全国銀行個人信用情報センター(JBA・KSC)とは?どんな役割をしているの?
更新日:
公開日:2019.1.21
全国銀行個人信用情報センターは、銀行やその関連会社でなければ加盟できない信用情報機関です。
銀行でお金を借りたことがないのに、KSCで情報が管理されている、なんてこともあるのです。
他の信用情報機関には見られない特徴を持つKSCが、社会的にどのような役割を果たしているのか一緒に調べてみましょう。
この記事の目次
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KSC(全国銀行個人信用情報センター)って何?

日本には現在3つの信用情報機関がありますが、KSC、JBAなどといわれる全国銀行個人情報センターとはいったいどのような信用情報機関なのでしょうか?
CICやJICCなど、他の信用情報機関とどのような違いがあるのでしょうか?
KSCはJBA(全国銀行協会)が運営する信用情報機関
銀行系の信用情報機関としてよく耳にする略称としてはKSC、JBAがありますが、このKSCとJBA、その違いがよく分からないという人もいるでしょう。
- JBA…全国銀行協会
- KSC…全国銀行個人信用情報センター
これがJBAとKSCの正式名称です。
全国銀行個人信用情報センター(KSC)は、全国銀行協会(JBA)が運営している信用情報機関ですので、結論としてはKSCとJBAとで特に大きな違いがあるというわけではないのです。
KSCはどのような役割を果たしている?
KSCでは、クレジットカードや各種ローンに関する個人情報を信用情報として収集・登録し、加盟会員が審査を行う際には、与信判断を下すための判断材料としてその信用情報を提供しています。
つまり、申込者の信用力をもとに融資を行う金融サービスである消費者信用取引がスムーズに行われるための手助けをするのがKSCの役割だといえるでしょう。
KSCの主な会員は銀行!加盟資格のハードルが高いのが特徴

KSCに加盟しているのは主に銀行が中心だといいますが、他にはどのような金融機関が加盟しているのでしょうか?
会員になれる資格のハードルが高い
全国銀行協会が運営しているということもあり、KSCは銀行や保証協会とそれに関連する金融機関だけが加盟できるしくみになっています。
- KSCに加盟できるのは以下の金融機関などに限定されています。
- 銀行または銀行と同視される金融機関(信金、農協など)
- 政府関係金融機関など
- 信用保証協会など
- 銀行から推薦を受けたクレジットカード会社や保証会社など
例えば、消費者信用取引を業務としていればCICやJICCには加盟できますが、ただ消費者信用取引を業務としているだけではKSCの加盟会員にはなれないのですね。
そう考えると、他の信用情報機関と比べてKSCは会員資格のハードルが高めだといえるでしょう。
クレジットカード会社の加盟は意外と少ない
KSCの加盟会社は銀行とその関連会社が中心なので、銀行の子会社のクレジットカード会社がKSCに加盟しているというケースはよく見られます。
しかし、大手のクレジットカード会社ではアメリカン・エキスプレスがKSCに加盟しているくらいで、それ以外にKSCに加盟しているクレジットカード会社はほとんどありません。
消費者金融は加盟していない
ノンバンクはKSCにはほとんど加盟しておらず、アコムやプロミスといった大手消費者金融をはじめ、中小消費者金融に至るまでKSCに加盟している消費者金融はありません。
こうしてあらためてみてみると、同じ信用情報機関とはいってもCICやJICCと比べてKSCが排他的で少々特殊な立場にあることがよく分かりますね。
どのような業者がKSCの加盟会員になっているのか
加盟会員になるための基準が厳しいKSCには、どのような銀行や機関が加盟しているのでしょうか?
