かんぽ生命の契約者貸付の概要と利用の流れを解説
更新日:
公開日:2020.3.17
「かんぽ生命の契約者貸付って、具体的にどういう制度なのかを知っておきたい!」
かんぽ生命が提供している「契約者貸付」とは、すでにかんぽ生命と契約している人が将来受け取れる予定の返戻金を担保に、お金を借りられる制度です。
戻ってくる予定の返戻金の額が多いほどたくさん借りられる上、保険を解約しなくてもすぐにお金を用立てられる点がメリットです。
ただし利用の際には、返済遅れなどに細心の注意が求められます。
すでにかんぽ生命と契約中の人をはじめ、契約者貸付の利用を前提にかんぽ生命との契約を検討中の人に向け、この制度の概要と利用時の手続きの流れを詳しく解説していきます。
この記事はこんな人にオススメ!
- 審査が甘い貸付制度を探している人
- かんぽ生命の契約者貸付を詳しく知りたい人
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かんぽ生命の契約者貸付とは
かんぽ生命が提供する「契約者貸付」とは、かんぽ生命の保険の満期時に支払われる返戻金(還付金)を基準に、一定の範囲内の額を貸し付けとして受け取れる制度です。
原則として、かんぽ生命の生命保険など返戻金が設定されている保険の契約者のみが利用でき、それ以外の契約者は対象外です。
利用には、所定の手続きに基づき必要事項を記入した書類の提出とともに申し込んだ後、審査の通過を待ちます。
別記事「ゆうちょ・かんぽの学資保険の契約者貸付なら審査なしで借り入れ可!」では、学資保険に特化して詳しく解説をしています。
学資保険を契約している人は無審査もしくは柔軟な審査でお金を借りることができるので、ぜひ参考にしてください。
貸付可能金額は「契約者さま専用サイト(マイページ)」にて確認
契約者貸付を通じて借りられる金額は、同一の保険商品であったとしても契約ごとに異なります。
保険の返戻金の満額の貸し付けが受けられるわけではなく、満額の約7~8割が上限とされています。
具体的な貸付可能額は、かんぽ生命契約者のみが登録・利用可能な「契約者さま専用サイト(マイページ)」から確認できます。
マイページは、保険への契約後に初回のみ利用者開始の登録が必要です。
まだ登録手続きを終えていない人は、かんぽ生命公式サイト上の利用者登録ページから登録をしましょう。
この登録は、必要事項の記入のみとわずか3分程度で完了できます。
契約者貸付制度が設けられた保険でのみ利用可能
かんぽ生命の契約者貸付は、かんぽ生命の全ての保険商品で利用できるというわけではありません。
原則として契約者貸付制度が設けられた保険商品のみ利用可能で、制度が設定されていない以下のような保険商品では、貸し付けは受けられません。
- 定期保険
- 保証期間が設定されていない終身年金保険
- 財形商品
- 確定拠出型年金
登録の際に必要なもの
- 保険証券の記号番号(半角数字11桁)
- 契約者の姓名
- 契約者の生年月日
全て、契約時に送付された保険証券や保険証書、もしくは保険料払込証明書などに記載されています。
分からない場合は、そちらを事前に準備した上で登録してください。
登録の完了や各種情報の通知などにメールが用いられており、その送付先としてメールアドレスの登録も必要です。
このとき、迷惑メール対策の一環でドメイン指定による受信拒否に設定していると、登録完了メールなどが受け取れなくなります。事前に必ずかんぽ生命のドメインを受信許可に設定しておきましょう。
貸付期間
この制度による貸付の期間は、貸し付けを受けた日の翌日から起算した最長1年間です。
ただし、期間の満期当日が祝日などかんぽ生命店舗の休業日であった場合のみ、翌営業日までが期間です。
貸付期間の満了後から1年が経過しても貸付金全額の返済が行われないと、弁済として貸付対象となる保険商品の返戻金(還付金)から減額対応されてしまいます。
将来的に受け取れる保険金や返戻金(還付金)の額自体が減少してしまうので、特にご注意ください。
契約者貸付利率
契約者貸付による貸付金は、あくまでも借り入れであり借金です。したがって借入期間中は、継続して一定の利率に基づいた利息が発生します。
加入時期 | 契約者貸付利率 | |
---|---|---|
貸付期間中 | 貸付期間経過後 | |
平成6年3月31日以前 | 年6.00% | 年6.360000% |
平成6年4月1日から 平成8年3月31日まで |
年3.75% | 年3.890625% |
平成8年4月1日から 平成10年8月31日まで |
年2.75% | 年2.825625% |
平成10年9月1日から 平成11年3月31日まで |
