塾に行かないで大学を受験するリスクやメリット・デメリット
更新日:
公開日:2021.8.11
「周りはみんな大学受験に備えて塾に通っているけれど、塾に行かないで受験に挑む選択肢はあり?それともなし?」
塾や予備校の存在が身近になっている今、大学受験に備えて塾に行く選択肢はもはや正攻法ともいえます。ところがなかには、理由があって塾に行かないで受験に挑む人もいて、塾に通っている人から見れば不思議に感じるかもしれません。
そこで気になるのが「大学受験を控えた人は必ず塾に行くべきなのか?」です。
結論からいえば、自分の力だけで合格までの明確なプランを建てられる人なら、無理してまで塾に通う必要はありません。
勉強法を確立する自信がない人や独学での勉強に集中できないタイプの人は、環境を変えて学べる塾に通った方が無難です。とはいえ工夫次第では、塾に行かなくても大学受験を成功に導くコツがあります。
今回は、塾に行かないで大学受験に挑む理由とリスク、そこから見えてくるメリット・デメリットも詳しく紹介します。
あわせて、大学受験を控えているのに塾に行きたくても行けない人におすすめしたい対処法も解説するので、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
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塾に行かない場合のリスクやデメリット
まずは、塾に行かない場合に考えられるリスクやデメリットから見ていきましょう。その内容は以下の通りです。
- 塾のノウハウを受験対策に活用できない
- 志望校に対する「how to」がつかみづらい
- モチベーションを維持しづらい
- 自分のミスに気づきづらい
それぞれを詳しく解説していきます。
塾のノウハウを受験対策に活用できない
塾は、あくまでも利益を目的に経営している組織なので「入塾者の数を確保する」のが一番の目標です。入塾者の数を確保するには塾としての実績が最も重要で、それに直結するのが「難関大学の合格者数」です。
そのため塾では、難関校の合格者数を少しでも増やすためにさまざまな経営努力を行っています。豊富なノウハウから導き出される合格までのカリキュラムの提供が、その努力の代表格です。
全国の各大学の志望者にそれぞれ最適な指導を行ったり、出題傾向に合ったカリキュラムを提供したりと、塾によってその対応はさまざま。これらは入塾している人が活用できるメリットであり、それ以外の人は利用できません。
その上多くの塾は、学生一人一人の個性や学力に合わせたベストな教え方で指導してくれます。もちろん、これも塾に通う人のみが受けられる指導なので、行かない人はその指導レベルに近づくため自分自身で工夫する必要性が出てくるでしょう。
もう一つ、塾に行く人と行かない人との間で考えられる差があります。それが、大学への合格・不合格の分かれ道を大きく左右する「進路情報」です。
合格を左右する進路情報
塾は、主要大学の全ての試験内容をチェックした上で情報化し、これを「進路情報」として入塾者に提供しています。
そのため塾に通っていれば、志望大学の受験に関連した詳しい情報を常に入手できるので、有利に大学受験に挑めます。塾に行かない人は進路情報を得られないので、場合によっては見当違いな勉強ばかりしてしまう可能性さえあるでしょう。
その結果、塾に行くか行かないかは、大学受験の合格率にも大きく影響するわけです。
このような理由から、進路情報の有無は合格を左右するといっても決して過言ではありません。
志望校に対する具体的な「how to」がつかみづらい
高校3年生のように現役で大学受験に挑む人にとって、大学受験は初めての経験ともいえます。
志望校だけに絞って事前に対策を練っていたとしても、いざ受験が始まった途端、思ってもいなかったトラブルや思わぬミスに遭遇する可能性も、決してゼロではありません。
こういったトラブルや勘違いを未然に防げるのも、塾に通うメリットの一つ。前述したように塾は、その豊富な経験や情報に裏打ちされた「how to」(進め方、方法)を塾生に提供してくれるのです。
こういった基本知識があるかないかは受験生にとって、将来チャレンジする受験への心構えだけでなく、目の前に迫った受験に挑む時の緊張感にも大きく影響します。
なぜなら、志望校に対する「how to」を事前につかめることで、より実践的な対策や心構えを受験生自らが冷静に行えるため。
その上、受験勉強中に分からない部分が出てきても、塾に行っていれば担当講師に尋ねてすぐ解決する問題も、塾に行かなければ自力で解決する必要があり、間違いも考慮すれば効率の面でも大きなリスクです。
このように、志望する大学の受験傾向や特徴を事前に知っておけるかどうかを考えれば、どちらがより有利に効率よく行動できるか、いうまでもないのは明らかでしょう。
モチベーションが維持しづらい
「学校で授業を受けている時は集中できるのに、家に帰って自分の部屋で一人になって勉強を始めた途端、スマホが気になって仕方ない」といった人も多いのでは。
このように環境が変わると勉強へのモチベーションが変化するのも、好奇心旺盛な若者ならではの特徴ともいえます。
