信用スコアってなに?メリット・デメリットと差別される恐れについて
更新日:
公開日:2019.8.7
「信用スコアってなに?」
「信用スコア、スコアレンディングのメリット・デメリットが知りたい」
信用スコアはご自身の信用度合いを数値化し客観視できるもので、スコア点数に応じてさまざまな優遇サービスを受けることを可能にしてくれます。
ここではそんな信用スコアのメリット・デメリットについて解説をしていきます。
この記事はこんな人にオススメ!
- 信用スコアについて知りたい人
- メリット・デメリットが知りたい人
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信用スコアとは
信用スコアの詳細について触れる前に
「信用スコアとはどのようなものを指すのか?」
「信用スコアやスコアレンディング、そして信用情報という言葉にはどのような違いがあるのか?」
を簡単に解説します。
各々の用語を簡単に解説すると以下のようになります。
- 信用情報…クレジットカードやローンの契約状況や返済状況に関する個人情報が登録されたもの
- 信用スコア…個人の資産、支出や借り入れの状況、行動特性、性格など多方面の情報をもとに個人の信用度をトータルで表した指標
- スコアレンディング…信用情報と信用スコアをもとに、融資を行うサービス
特に信用スコアは、個人の家族構成や資産、SNSの発信内容やフォロワー数、さらには性格や趣味嗜好などのデータを「AI」で判断し、個人の信用度が数値で出る仕組みです。
信用スコアは現在中国でサービスが本格化しており、利用者の信用度に応じて企業がサービスの充実度を変えたり、企業のサービス拡充のためのデータとして活用されています。
また、この後ご紹介しますが日本でも各企業が信用スコアを活用しつつあり、今後ますます信用スコアを利用したサービス(スコアリングサービス)が本格化してくることが予想されています。
J.Score
日本ではじめて信用スコアを利用したサービスを展開している「J.Score」という企業について簡単にご紹介します。
J.Scoreは2017年9月にソフトバンクとみずほ銀行が立ち上げたベンチャー企業です。
この会社の主なサービスは「個人融資」です。
これまで、カードローンなどの個人融資の際には、信用情報と金融機関の保有データから審査をするだけでした。
しかし、J.Scoreの個人融資サービスはこの信用情報データに加え、以下の個人データを加味してAIで審査結果を出す仕組みになっています。
【J.Scoreの審査の元になる個人データの例】
- 保有資産、預貯金額、毎月のローン返済額
- モバイルやインターネットの利用状況
- SNS利用状況
- 買い物志向やクレジットカードの利用頻度
- 性格や物事の考え方
J.Scoreでは金融関連の信用情報だけでなく、以上のような個人データをもとに融資額や金利を算出する仕組みになっているので、信用情報のレベルが同じ人でも個人データの信用度が高ければ、融資額が上がり金利も下がるようになっています。
カードローンのスコアリングとは異なる
ちなみに、カードローンやクレジットカードに申し込んだ際には「スコアリングシステム」という審査システムにかけられて、スコアリングという信用数値が算出されます。「信用スコア」と「スコアリング」で言葉は似ていますが、内容は異なります。
さきほど触れた内容と重複しますが、整理すると以下のように分けられます。
主な内容の違い | 利用されるデータ | |
---|---|---|
信用スコア | 個人データ(金融データ以外)と信用情報をAIで判断し、個人信用度を数値で表したもの | ・金融資産や借入状況 ・趣味嗜好や物事の考え方 ・お金の使い方や使い道 ・SNSの利用状況 ・性格 |
スコアリング | 主に個人の返済能力だけを判断するために個人の信用度を数値化したもの | ・年収 ・他社借入額 ・勤務先や勤続年数 ・家族構成、居住形態、雇用形態 |
スコアリングについては、別記事「カードローン審査の「スコアリング」では何を見られているのか」にて詳しく解説をしています。
信用スコアはどうやって決まる?