年2.50%(一時払商品) 年2.75%(一時払商品以外) |
年2.562500%(一時払商品) 年2.825625%(一時払商品以外) |
平成11年4月1日から 平成19年9月30日まで |
年2.50% | 年2.562500% |
ご覧のように、保険商品の加入時期によって貸付利率も異なることが分かります。
非常時には利率が減免されることも
かんぽ生命の契約者貸付には、非常時・緊急時に貸付利率が割安となる減免制度が設けられています。
これは、地震などの天災が起こったり非常時と認められたりした場合に適用され、一時払い商品かそうではないかによって減免後の利率も異なります。
いつからいつまでに、どうやって?貸付金の返済方法
契約者貸付を通じて借り入れたお金の返済方法は、「一括返済」「一部返済」「利息のみ返済」の3種類が利用可能です。
例えば、余裕があれば借入額全額を一括して返済したり、毎月一定額を一部返済したりできます。
もしくは、元本ではなく利息のみの返済を行い、元本の返済を後回しにするという選択肢もあります。
かんぽ生命の契約者貸付は、貸付日翌日から1年後の満期日までに利息を含めた全額が返済されればOKです。
つまり、1回ごとの返済額や返済回数などの返済計画を、利用者が自由に設計できる点が魅力なのです。
返済は、全国各地の郵便局に設置されているかんぽ生命窓口から行えます。
また、窓口を通じた返済以外にも指定口座への振替などの方法も用意されています。詳しい内容は「かんぽコールセンター」で教えてもらえるので、ご確認ください。
かんぽ生命契約者貸付を利用するメリットとデメリット
かんぽ生命が提供している契約者貸付には、この制度ならではのメリットも多数あります。ただし、貸し付けという借金の一種である点からデメリットもあります。
事前に両方の内容を把握し精査した上で、より賢く活用しましょう。
メリット1:設定される利率が低め
かんぽ生命の契約者貸付で設定されている貸付利率は、年利2.50%程度と総じて低めです。
これは、クレジットカードのキャッシングや消費者金融などが提供しているカードローンの一般的な利率15.0~18.0%と比べ、はるかに安い内容です。
比較的利率が低いと評判の銀行カードローンの一般的な利率と比べても、割安感が実感できるほどです。
利率が低い分だけ、借入期間中の金利負担もより少なく抑えられます。
少しでも軽い負担でお金を用立てたい人にこそ、おすすめです。
メリット2:審査通過のハードルは高すぎない
かんぽ生命の契約者貸付は、すでに契約中の生命保険の保険料を担保に貸し付けが受けられる制度です。
万が一貸付金が完済されなかったとしても、すでに支払い済みの保険料や将来受け取る予定の返戻金(還付金)から天引きされる形で弁済されます。
つまり、貸主・借主双方のリスクが少なく済むのです。
これにより、新規で借り入れを申し込んだ場合と比べても審査の難易度は緩く、通過は決して難しくありません。
デメリット1:返済遅れに気付きにくい
契約者貸付から貸し出された貸付金の返済遅れに対して、かんぽ生命側からの催促はほとんど行われません。
万が一にも全額が返済されなかったとしても、かんぽ生命は保険の解約返戻金などから弁済が受けられるからです。
この点も、ローンなど他の借り入れと比べデメリットになりやすい点の一つです。
特に、普段から返済を全て自動振替に頼ってしまっている人ほど、返済が遅れていることに気付きにくいため、日頃からのこまめな返済管理が欠かせません。
ただし、督促が頻繁に行われない分だけ周りの人にばれる心配がなく、一概にデメリットとはいえない見方もできるでしょう。
デメリット2:返済遅れで受け取れる保険金が減額される
契約している保険の保険料や解約返戻金を担保に貸し付けるという特性から、返済が遅れ続けることで最終的に解約保険金自体が弁済として減額されます。
貸し付けと保険金、どちらも自分自身が手にするお金とはいえ、将来もらえるはずのお金が減ってしまう点は、精神的な要素も含めてデメリットと言わざるを得ないでしょう。
デメリット3:返済期間終了後は利率負担が増えてしまう
返済期間中の返済遅れに対して督促がほとんど行われない点などを含め、契約者貸付の本来の返済期間である1年を過ぎても、完済できないケースが考えられます。
この場合、貸付期間を超過した貸付期間経過後と見なされ、1年間で課せられている利率よりも高い利率が課せられます。
その差は0.05%とごくわずかではありますが、それでも利率負担が増えてしまうことに変わりません。
少しでも安く利用する上でも、貸付期間内の完済を徹底すべきです。
かんぽ生命契約者貸付の請求手続きの流れ
かんぽ生命の契約者貸付は、すでにかんぽ生命で特定の保険商品を契約している人のみが利用できます。
