4つの福祉資金貸付の一覧表|利用手順や落ちた際の対処法をご紹介
更新日:
公開日:2019.8.26
「福祉資金貸付について詳しく知りたい」
「審査に落とされてしまったときはどうすればいい?」
福祉資金貸付は返済能力がない人は審査に落とされてしまいます。ここでは福祉資金貸付に関する情報や利用手順、対処法を解説していきます。
この記事はこんな人にオススメ!
福祉資金貸付について知りたい人
福祉資金貸付の審査に落とされてしまった人
この記事の目次
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福祉資金貸付の制度とは
福祉資金貸付とは、所得が低い、障害があってなかなか働き口がないなどの理由で生活が困窮している人に向けた貸付制度です。生活に困窮した人に向けた制度なので、消費者金融などでお金を借りることができる人や、生活保護などすでに支援を受けている人は利用できません。
福祉資金貸付制度は都道府県の社会福祉協議会が実施主体となっており、市区町村の社会福祉協議会が窓口です。生活状況について相談し社会福祉貸付の対象となれば、社会福祉協議会から世帯の自立促進し、安定した生活が送れるよう経済的援助を受けることになります。
しかし生活に困窮している人が誰でも利用できるというわけではなく、審査は非常に厳しいといわれています。貸付制度という性質上、返すことが大前提なので、収入が低い人や安定してない人は審査に通りにくい傾向にあります。
また審査には1ヶ月以上の時間を要し、提出書類も多岐にわたるので、申し込みまでにも高いハードルがあります。
【参考元】生活福祉資金貸付制度 |厚生労働省
貸し付けされる資金の目的とは
貸付制度なので利子は発生しますが、1.5%や3%といった非常に低い利子となっています。また、資金用途によっては連帯保証人がいることで無利子で貸し付けを受けることができるものもあります。
消費者金融や銀行のキャッシングに比べて返済負担が非常に軽くなりますが、上述したように審査は非常に厳しいものがあります。
また、お金を借りる理由も大切です。というよりも、資金使途がはっきりしない場合には借りることができないと考えたほうがいいでしょう。
就職に必要な知識・技術を習得するため
生活していく上で仕事は切り離すことはできません。そのため現在定職に就いておらず求職の意志がある、また身体的に働くことができる場合には、就職のための知識や技術習得のために支援を受けることができます。
高校や大学へ就学するため
子どもには教育を受ける権利があり、また親は子どもに教育を受けさせる義務があります。よって現在の収入では高校や大学への進学が難しい、また定職に就けていないために高校や大学への進学が難しい場合には支援を受けることができます。
介護サービスを受けるため
身体的に障害がある人や体の弱いお年寄りにとって、日常生活を1人で送ることは非常に困難なことです。
しかし介護サービスを受けるにもお金が必要であり、安定した収入がない、頼れる身内もいない場合には介護サービスを受けることができません。そういった人の場合には、介護サービスを受けるために支援を受けることができます。
生活困窮者に認定されると
社会福祉金貸付制度が利用できるようになると、それと連携して「生活困窮者自立支援制度」も一定期間利用できるようになります。生活困窮者自立支援制度とは平成27年4月にスタートした制度で、さまざまな困難の中で生活に困窮している人に包括的な支援を行う制度です。
住んでいる都道府県や市区町村に相談窓口が設けられており、支援を必要とする人の状況に応じて住まいや仕事、家計管理、子どもの教育などの支援を行ってくれます。
生活困窮者自立支援制度による支援
生活困窮者自立支援制度では、以下のような支援を受けることができます。
- 地域の支援員が支援プランを考え、利用者に合った支援プランを作成する
- すぐに就労することが難しい人に、就労するための支援や就労機会の提供を行う
- 住居のない人に宿泊場所や衣服の提供、就労支援などを行う
このように金銭的な支援だけでなく、利用者が今後長く安定して収入を得ながら生活していけるようにサポートしてくれます。
地域の支援員による支援プラン
ではどういった支援プランがあるのか、実際の例をもとに見ていきましょう。
求職支援を受けた26歳男性のケースです。
この男性は高校時代いじめに遭い、人間関係が苦手になりました。専門学校卒業後は飲食店で住み込みの就労を行いましたが、職場でのトラブルをきっかけに仕事を無断で休みがちになり、ついには解雇されてしまいます。