ここからは信用スコアについてもう少し詳しく解説していきたいと思います。
まず、「信用スコアではどのようなデータが扱われ、どのように点数が決まるのか?」という点についてです。
信用スコアのサービスを利用した場合、Web上やアプリ上でAIによるさまざまな質問に答えるように指示されます。
たとえば、以下のような質問です。
- 「あなたの金融資産状況を教えて下さい」…1. 100万円未満 2. 100万円~300万円未満 等
- 「クレジットカードを何枚持っていますか?」…1. 0枚 2. 1枚~2枚 等
- 「毎月現金を引き出す回数は?」…1. 1~2回 2. 2回~5回 等
- 「あなたの趣味は」…1.ゴルフ 2.テニス 3.特に趣味はない 等
信用スコアでは、上記のような100問以上の質問に答えるだけで信用度が数値で出るようになっていますが、この数値を出す時には「ビッグデータ」が活用されています。
ビッグデータには「金融資産の額と返済不能に陥る率」や「金銭感覚やクレジットカードの利用頻度から見た個人の信用度」といった膨大な情報が保管されています。よって、個人の主観ではなくある程度客観的な信用調査が可能です。
信用スコアは金融関連の情報だけではなく、SNSの利用状況やその人の考え方次第で点数が上下しますので、個人の信用度をあらゆる角度から判断できるようになっています。
そのため、金融資産が少ない人でもその他の設問で高い評価が得られると、その人の信用度は「高い」という結果が出るのです。
信用スコアの具体的な出し方については非公開
ここまでの情報を見ると「信用スコアの具体的な数値の出し方がわかれば高得点が取れるのに…」と思われる方もいるでしょう。しかし、残念ながらスコアの算出方法については公開されていません。
日本には就職の際に使われる「SPI性格審査」などがあり、SPIではさまざまな物事の考え方に関する質問が行われ、その人の信用度がある程度わかるようになっています。
ただ、SPIの算出根拠もどこにも公開されておらず、SPIの受験対策もやりようがないのが現実であり、信用スコアについても同じことがいえます。
ちなみに、信用スコアには金融資産や物事の考え方以外に、学歴や職歴・犯罪歴などに関するデータも反映されることが分かっています。
信用スコアを利用したサービスの仕組みは以下のようなイメージです。
信用スコアが上がれば上がるほどさまざまな特典が受けられるようになるため、利用者はより模範的な行動をとる傾向があります。
【信用スコア利用の流れ】

信用スコアのメリットとデメリット
これから日本でも本格化する「信用スコア」には、いったいどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
利用者側と、それを利用する企業側の両方の視点でまとめました。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
個人 | 信用スコアを提示することでサービスを受けられる (例) ・信用度が高い人はカードのデポジットが免除されるなど企業サービスの特典がある ・ローンの金利優遇措置など ・シェアリングサービスの事前調査が簡素化される(信用度が高ければ個人間のシェアサービスが受けやすくなる) ・信用度が高い人はあらゆる場面で支払いに関する優遇が受けられ待ち時間が少なくて済む(病院の支払いで後払いが可能など) |
信用スコアだけで判断されるので不公平に感じる (例) ・何らかの事情で情報を提供できない人がサービスを受けられず差別を受ける(ネット環境がない人など) ・決められたルールで信用度がはかられるため、納得できない結果になるケースもある |
企業 | 個人の信用度を客観的に数値で見ることができ、信用調査のスピード化が図れる | 利用者データの「質」と「量」によっては正確な信用判断ができない |
信用スコアを上げようとする消費者行動が企業側にメリットをもたらす (例) ・料金の踏み倒しがなくなり企業損失が減る |
最初に取得した利用者データを「更新」しないと信頼できる信用度にならないため、保有データを更新してもらうための「仕掛け」が必要 | |
採用や会社での人事判断に客観的データとして利用できる | 信用スコアの導入と継続利用に膨大な費用がかかるため、費用対効果を出せない企業は導入できない | |
不正な手段でスコアを上げようとする人への対策が必要(手間と費用) |
客観的に数値で見ることができる
「人を判断する」という意味では、これまで融資の場面であれば「金融機関の審査担当者の主観的判断」が重視されます。また、面接や昇進など人事面で判断する場面では「人事担当者や上司の個人的判断」にもとづいて審査されるケースがほとんどでした。
しかし、信用スコアを利用すれば個人的な主観は判断材料にはほとんど加味されないため、ある程度公平な判断ができるというメリットもあります。
たとえば、会社の人事判断の際には「仕事はできないが上司に気に入られている人だけが出世できる」ということはなくなるかもしれません。
また、面接の際にも第一印象が悪くてこれまでなら面接に落ちていた人も、信用スコアの判断で面接に通ることもあるかもしれません。