【銀行】
- みずほ銀行
- 三菱UFJ銀行
- 三井住友銀行
- りそな銀行
- 横浜銀行
- 千葉銀行
- 静岡銀行
KSCは全国銀行協会が運営していますので、もちろんここに挙げた都銀・地銀以外の信金や信組、農協なども加盟しています。
【保証会社】
- みずほ信用保証
- 三菱UFJ住宅ローン保証
- りそな保証
- 横浜信用保証
- ちばぎん保証
- 静銀信用保証
【クレジットカード会社】
- りそなカード
- 秋田ジェーシービーカード
- 鹿児島カード
- ひろぎんカードサービス
【独立行政法人】
- 日本学生支援機構
KSCに加盟している保証会社やクレジットカード会社は、やはり銀行系の企業が多く納得ですが、日本学生支援機構がKSCに加盟しているのはかなり意外だといえますね。
日本最大の奨学金団体である日本学生支援機構がKSCに加盟している理由については詳しく後述します。
KSCに登録されている情報はCICやJICCの登録情報とは異なる

KSCは、CICやJICCとは少々異なるいかにも銀行系らしい情報も信用情報に登録しています。
その中でもカードローンやクレジットカードの審査の際に影響がありそうな情報について解説をします。
KSCは不渡り情報・官報情報を登録している
KSCには、不渡り情報や官報情報など、他の信用情報機関では取り扱っていない情報も登録されています。
不渡り情報
不渡りとは、主に企業が小切手や手形を使用した際に、約束の日に銀行の預金口座が残高不足になって支払いができない状態になることをいいます。
銀行にとって、不渡りに関する情報は取引を停止するかどうかを判断するための重要なニュースなので、KSCでは不渡り情報を「共有すべきネガティブな情報」として信用情報に登録しています。
ただ、不渡り情報は主に法人に関する情報ですから、個人の場合は特に気にすることはないでしょう。
官報情報
官報とは、法律や政令・条約の公布など、国からの報告や各種資料を公表する新聞のようなものを指します。
官報には裁判所が行う各種手続きなどが公告として掲載されますから、裁判所を通して個人再生や自己破産の手続きを行った場合には、官報に名前や住所が掲載されてしまいます。
つまり、信用情報に官報情報の記載があれば、ブラックリスト入りしているということなのですね。
KSCはこの官報を確認していて、破産情報があれば信用情報に「官報情報」として登録しているのです。
KSCで登録される官報情報はCRIN(クリン)上で共有されていない
KSC、CIC、JICCの3つの信用情報機関は自主的に情報交流を行っています
それが情報交流ネットワークCRIN(クリン)です
CRINでは、延滞情報など主にネガティブな情報を共有し合っています。
ただ、3つの信用情報機関がネガティブな情報をすべて共有していると思っている人も多いようですが、CRINではネガティブな情報全てを共有しているわけではありません。
信用情報機関によってそれぞれ情報を登録する基準が異なるので、実はCRINではごく限られた情報しか共有していないといえます。
KSCが登録している官報情報もそうした情報の1つだといえるでしょう。
KSCは個人再生や自己破産の情報を登録していますが、この情報はCRINでは共有されていません。
ですから、正確な情報を得たい場合には、面倒でもKSC、CIC、JICC全ての信用情報機関に開示請求をするのがよいでしょう。
奨学金の返済に注意!日本学生支援機構はKSCに加盟している
奨学金の返済を延滞してブラックリスト入りしてしまう人が急増しているといいます。
しかし、なぜ奨学金の返済遅れが原因でブラックリスト入りしてしまうのでしょうか?
奨学金を滞納するとKSCに事故情報が登録される!
実は、日本最大の奨学金団体である日本学生支援機構は2008年にKSCに加盟したため、奨学金の返済を3ヶ月以上滞納してしまうと、KSCに延滞情報が登録されてしまいます。
長年の不景気で奨学金を返済できない人が激増していますが、国は奨学金を「ローン」と同等に扱い、その延滞者情報を個人信用情報機関で管理することによって返済促進を図ったわけです。
ただし、奨学金の返済情報は、通常のローンの返済情報とは異なる特別なルールに従って管理されていることに注意してください。
まず、奨学金の借入をしているという事実が他のローン審査に影響することはありません。
また、奨学金の場合は正常に返済をしていれば返済履歴がKSCに登録されることもありません。
奨学金の返済が3ヶ月以上滞った場合に限り、その事実がKSCの信用情報に登録されるという特別なしくみになっています。
2009年以前に日本学生支援機構の奨学金を借りていた人は…?
日本学生支援機構は2008年にKSCに加盟していますので、2009年度以降に日本学生支援機構に奨学金の申し込みをした人は、「個人信用情報の取扱いに関する同意書」を提出しているはずです。
つまり、返済が滞ったらその情報をKSCに登録してもいいですよ、という同意書にサインをしているということになります。
「個人信用情報の取扱いに関する同意書」は、2009年以前に日本学生支援機構から奨学金を借りていた人にも郵送されていますが、提出は任意となっています。
もちろん、同意書を提出していなければ、奨学金の返済を長期延滞してもその情報がKSCに登録されることはありませんし、ブラック状態になることもありません。
2009年以前に日本学生支援機構から奨学金を借りていたけれども、後日「個人信用情報の取扱いに関する同意書」を提出しているかどうか分からない場合には、日本学生支援機構に問い合わせをして確認をしてみましょう。
そして、現在奨学金を返済しているけれども返済していくのが厳しい場合には、ぜひ猶予制度や分納制度を活用してください。
何らかの救済措置の手続きを取りさえすれば、信用情報にブラック情報が登録されずに済むかもしれません。
やっぱり銀行系は厳しい?KSCは情報の登録期間が長い!