その後就職活動をするもうまくいかず、収入がないまま貯金も底を突きそうになり、このままではアパートも追い出されそうという状況となってハローワークに相談に行きます。そこで自立支援相談を勧められ、相談窓口に連絡をしました。
その際の支援相談員の支援プランは以下の通りです。
- 安定した住居を確保する必要があるので住居確保給付金を受け、当面の住まいを得る
- 就労よりも生活を立て直すことが大事と考え、生活のリズムを整え、対人スキルを身に付けるために就労訓練事業の非雇用型として高齢者施設に通う
- 対人スキルが高まり、非雇用型から雇用型訓練に切り替わる
こういった支援プランで進めていった結果、この男性は人の役に立ちたいという気持ちから、ヘルパーの資格を取るべく準備を進めるようになりました。
このように、個人の性格や生活状況に応じた支援プランを作成し、生活できるよう導いてくれます。
【参考元】制度の紹介 |厚生労働省
福祉資金貸付を利用できる世帯と条件とは
福祉支援貸付が利用できるのは、次のような世帯です。
対象世帯 | 条件 |
---|---|
低所得者世帯 | ・支援を受けることで独立自活できると認められる ・必要な資金を他から借り受けることが困難である |
障害者世帯 | ・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた ※障害者総合支援法によるサービスを利用しているなど 同程度と認められる場合も含む |
高齢者世帯 | ・65歳以上の高齢者(日常生活上療育または介護を要する高齢者など)がいる |
失業者世帯 | ・生計中心者の失業により生計維持が困難になった |
福祉資金貸付制度を利用できない人の例と理由
以下のような人は福祉資金貸付制度を利用できません。
- 生活保護受給者
- 多重債務者
- 住居が確定しない人
- 低金利だけが目的の人
生活保護受給者
福祉資金と二重で公的な給付・貸し付けを受けることはできないので、生活保護を受けている人は福祉資金貸付を利用できません。また生活保護受給者だけでなく、失業保険や職業訓練受講給付金、年金などを受け取ってる人も同様に利用できません。
多重債務者
福祉資金貸付制度はあくまでも貸し付けなので返済をしなければなりません。よって審査基準として「返せる見込みがあるかどうか」も重要となるので、他の消費者金融などで多額の借り入れがある場合には利用できません。
また、そういった審査基準なので極端に収入が低い人や、収入が安定しないような人は利用が難しいです。
住居が確定しない人
住居は生活をする上で非常に大切です。よって住居が確定していない場合にはまず、生活困窮者住居確保給付金という制度を使って、対象の市町村への住居が確定してから福祉資金貸付に申し込むようにしましょう。
低金利だけが目的の人
生活が困窮している人に向けた公的制度なので、ある程度収入のある人が、銀行や消費者金融と比べて金利が低いからといってその代わりに利用するようなことはできません。
福祉資金貸付は4種類ある!一覧表で確認しよう
福祉資金貸付は、大きく分けて4種類あります。
- 総合支援貸付
- 福祉資金
- 教育支援資金
- 不動産担保型生活資金
さらにこの中でも細かく分かれています。以下で概要や上限金額、据え置き期間など詳しく見ていきましょう。
総合支援資金について
総合支援資金は、「生活支援費」「住宅入居費」「一時生活再建費」の3種類があります。
資金の概要 | 生活再建までの期間に必要な生活費用 |
---|---|
貸付限度額 | 2人以上世帯:月20万円以内 単身世帯:月15万円以内 |
据置期間 | 最終貸付日から6ヶ月以内 |
償還期限 | 据置期間経過後10年以内 |
貸付利子 | 連帯保証人あり:無利子 連帯保証人なし:年1.5% |
保証人 | 原則必要(なしでも貸付可) |
就職が内定していない場合に総合支援資金を利用したい場合には、生活困窮者自立支援制度の相談および支援を受ける必要があるので注意してください。
資金の概要 | 敷金や礼金など賃貸契約を結ぶために必要な費用 |
---|---|
貸付限度額 | 40万円以内 |
据置期間 | 貸付日から6ヶ月以内 (生活支援と合わせて借入の場合は生活支援費の最終貸付日) |
償還期限 | 据置期間経過後10年以内 |
貸付利子 | 連帯保証人あり:無利子 連帯保証人なし:年1.5% |
保証人 | 原則必要(なしでも貸付可) |
資金の概要 | 生活再建のため一時的に必要で、日常生活で賄うのが難しい費用 (目的例) ・就職転職を前提とした技能習得 ・滞納している公共料金などの建替 ・債務整理 |
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貸付限度額 | 60万円以内 |