このように、信用スコアは個人的主観にもとづき間違った判断がされるのを防ぐ新しいサービスといえるでしょう。
信用スコアを提示することでサービスを受けられる
信用スコアによって優遇されるサービスについて、具体例をご紹介します
現在日本で利用されつつある信用スコアや、この後ご紹介する中国での信用スコアサービスにおいて、信用スコアが高い人には以下のような特典が用意されています。
金融 | ・限度額アップ、金利ダウン ・クレジットカードの年会費無料 ・各種カードのデポジット無料 |
---|---|
旅行 | ・プライベートツアーの招待 ・メンバー限定割引ツアー |
スポーツ | ・プライベートレッスン優待 ・最新ゴルフクラブの割引 |
食事 | ・レストラン優先予約 |
カーシェアリング | ・与信判断の簡素化 |
住まい | ・敷金礼金の免除や減額 |
信用スコアだけで判断されるので不公平に感じる
信用スコアはメリットばかりではありません。
信用スコアは個人的主観が反映されないため「機械的に判断される結果には納得いかない…」というデメリットもあります。
さきほど面接や人事判断での利用例をご紹介しましたが「第一印象が悪くても合格できる」というメリットがある一方で、「スキルを持っているのに信用スコアで面接に落ちた」という事例が発生するかもしれません。
信用スコアは公平な判断をするために利用されるサービスですが、利用者にとっては「不公平」と感じるケースも多いようです。
信用スコアによる差別ができる
信用スコアは企業のサービスや人事上の判断に使われるだけではなく、今後「個人利用」にも展開される可能性があります。
海外の例では信用スコアが低いという理由だけで、恋人と別れたり離婚を迫られたりするケースもあるようです。
今後想定されるケースとしては、結婚情報サービスを提供している企業が挙げられます。信用スコアを利用し、本人の資産や年収など金銭的な信用度とともに、その人の信用度をはかる信用スコアを併用して利用者に提供するようなサービスがはじまるかもしれません。
そうなると、いくら年収が良くて性格がいい人でも「信用スコアが低いから結婚できない…」ということが予想されます。
中国で広まる信用スコア
日本ではまだまだ初期段階の信用スコアですが、中国ではすでに導入が本格化しており、利用者の身近なサービスに信用スコアが浸透しています。
現在、中国のAmazonといわれる大手企業の「Alibaba」や「Tencent」では、信用スコアを使ったさまざまなサービスを展開しています。
その中でも最も広まっている信用スコアのサービスとして、Alibabaが運営する信用スコアリングサービス「芝麻信用」が挙げられます。
「芝麻信用」は、Alibabaの電子決済サービスAlipayと連携をすることで、その決済情報から信用スコアを付けています。
5億2,000万人のユーザー
ちなみにこの「Alipay」は、すでに世界で10億人を超えるユーザーがいるといわれています。
日本で有名な電子決済サービスの利用者が100万人超えですから、いかに多くの人が利用しているサービスか理解できるでしょう。
「芝麻信用」は「Alipay」と連携することで、個人の購買志向や金融資産の状況、金銭感覚や生活行動パターンなどをすべて数値化し、信用スコアに取り入れています。
ちなみに中国では「全人口の信用スコアを付けようとしている」ともいわれ、今後ますます信用スコアの重要性が高くなることが予想されます。
既にネット上では「信用スコアの点数をアップするにはどうすればいいのか」という情報があふれています。また、「支払いはすべてAlipayで」「金融資産もAlipayに」という人が増えるなど、中国では多くの人が信用スコアを上げようと躍起になっています。
社会信用システム構築計画綱要
中国で信用スコアが広まるのにはもう一つの理由があります。それは、中国政府の「社会信用システム構築計画綱要」です。
この概要は2014年6月27日に中国で発表されたものですが、主に中国社会全体の信用度を上げるための今後の方針が示されています。
中国ではこれまで、国や地方政府が主導してさまざまな信用評価システムが整備されてきました。しかし、依然として不公平な司法判断や詐欺行為、さらには偽装食品や品行不正などの問題が山積みになっています。
この「社会信用システム構築計画綱要」の中身は、市場経済秩序の是正などが主な内容になっていますが、綱要の前半では主に「政務、ビジネス、社会、司法」の4分野で信用システムの構築を進めていくこと」について書かれています。
要するに、中国政府は信用スコアサービスをあらゆる企業に根付かせることによって、国民の不正を防ごうとしている訳です。
信用スコアが根付けば、生活のさまざまなシーンで信用スコアが低い人が不利益を被ることになります。すると、中国国民は快適な生活がしにくくなるため、ひたすら信用スコアを上げようとします。
信用スコアを上げるには、生活のあらゆる場面に影響します。たとえば、きちんと支払いをしたり、高度な教育を受ける。当然ながら、詐欺行為などの犯罪は犯さないということなどです。
このように中国政府は信用スコアを導入することによって、国民のモラルを上げようとしているのです。
信用スコアが高いと優遇される!