銀行系の信用情報機関は厳しい、というイメージがあるのは、情報の登録期間が長いからというのもあるでしょう。
自己破産の情報は10年間登録される
KSCでは官報情報が10年間登録されます。
CICやJICCの場合は、自己破産をしても5年経過すれば情報が削除されますが、KSCの場合はその倍の10年間情報が登録され続けるということです。
5年間ならなんとかやり過ごせそうな気もしますが、さすがに10年間一切のローンが利用できないというのはやはり厳しいですよね。
もし、返済が苦しくてやむを得ず債務整理をする場合は、裁判所を通さずに手続きできる任意整理までに止めておけば、KSCに登録される事故情報も5年で削除されるのでダメージも少なくて済みます。
住宅ローンを利用したい人は自己破産には注意したい
自己破産してブラックリスト入りすれば、当然住宅ローンを利用できません。
ブラックリスト入りしてしまった場合は、とにかくブラック情報が信用情報から削除されるのを待つしかありませんが、KSCに自己破産情報が登録されてしまったら最長10年間その情報は消えることがないわけです。
住宅ローンを利用しようと考えていたのに、自己破産したことによって10年も住宅ローンを利用することができないとなると、人生設計が大きく狂ってしまいます。
また、10年間もローンを利用できない状態が続いたら、たとえブラック情報が削除されたとしてもその後すぐローン審査に通過することは難しいでしょう。
近い将来住宅ローンを利用しようと考えている人は、無計画に借入をしないよう日頃から注意をしておくべきだといえます。
KSCの開示請求方法と開示報告書の見方

KSCに開示請求をする際の注意点、またKSCの開示報告書の見方について解説します。
KSCの開示請求方法は郵送のみ!
KSCはネット開示や窓口開示を行っていません。
以前はKSCでも窓口開示を行っていたのですが、2011年にサービスを終了してしまったため、現在KSCの開示請求方法は郵送のみとなっています。
開示請求方法が郵送しかないとなると、開示報告書が手元に届くまでに1週間から10日ほどかかります。
もし速達による送付を希望するのであれば、申込書の欄外に「速達希望」と記入したうえで速達料金280円分の切手を同封して送付すれば速達で郵送してもらえます。
ちなみに、KSCでは本人が開示申し込みをする場合、開示報告書は原則として本人限定受取郵便で郵送されます。
本人限定受け取り郵便ではなく、簡易書留での受け取りを希望する場合は申込書上部の郵送方法記載欄にマークをつけておきましょう。
KSCの本人開示に必要な書類
KSCの郵送開示に必要な書類は以下となります。
- 開示請求申込書
- 手数料
- 本人確認書類
開示請求申込書
KSCの開示請求申込書は、全国銀行協会のホームページからダウンロードできます。
以下の2種類がありますので、自分に合った申込書をダウンロードしてください。
- 直接入力用
- 手書き用
プリンターがない場合は、コンビニエンスストアのマルチコピー機でもプリントできます。
コンビニエンスストアでプリントするには予約番号やユーザー番号が必要ですが、利用するコンビニエンスストアによって番号が異なるので注意しましょう。
コンビニエンスストア | 予約番号・ユーザー番号 |
---|---|
セブン・イレブン | JBA10001 |
ローソン、ファミリーマートなど | SSJBA10001 |
セイコーマート | SSJBA10001 |
それぞれマルチコピー機の「ネットプリント」「ネットワークプリント」で、予約番号またはユーザー番号を入力してプリントを開始してください。
手数料
KSCの開示手数料は1,000円です。
ゆうちょ銀行で定額小為替証書を購入し、必要書類とともにKSCに送付します。
定額小為替証書は1枚発行するごとに100円の発行手数料が必要なので手数料も合わせて支払います。
本人確認書類
本人確認書類は、以下から2種類選びますが、うち1種類は現住所を確認できる書類でなければなりません。
- 運転免許証
- 運転経歴証明書
- パスポート
- 住民基本台帳カード(写真付き)
- マイナンバーカード(写真付き)
- 在留カードまたは特別永住者証明書
- 各種健康保険証