利用の際には所定の請求手続きを行う必要があり、その内容は次の通りです。
- 必要な書類の準備
- 最寄りの郵便局で手続き
- かんぽ生命で審査
- 貸付金の受け取り
それぞれの詳しい内容を見ていきましょう。
必要書類
かんぽ生命の契約者貸付を利用する際には、あらかじめ申し込む側で必要書類を準備しておく必要があります。その内容は、以下の通りです。
- 保険証券(保険証書)
- 契約者貸付の申込者が保険契約本人であることを証明する証明書類
- 印鑑
保険証券(保険証書)は、かんぽ生命の保険商品の契約時に発行された書類のことです。
本人であることを証明する証明書類は、以下のいずれかの物をご用意ください。
- 顔写真付きの身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
- 顔写真がない証明書類(健康保険被保険証、国民年金手帳など)
- 顔写真がない証明書類を1種類+現住所が記載された公的書類(公共料金領収書など)
運転免許証など顔写真が添付された証明書であれば、1種類のみで受理されます。
しかし顔写真がない証明書類を提出する際には、2種類のものを合わせて提出しなくてはいけません(例:保険証+年金手帳など)。
印鑑は、実印や銀行印をはじめ、認め印でも受け付けてもらえます。
郵便局で手続き
契約者貸付は、かんぽ保険窓口を備えた全国各地の特定郵便局と普通郵便局で請求手続きが行えます。
ただし、簡易郵便局では手続きが行えないので注意してください。
また、請求手続きは、原則として対象の保険商品の契約者自らが行う必要があります。
入院や渡航中などやむを得ない理由などで契約者本人が行えない場合では、所定の手続きを踏まえることで代理人への委任も可能です。
委任に関しては、後ほど詳しく解説します。
かんぽ生命で審査
必要書類を全て持参した上で郵便局窓口を通じて請求手続きを完了した段階で、かんぽ生命による審査が行われます。
貸付希望額や貸し付け条件に合致した申し込み内容かどうかがこの段階で確認され、無事に審査に合格すれば具体的な貸付手続きへ移ります。
通常、審査期間は2~3日程度、最長で1週間から10日ほどです。
貸付金の受け取り
審査に通過した段階で、希望した額の貸し付けが認められます。
貸付金の受け取り方法は、「郵便局窓口での受け取り」と「指定の預貯金口座への振り込み」のいずれかを、契約者側で選べます。
このうち預貯金口座への振り込みを選んだ場合、口座への振り込みが自動で行われるとともに、かんぽ生命から受け取り金額などが記載された明細書が郵送されます。
委任代理人による手続きも可能
長期の入院を余儀なくされたり、急な出張などで自ら窓口まで出向けなかったりなど、やむを得ない理由で本人自ら手続きできない場合、代理人への請求手続きの委任が可能です。
このとき、本人が窓口まで出向く際に必要な書類を全て持参するとともに、代理人も必要書類を提出しなくてはいけません。その内容は次の通りです。
- 委任状
- 保険契約者本人の意思確認書類(印鑑登録証明書もしくは公的証明書類の原本)
- 委任された代理人が本人であることを証明できる書類(運転免許証、パスポートなど)
- 委任代理人本人の印鑑
上記の4つは、契約者本人の必要書類と同様に全て1種類ずつ全ての持参が必須です。
「委任代理人の身分証明書類」は、顔写真付きのものであれば1種類で構いません。
ただし契約者本人のときと同様、顔写真がないものであれば2種類の書類の提出を求められることがあります。忘れずに、事前に持参しましょう。
委任状は、以下の3つのいずれかを提出してください。
- 保険契約者本人が作成した、委任する意思が確認できる書類
- 全国の郵便局窓口で配付されている書類に必要事項を記入したもの
- かんぽ生命公式サイトからダウンロード可能な書式を印刷し、必要事項を記入したもの
まとめ
かんぽ生命の契約者のみという制約はありながらも、年利2.5%程度の低金利や審査難易度の低さなど、さまざまな魅力を併せ持ったかんぽ生命の契約者貸付。
貸し付けまでに掛かる時間の短さを含め、利用条件に当てはまる人にとっては、金融機関のカードローンと比較しても低コストで使いやすい商品と言えるでしょう。
ただし、メリットばかりではありません。返済遅れに対する催促がない点や弁済に解約保険金などが充てられるなど、注意すべきポイントも多々あります。
しっかりとした返済計画の下での利用をおすすめします。
それでも、すでに支払い済みもしくは今後受け取れる予定の資金を担保にした貸し付けという特性上、少ないリスクで利用できる借り入れ手段として、ぜひ覚えておきたいサービスですね!
※記載されている内容は2023年2月現在のものです。