中国で信用スコアが高い人には実際にどんなサービスが提供されているのか、具体的にみてみましょう。
ちなみに「芝麻信用」で運用されている信用スコアでは、以下のような指標で信用度が点数化されています。
※中国語が含まれていますがイメージでご理解いただければと思います
【芝麻信用の点数化の5つの領域とスコア区分】

上記の表を見ると700点以上の人は「かなり信用度が高い」と判断されるわけですが、そのような人には以下のような優遇が用意されています。
サービス | 優遇内容 |
---|---|
シェアサービス | シェアサイクルやホテル摩拜単車(モバイク)や共享単車(ofo)などの自転車シェアリング5社では、650点以上の顧客は保証金、利用料金ともに無料(一部地域・一部企業限定) |
電気自動車レンタルの保証金免除(スコアが650点以上の場合、神州レンタカーなどの保証金が免除) | |
旅行 | 個人観光ビザ申請手続きを簡素化 |
生活支援サービス | 本の貸し出しサービスも保証金免除(650点以上の人には、初回の保証金が不要で本を家まで届けてもらうことが可能 |
雨傘の無料レンタル(一部地域のファーストフード店やコンビニでレンタル置き傘のサービスを受けることができる) | |
ホテル予約の際の保証金不要(中国の一部のホテルでは予約する際に保証金や宿泊料を支払う必要があるが、スコアが高い人は不要) |
信用スコアを実際に使ってみて
日本ですでに運用されている信用スコアサービスを実際に使ってみましたので、その感想などをお伝えしたいと思います。
今回利用したのは「J.score」と「LINE.score」の二つです。
J.scoreについてはこの後詳しく触れますが、両方のサービスともにスコアが出るまでにはアプリ上の質問に答えるだけで、複雑な登録も不要でした。
特に「LINE.Score」は、本人の家族構成や年収など簡単な質問に答えるだけでスコアが出ますし、すべての質問回答に要した時間は約2分程度です。
参考までに筆者のスコア結果は以下の通りでした。

これが今後LINEのサービスにどのように反映されるのか楽しみにしたいところです。
自分のスコアが変わる!スコアアップとは
ちなみに「J.score」と「LINE.score」などの信用スコアサービスでは、登録時の最初の質問に答えるだけでなく「スコアアップ」という方法で追加質問に答えていくことで、自分のスコアを上げることができます。
基本の質問に答えるだけではなく、自分の生活スタイルや性格などの追加質問に答えていくと点数が変わります。
また、利用者の環境はずっと同じではなく子供ができたり家を購入したりすると、年を追うごとに変化していきます。
信用スコアサービスでは、その人の生活環境に関する質問の答えを都度変更することでもスコアを上げることが可能です。
AIスコア・レンディング
今回、筆者がテストした信用スコアサービスのうち「J.score」には、この記事の冒頭でも触れた「AIスコア・レンディング」という個人向け融資サービスがあります。
「J.score」はさきほどのLINE.scoreとは異なり、さらに多種多様な質問に答えることでその人の信用度がはかられる仕組みになっています。
「J.score」では算出された信用スコアの点数に応じて金利や限度額が決まるようになっています。
そのため、たとえば消費者金融などでは初回利用者には上限金利(18.0%が多い)が適用され、限度額も30~50万円までというケースが多いです。一方、「J.score」では金融面での信用情報に加えてその人自身の性格や生活志向などが信用情報に加味されるため、一般的な消費者金融より好条件で融資を受けることも可能です。
ちなみに、筆者が「J.score」を利用して出たスコアは以下の通りです。
ただ、実際に融資を申し込んだ場合はこの条件で融資されるかどうかはわからないということですので、その点は注意する必要があります。

J.scoreを使ってみよう
なお、J.Scoreで信用スコアを出すためにはメールアドレスなどの登録は必要ですが、基本的に個人を特定されるような情報の入力は必要ありません。
したがって「まずは自分の信用度を知りたい」という人でも点数を出してもらうことは可能です。
登録の際にはニックネームでも問題ありませんし、信用情報機関に照会されることもありません。
ただし、みずほ銀行情報連携やソフトバンク・ワイモバイルとの情報連携、またはYahoo!JAPAN情報連携とスコアレンディング(実際の融資申し込み)の際には、氏名や住所などの情報が取得されます。
興味のある方は、以下サイトから一度登録されてみることをお勧めします。
【参考元】J.Score公式サイト
信用スコアのメリット・デメリット、まとめ
今回の記事でご紹介した通り、中国で普及している信用スコアですが、日本ではまだまだこれからというのが正直なところです。
しかし、日本でも「J.score」や「LINE.score」などをはじめとして、ドコモやauなどの携帯キャリアでも信用サービスの導入を計画しています。
利用者や企業にとってもまだまだ課題の多い信用スコアサービスですが、もう間もなく我々の生活に関わってくることも増えるでしょう。
将来の信用スコア時代に備えて、まずは「J.score」や「LINE.score」に登録して、実際に自分のスコアを出してみるのはいかがでしょうか?
※記載されている内容は2023年4月現在のものです。