるものです。
- 部屋の床面積の広さによって違う
- 入居時期によって増減する
一般的には部屋の床面積に応じて管理費が変わります。
同じマンション内でも広ければ管理費は高くなり、狭ければ管理費は安くなります。
また、同じ広さでも管理費が違う場合がありますが、これは入居時期によるものが大きいかもしれません。
繁忙期にはすぐに部屋は埋まるかもしれませんが、閑散期ではなかなか空室が埋まりません。
その際に大家さんや管理会社が管理費を安くしているということもあります。
管理費とは違う修繕積立金
分譲マンションでは管理費とは別に修繕積立金を支払わなければなりません。
修繕積立金とは、マンションの壁や共有部分の一時的な修繕や10~15年に1度程度行われる「大規模修繕」に必要な費用の積立金のことです。
修繕積立金はマンションごとに作成された「長期修繕計画」に基づいて定められており、30年程度にわたる資産を出しています。
修繕積立金を積み立てることで、大規模修繕の際の突発的な出費を防ぐことができます。
管理費の支払いは法律で義務化されている
マンションの管理費は、区分所有法という法律で支払いが義務化されています。法律によって定められているだけに、滞納してしまうと後々面倒なことにもなりかねません。
マンションの価格や面積によって違いはありますが、全国のマンション管理費の平均価格はおよそ3万円程です。
3万円を半年滞納すると18万円、1年間滞納すると36万円とかなり高額になります。
管理費や修繕積立金を滞納している人は以外に多い!?
住人全員に支払い義務がある管理費や修繕積立金ですが、滞納している人が意外にも多くいます。国土交通省の「平成25年度マンション総合調査」によると、管理費・修繕積立金を4ヶ月以上滞納している住戸がある管理組合は22.7%、1年以上は15.9%となっています。
滞納者の割合は全住戸の1~2%以下におさまっています。
しかし、たとえ少数であっても滞納者がいれば管理水準の低下に繋がりかねません。また、滞納することで滞納した人にもリスクが生じます。
次の章では、管理費を滞納することによるリスクについて解説していきます。
【裁判?】マンションの管理費を滞納するとどうなるの?

マンション管理費を滞納する人は少なからずいるようですが、では管理費を滞納するとどのようなことが起こるのでしょうか。詳しくみていきましょう。
管理費の滞納で遅延損害金が発生
クレジットカードやカードローンの支払いが遅れると遅延損害金が発生します。
それと同じように、管理費を滞納しても遅延損害金が発生します。金利はマンションの管理会社によって異なりますが、最低でも14%以上の金利が発生する可能性が高いです。
管理費を滞納すれば、滞納した管理費に加えこの遅延損害金を支払わなければなりません。
そして前述したように、管理費の支払いは法律によって定められているので避けることはできません。
管理費を滞納した場合の起こりうるリスク
管理費を滞納すれば遅延損害金を支払わなければなりませんが、それ以外にも発生するリスクがあります。どのようなリスクがあるのか、滞納のレベル別にみていきましょう。
滞納から1ヶ月程度
滞納の期間が1ヶ月程度であれば手違いの範疇で見逃されることが多いでしょう。
遅延損害金の支払いも免除される場合が多いようです。意図的でなければすぐに支払いを済ませましょう。
滞納から2,3ヶ月後
マンション管理費の支払いが2,3ヶ月滞るとマンションの管理会社から督促状が届いたり、電話・自宅訪問などの催促が来るようになります。
この場合でも支払いができない理由をきちんと伝えることができれば猶予期間を設けてくれる場合が多いです。
滞納額が10万円を超えると返済計画書を提出
マンションの管理会社によってタイミングは異なりますが、おおよそ滞納額が10万円を超えると「返済計画書の提出」を求められるようになります。
10万円の滞納ということは、管理費が3万円で4ヶ月程度滞納したということになります。
滞納が50万円を超えると裁判の可能性も
返済計画書を提出したにも関わらず、適当な理由もなくマンション管理費を滞納した場合には管理会社から提訴され、裁判となる可能性もあります。
その目安は滞納額がおおよそ50万円程度に達したくらいです。
マンション管理費の支払いは法律で義務化されているので、裁判では滞納者に勝ち目はほとんどありません。
裁判後も支払いを拒み続ければ、最悪の場合強制執行などの法的措置が取られてしまいます。
強制執行となれば、最終的に以下のようなリスクが起こりえます。
- 財産・給与の差し押さえ
- マンションが競売にかけられる
- マンションの強制契約解除(強制退去)
競売が始まってしまえば、競売開始決定通知が届いてから約半年ほどで契約解除(強制退去)となります。
競売が決定してしまえば管理費を払ってもマンションは返ってきません。しかし、それでも滞納した管理費の支払い義務があります。
その後もマンション管理費の滞納分を払っていないようなら、財産や給与の差し押さえとなる可能性もあります。
そうなれば滞納額は一括で支払わなければなりません。
管理費を滞納しただけでせっかく購入したマンションを失いたくはないですよね。
しかし、それでも支払いができないこともあるでしょう。
次の章では、どうしても支払えない時の対処法について解説していきます。
マンションの管理費、滞納中だけど支払えない!解決法は?