据置期間 | 最終貸付日から6ヶ月以内 (生活支援と合わせて借入の場合は生活支援費の最終貸付日) |
償還期限 | 据置期間経過後10年以内 |
貸付利子 | 連帯保証人あり:無利子 連帯保証人なし:年1.5% |
保証人 | 原則必要(なしでも貸付可) |
福祉資金について
福祉資金は、「福祉費」「緊急小口資金」の2種類があります。
資金の概要 | 別途記載 |
---|---|
貸付限度額 | 580万円以内 |
据置期間 | 貸付日から6ヶ月以内 (分割による交付の場合は最終貸付日から6ヶ月以内) |
償還期限 | 据置期間経過後20年以内 |
貸付利子 | 連帯保証人あり:無利子 連帯保証人なし:年1.5% |
保証人 | 原則必要(なしでも貸付可) |
「福祉費」には以下のような費用が当てはまります。
- 生業を営むのに必要な経費
- 技能習得やその期間中の生計維持に必要な経費
- 住宅の増改築や補修、公営住宅の譲り受けなどに必要な経費
- 福祉用具などの購入に必要な経費
- 障害者用の自動車購入に必要な経費
- 中国残留邦人などに係る国民年金保険料の追納料
- 負傷や疾病の療養費とその期間中の生計維持費
- 介護サービスや障害者サービスなどの利用料とその期間中の生計維持費
- 被災により必要になった費用
- 冠婚葬祭費
- 住居移転費用、給排水設備費などの設置費
- 就職、技能習得などの支度費用
- その他日常生活上一時的に必要な経費
資金の概要 | 緊急かつ一時的に生計維持が難しくなった場合に貸し付けられる費用 |
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貸付限度額 | 10万円以内 |
据置期間 | 貸付日から2ヶ月以内 |
償還期限 | 据置期間経過後12ヶ月以内 |
貸付利子 | 無利子 |
保証人 | 不要 |
緊急小口資金を利用するには、就職・転職のめどがついている場合を除き、生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業の利用が必須条件となります。
教育支援資金について
教育支援資金は、「教育支援費」「就学支度費」の2種類があります。
資金の概要 | 高等学校や高等専門学校、大学への就学 |
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貸付限度額 | 高校:月3.5万円以内 高専:月6万円以内 短大:月6万円以内 大学:6.5万円以内 |
据置期間 | 卒業後6ヶ月以内 |
償還期限 | 据置期間経過後20年以内 |
貸付利子 | 無利子 |
保証人 | 原則不要 |
資金の概要 | 高等学校や高等専門学校、大学への入学に必要な経費 |
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貸付限度額 | 50万円以内 |
据置期間 | 卒業後6ヶ月以内 |
償還期限 | 据置期間経過後20年以内 |
貸付利子 | 無利子 |
保証人 | 原則不要 |
教育支援資金は保証人が原則不要ですが、世帯内で連隊借受人が必要になります。連隊借受人とは、利用者と連帯して債務を負担する人のことで、教育支援資金の場合は保護者であることが多いです。
不動産担保型生活資金について
不動産担保型生活資金は、一定の居住用不動産を担保として借り、生活資金に充てることができる資金で、「不動産担保型生活資金」「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」の2種類があります。
資金の概要 | 居住用不動産を担保として低所得の高齢者世帯が借りられる資金 |
---|---|
貸付限度額 | ・土地の評価額の70%程度 ・月30万円以内 |
貸付期間 | 次のいずれか ・借受人の死亡時まで ・貸付元利金が貸付限度額に達するまで |
据置期間 | 契約の終了後3ヶ月以内 |
償還期限 | 据置期間終了時 |
貸付利子 | 次のいずれか低い利率 ・年3% ・長期プライムレート |
保証人 | 推定相続人の中から選定 |
資金の概要 | 居住用不動産を担保として生活保護法において生活保護が必要な高齢者世帯が借りられる資金 |
---|---|
貸付限度額 | ・土地の評価額の70%程度(集合住宅の場合は50%) ・生活扶助額の1.5倍以内 |
貸付期間 | 次のいずれか ・借受人の死亡時まで ・貸付元利金が貸付限度額に達するまで |
据置期間 | 契約の終了後3ヶ月以内 |
償還期限 | 据置期間終了時 |