一人だとダメなのに学校の授業なら集中できるのは、すぐ近くに同じ目標を持ったライバルや仲間がいて、お互いに刺激しあえるためです。このように、大抵の人は触発し合える人が側にいれば、モチベーションを維持し集中力をキープできます。
学校の教室と同じように塾も周りに受験生がいるのが基本なので、必然的に勉強に集中できる環境といえるでしょう。
その上、周りの生徒の行動や発言に刺激を受けたり、定期テストによる順位付けや合否判定によって競争心をかき立てられたりするのも、塾ならではの特徴といえます。
常に一定のモチベーションを維持することは、合格につながる受験勉強を続けていけるかどうかに強く影響する大切な要素の一つ、と覚えておいてください。
これが、塾に通わずひたすら孤独な環境のなかで一人勉強を続けるとなると、いかにモチベーションを維持するのが難しいかは一目瞭然です。よほど自分の集中力や意思の強さに自信がない限り、塾に通った方が無難でしょう。
自分のミスに気づきづらい
受験勉強にミスは付き物です。複雑な解き方が必要な問題でミスをしたり、英文や文法を間違った意味で覚えたりするのは、決して珍しいことではありません。
すぐに気づいて修正できれば問題なしですが、もしミスに気づけないままでいたら、受験本番で合否を左右する可能性も十分考えられます。
塾に通っていれば、この間違いを周りの人に気づいてもらえるかもしれません。ところが、塾に行かないで一人で黙々と頑張っているのなら、自分のミスに気づけるのは自分のみです。
自分一人でなく他人にも気づいてもらえるケースと比較すれば、自分自身でミスに気づける確率は、お世辞にも高いとはいえないでしょう。
それでもなくても大学受験は覚える分量も膨大なので、一つ一つ細かく復習でもしない限り、ミスに気づくのはほぼ不可能です。
大学受験で塾に行かない・独学のメリット
「大学受験を控えた人が塾に通うのは当たり前」とつい考えがちですが、あえて塾に行かないことにもいくつかメリットがあります。
塾に行かないで大学受験に挑戦している人のなかには、これらのメリットを狙っている人も少なくありません。そのメリットとは、以下の通りです。
- 周りに流されず自分のペースで勉強・対策ができる
- 塾に通うリスクがない
- 塾にお金をかけずに済む
それぞれの特長を詳しく見ていきましょう。
周りに流されず自分のペースで勉強・対策ができる
大学受験が間近な時期になると、受験科目全てをカバーするため塾に必要な1日当たりの時間も増え、平均3~5時間程度を塾で過ごす人が大半です。
通常、塾の1授業当たりの所要時間は60分。ところが、なかには90分制の塾もあり、受ける科目が多いほど塾に詰める時間もそれに比例して増えます。
私立大学を受験するなら医歯薬系など一部の学部を除き、大学入学共通テスト(旧センター試験)では3科目選択が一般的です。となると「60✕3=180」となり、3科目をカバーするには1日当たり3時間は塾の時間が必要です。
これが国公立大学志望なら一気に5~8科目(大学で異なる)に増えるので、8科目全てを塾でカバーすると最低8時間は必要です。
こうなると、放課後すぐ塾に向かっても終了するのは23時前後になってしまい、時間に余裕がないと難しいのが実情でしょう。
塾に行かないで大学受験に挑戦するのであれば、時間に縛られることなく自分のペースで勉強が続けられます。受験と部活を並行しているなら放課後部活に打ち込んだ後、帰宅してから勉強するといったライフスタイルも可能です。
長時間頑張るよりも短期集中での勉強が向いている人なら、好きな時間に勉強して休息をとってから勉強に打ち込む、といったやり方もできます。これと比較すると、塾は勉強しやすい環境が整っている反面、時間割に縛られた行動しかできず融通が利きづらいのが難点といえるでしょう。
周りに流されず自分のペースで勉強を続けたい人や、勉強だけで時間を拘束されたくない人は、あえて塾に行かない選択肢の方がメリットを実感できるはずです。
ただし、この選択で大学合格の未来をつかむためには、並々ならぬ集中力と意思の強さが求められることを忘れないようにしてください。
塾に通うリスクがない
学校がある平日に塾に行くとなると、学校が終わった夕方から夜にかけての遅い時間まで通う必要があります。塾で受ける授業のコマ数によっては、22~23時の深夜にようやく終了する場面も珍しいものではありません。
そうなると、子どもを夜遅くまで出歩かせることに不安を覚える親も多いでしょう。特に女の子の親にとって、男の子以上に不安が大きいはず。
時間面の不安だけでなく、台風の時期など悪天候の日だと天候による行き帰りの心配も十分考えられます。
このように、大学受験のために必要とはいえ塾に通わせることは、遅くまで出歩かせることによるリスクが常につきまとうのが現実です。子どもが心配で夜遅くに塾まで迎えに行く人も多く、子どもだけでなく親にかかる負担も決して無視できないものになってきます。
塾に行かない選択をすれば、これらのリスクをほぼ気にする必要はなくなります。学校が終わって直帰すれば心配はほとんどないですし、学校終わりに遊びに行くとしても、さすがに深夜遅くまでにはならないでしょう。
このように、あえて塾に行かないことで子どもに及ぶリスクがなくなる上「子どもが無事か心配」と、親が不安になる必要もなくなるわけです。