マンションの管理費を滞納すると、最悪の場合裁判になり家を失う可能性があることはわかりました。
しかし、そうは言っても本当に払う余裕がない人はどのようにすればいいのでしょうか。
マンションの管理費を払いたくても払えない場合の解決方法には、以下のようなものがあります。
- 管理会社に相談する
- より低金利のローンを検討する
- マンションの任意売却を検討
それぞれの方法について詳しくみていきましょう。
管理会社に相談する
まずは管理会社に相談してみましょう。
その際に大事なことは、払えないとわかった時点ですぐに自分から相談することです。
滞納する前に連絡を入れたほうが印象ははるかに良くなります。
督促状などが届いてからでは、連絡するのが当たり前になってしまいます。
事前に管理会社に「管理費の支払いが難しい」旨の相談をしておけば、支払い期限を延長してもらえる可能性が高くなります。
また、管理会社によっては分割納付の提案をしてくれる場合もあります。払えないときはまず相談しましょう。
より低金利のローンを検討する
マンション管理費の滞納による遅延損害金は年率で概ね14%以上です。
それならば、より金利の低い銀行カードローンなどを利用して返済してみてはいかがでしょうか。
大手都市銀行カードローンの金利は以下の通りです。
金融機関 | 金利 |
---|---|
みずほ銀行 | 2.0%~14.0% |
三井住友銀行 | 4.0%~14.5% |
三菱UFJ銀行 | 1.8%~14.6% |
金利は借入限度額によって変動しますが、上限金利でも14.0%~14.6%と管理費滞納分の遅延損害金と同水準であることがわかります。
借入限度額を上げることができれば、金利をより低水準に抑えることができ滞納者にとってメリットがあります。
また、金利以外のメリットとしてカードローンでは「返済方法を柔軟に対応してくれる」というものがあります。
カードローンでは月々の返済額が低めに設定されているケースが多く、支払いが楽になります。
また、繰上げ返済や一括返済にも柔軟に対応してくれます。
マンションの任意売却を検討
滞納額が10万円を超えてくればマンションの任意売却を検討し始めましょう。
せっかく手に入れたマンションを手放すのは抵抗があるかもしれませんが、このまま滞納を続ければ裁判の可能性も出てきます。
裁判になれば、以下のような強制執行が行われる可能性があります。
- マンションを競売にかけられる
- 財産を差し押さえられる
- 給料を差し押さえられる
上記のようになり、全てを失いたくはないですよね。
もしマンションの任意売却を検討するのであれば早めにしましょう。
管理費などを滞納したままマンションを売却すると、そのマンションを新しく買った住人にこれまでの滞納した分の管理費が引き継がれます。
滞納額が増えれば購入希望者が見つかりにくくなってしまいます。
マンションの任意売却は最後の手段ではありますが、今後も管理費を払える見込みがないのであれば検討しましょう。
まとめ

マンションの管理費の滞納について、そのリスクと対処法を解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
管理費については以下のような特徴があります。
- 管理費とはマンションの共用部分における維持管理に使われる
- マンションの管理費の支払いは法律で義務化されており拒否できない
- 管理費は同じマンション内でも部屋の広さや入居時期によって違う
- 1年以上管理費を滞納している人がいるマンション管理組合は15.9%にものぼる
そして、マンション管理費の滞納を続ければ次のような事態が起こりえます。
- マンションの管理費を滞納すると遅延損害金が発生する
- 管理費を2,3ヶ月滞納すると管理会社から督促状が届くようになる
- 滞納額が10万円を超えると「返済計画書」の提出が必要になってくる
- 滞納額が50万円を超えると裁判の可能性があり、最悪の場合強制退去になる
もしもマンションの管理費を払えそうにない、滞納してしまったという場合の対策法は以下のようなものがあります。
- 管理費の支払いが難しいとわかった時点で管理会社に相談する
- 少額であれば、より金利の低い銀行カードローンで借入れして管理費の返済を考える
- 今後も支払いが難しいようであれば、マンションの任意売却を検討する
マンションに住む以上、家賃やローン、管理費は毎月きちんと支払わないといけません。
共有玄関や廊下、エレベーター、駐車場の状態を維持・改善し、快適に暮らすためにも管理費は大切です。
毎月かかる管理費はマンションによって異なりますが、大きな問題にならないためにも収入と支出の管理をキチンと行こない、しっかりと支払う事を心がけましょう。
※記載されている内容は2023年4月現在のものです。