- 公的年金手帳
- 各種障害者手帳
- 戸籍謄本または戸籍抄本
- 住民票
- 印鑑登録証明書
【送付先】
〒100-0005
東京都千代田区丸の内2-5-1
一般社団法人全国銀行協会全国銀行個人信用情報センター宛
不明な点などがある場合は、下記のフリーダイヤルに問い合わせをしてください。
【フリーダイヤル】 0120-540-558
【問い合わせ受付時間】
月曜日~金曜日(土日祝日、12月31日~1月3日を除く)
9:00~12:00、13:00~17:00
KSCの開示報告書の見方
KSCの開示報告書に記載されている情報は多岐に渡るため、読みづらい部分も多いです。
最低限見ておきたい情報にポイントを絞って説明していきます。
KSCに登録される情報とその登録機関
登録情報 | 登録期間 |
---|---|
取引情報 | 契約終了日から5年を超えない期間 |
不渡り情報 | 第1回目不渡は不渡発生日から6ヶ月を超えない期間 取引停止処分は取引停止処分から5年を超えない期間 |
官報情報 | 自己破産・個人再生の手続き開始決定の日から10年を超えない期間 |
本人申告情報 | 申告日から5年を超えない期間 |
照会記録情報 | 照会日から1年を超えない期間(会員への回答は6ヶ月を超えない期間) |
KSCの開示書はここを確認~「残債額・入金区分」欄
KSCの開示報告書では、まず「取引情報」部分の「残債額・入金区分履歴」を確認しておきましょう。
KSCの開示報告書の「残債額・入金区分履歴」欄は3段に分かれており、上段は日付(年/月)、中段は金融機関が請求しているその月の返済金額、そして下段には記号が記されています。
この下段に記されている〇や△の記号が、利用者の返済状況を示しています。
記号の意味は以下の通りです。
記号 | 意味 |
---|---|
〇 | 請求金額全額の入金があった |
△ | 請求金額の一部入金があった |
× | 請求金額の入金がなかった |
P | 事情により入金がなかった |
- | 請求がなかった |
「残債額・入金区分履歴」欄の下段に「〇」や「ー」と記載されていれば、返済状況には特に問題がないということです。
逆に、遅延などで入金に問題があれば「△」や「×」と記載されますが、それらの記載があると審査には不利に働く可能性があります。
ただし、「△」や「×」は異動情報ではないので、これだけではブラックリスト入りしているかどうかを判断できません。
KSCの開示書はここを確認~「返済区分・延滞解消日・完了区分」欄
金融事故を起こしてブラック状態になっているかを確認するには、「残債額・入金区分履歴」欄のすぐ下の「返済区分・延滞解消日・完了区分」欄を確認します。
返済区分に「成約」と記載されていれば、正常に返済が行われていることを示します。
しかし、金融事故を起こしてブラック状態になっていると、返済区分には「延滞」と記載されます。
また、「完了区分」に以下のような文言が記載されている場合も、ブラック状態になっていることを示します。
- 代位弁済
- 保証履行
- 強制回収手続き
- 保証債務未履行
- 移管
個人再生、自己破産をしたことがある人はここを確認
過去に個人再生や自己破産をしたことがある場合には、異動情報とは別にKSCの開示報告書の「取引情報」の後に「官報情報」が記載されています。
官報情報は10年間信用情報に登録され続けますので、まだ自分がブラック状態であるかどうか確認をしたい場合は、官報情報の記載があるかを確認しましょう。
官報情報の記載があるうちはまだブラック状態だということを示しています。
おわりに

カードローンで借入をするのは消費者金融からと決めているから、銀行系のKSCの信用情報は特に気にしていない、という人もいるでしょう。
しかし、カードローンに限らず、銀行からお金を借りる機会は意外とあるものです。
いざ銀行でお金を借りようと思った時にKSCの信用情報に問題があれば、ローン審査に通過できません。
ですからマイカーローンや住宅ローン、また教育ローンなど、近い将来銀行でお金を借りる可能性がある人は、ぜひ定期的にKSCに開示請求を行って自分の信用情報をチェックしておきましょう。
※記載されている内容は2023年2月現在のものです。