貸付利子 | 次のいずれか低い利率 ・年3% ・長期プライムレート |
保証人 | 不要 |
福祉資金貸付の利用手順と必要な書類
福祉資金貸付の利用手順と必要書類について確認していきます。しっかりと確認し、手続きをスムーズに進められるようにしましょう。
利用手順
福祉資金の利用手順は、以下で変わります。
- 福祉費、教育支援資金、不動産担保型生活資金
- 総合支援資金、緊急小口資金
それぞれの利用手順を見ていきましょう。
福祉費・教育支援資金・不動産担保型生活資金の利用手順

福祉費・教育支援資金・不動産担保型生活資金の申し込みは、居住する地域の社会福祉協議会で行います。提出した書類に問題がなければ審査が行われ、審査に問題がなければ貸し付けが決定します。審査には1〜2ヶ月ほどかかります。
また、地域の民生委員や児童委員に相談し、支援を受けることも可能です。
総合支援資金・緊急小口資金の利用手順

引用元:生活福祉資金|全国社会福祉協議会
総合支援資金・緊急小口資金も、居住する社会福祉協議会で申し込みを行います。緊急小口資金では1〜2週間程度で審査が終わり貸し付けが行われますが、総合支援資金は1〜2ヶ月程度審査にかかります。
また、総合支援資金・緊急小口資金を借りるには定職に就いている必要があります。もし定職に就いていない場合には、生活困窮者自立支援事業を利用することが条件となります。
そのため、定職についていない人はまず、自立相談支援事業の窓口となっている自治体の福祉課や社会福祉協議会に相談に行かなければなりません。
福祉資金貸付の申し込みに必要な書類
福祉資金貸付の申し込みに必要な書類は、主に以下の通りです。
- 世帯の状況が分かる書類
- 申込者の本人確認書類
- 申込者の収入証明書
- 税金の納付状況が分かる書類
- 連帯保証人の資力が分かる書類
- 債務状況が分かる書類
世帯の状況が分かる書類は住民票など、申込者の本人確認書類は運転免許証やマイナンバーカードなどの顔写真付のもの、申込者の収入証明書や連帯保証人の資力が分かる書類は源泉徴収票や給与明細、通帳の写しなどです。
必要書類は地域によって異なる場合もあります。下記リンクから該当地域に問い合わせて聞いてみましょう。
福祉資金貸付の審査に落ちてしまったら
福祉資金貸付の審査は非常に厳しく、また審査も1ヶ月以上と時間がかかります。生活に困窮している人に向けた制度ではありますが、貸し付けという性質上返済できる安定した収入がある、もしくは安定した収入が入る予定があることが必要になります。
このため、もし審査に落ちてしまったときには「生活保護」を検討したり、仕事を辞めてお金に困っているのであれば「失業保険」を受けたりするのもいいでしょう。
生活保護を検討する
福祉資金貸付を利用するには安定した収入が必要になります。しかし、病気やけがでどうしても働くことができないという人もいます。このような場合には生活保護を検討してみましょう。
生活保護を受けるには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 資産を持っていない
- 働くことができない
- 他に利用できる公的制度がない
- 親族からの支援が受けられない
以上の条件を満たせば、生活保護を申請することができます。病気などの理由で働くことができないために福祉資金貸付の審査に落ちてしまったような人は検討してみましょう。
失業保険を受給できない場合
仕事を辞めて生活が苦しい場合には「失業保険」の受給をしましょう。しかし、そもそも前の仕事で失業保険に加入していなかったり、退職後1年を経過している場合には失業保険を受け取ることはできません。
また現在定職がなく、失業保険も受給できない場合には「職業訓練受講給付金」を検討してみましょう。
職業訓練受講給付金とは、「失業保険を受給できない求職者がハローワークの支援指示により職業訓練を受講する場合、職業訓練中の生活を支援するための給付を受けることができる制度」です。
職業訓練受講給付金を受けることができれば、10万円+交通費+寄宿費1万0,700円が給付されます。
まとめ
もし福祉資金貸付を受けることができなくても、失業保険や職業訓練受講給付金、そして生活保護など生活に困窮しているときに受けることができる公的制度はいくつかあります。
福祉資金貸付の審査は厳しいですが、金利は非常に低く、もし利用することができれば生活面では大変助かるでしょう。
しかし公的制度は多岐に渡ります。もし審査に落ちた場合にもあなたに合った公的制度が他にもあるかもしれないので、諦めずに探してみることが大切です。
※記載されている内容は2023年1月現在のものです。