ただし、このままだと「塾に行かないことによるリスク」をなくせる代わりに「大学受験のコツを逃すリスク」を抱え込む恐れがあります。
その場合の対処法は後ほど詳しく紹介するので、そちらも参考にしてください。
塾にお金をかけずに済む
大学受験を控えているのに塾に行かない理由はさまざまで、なかには金銭面が理由のものもあります。
塾は慈善事業ではなく営利目的で活動しているので、通うためには費用が必要です。どの程度の費用が必要かは、塾で受ける授業数や塾によってまちまち。
文部科学省が平成30年に行った調査によると、大学受験を控え学習塾に行っている高校生にかかる年間費用の平均は、以下表の通りでした。
ー | 公立高校 | 私立高校 |
---|---|---|
1年生 | 7万1,534円 | 8万5,200円 |
2年生 | 9万8,567円 | 12万636円 |
3年生 | 15万650円 | 18万3,807円 |
全体の平均 | 10万6,884円 | 12万9,313円 |
大学受験が間近に迫る学年になるほど、塾にかかる費用がより高くなっていることが分かります。公立高校と私立高校で費用が違うのは、この数値が塾に通っていない学生も含めた調査によって算出されているため、と理解してください。
つまり、私立高校と比べて公立高校に通っている学生の方が、塾に行かない選択をしている人が多いことを意味しています。
その理由はいろいろありますが一番大きいのは、塾の費用を負担する経済的な余裕がない家庭の子どもがいるためでしょう。
高校3年間全てで塾に通うとなると、上記表によると約33~38万円の費用がかかる計算になります。2010年からスタートした高校無償化による支援を受けたとしても、教材や修学旅行の積立費ですでに精一杯な家庭も一定数あるはずです。
その結果、塾に行かないで大学受験に挑む学生がいるのも、ある意味では仕方ないことといえるかもしれません。
もちろん、塾に行くお金はあるのに、毎月お金を払ってまで塾に通い続けること自体に価値を見いだせず、あえて利用しない人もいます。
そういった人は自分で参考書を用意して独学したり、部外者でも参加できる長期講習や模擬試験にターゲットを絞って利用したりと、自分なりに工夫しているようです。
参考までに、夏休みや冬休みの各長期休暇を利用して行われる長期講習を調査し、表にまとめたのでご覧ください。
ー | 集団指導タイプ | 個別指導タイプ |
---|---|---|
夏期講習 | 3~10万円 | 6~20万円 |
冬期講習 | 2~8万円 | 4~10万円 |
※塾・予備校の費用から試算
集団指導タイプと個別指導タイプ
学習塾の違いは各塾でさまざまですが最も大きく違っているのが、指導方法の違いです。
「集団指導」と「個別指導」の2種類があり、その違いは次の通りです。
- 集団指導タイプ:同じ教室に学生を集めて一括指導を行う方式
- 個別指導タイプ:学生1人に対して講師1人が付きマンツーマンで指導する方式
一括して大勢の学生に指導する集団指導タイプと比べて、個別指導タイプは一人の学生に講師が付きっきりで指導するのが最大の特徴です。
講師と学生のマンツーマン環境での指導なので、学生にベストな指導が受けられる上、気軽に質問でき、効率的な学習が行えます。
集団指導タイプは講師との直での交流が難しい代わりに、同室のライバルとの競争意識が芽生えやすく、個別指導と比べて模試も頻繁に行われます。
ここで注意しておきたいのが、それぞれの「講師の質」。
個別指導タイプの講師は、アルバイトの現役大学生や院生が多いのが特徴で、プロの講師が多い集団指導タイプと比べると、講師のレベルは低くなりがちです。
なぜなら、一人に教えるよりも複数人に教える方が、技術やノウハウを求められるためです。
それらを満たしたプロの講師が集団指導を担当し、アルバイトの大学生講師が個別指導を担当する塾が多いです。
もしも難関大学への入学を目指しているなら、プロ講師ならではの受験に役立つアドバイスが受けられる集団指導タイプを、ここでは選ぶべきでしょう。
塾にかかる費用にも注意してください。学生一人が講師を独占する個別指導タイプの方が費用も高いのが通常で、塾によっては2倍近い差のところもあります。
とはいえ、それぞれ一長一短なので、塾に求めるニーズや子どもの性格などを考慮して選ぶとよいでしょう。大抵の塾では途中で指導タイプを変更できるので、まずは通わせてからどちらのタイプを選ぶか決めるのもいいでしょう。
大学受験で塾に行かない人の理由
大学受験に備えて塾に行く人がいるなかで、あえて塾に行かない選択をする学生もたくさんいます。
まずは、ベネッセが2015年に行った調査による、学校偏差値別で見た高校生の学習塾の利用率をまとめた以下表をご覧ください。
学習塾を利用している? | 偏差値55以上 | 偏差値50~54 | 偏差値45~49 | 偏差値44以下 |
---|---|---|---|---|
利用している | 35.6% | 29.6% | 22.5% | 15.1% |
利用していない | 64.6% | 70.4% | 77.5% | 84.9% |
偏差値が高い学校に在籍している学生ほど塾を利用し、偏差値が下がるごとに利用者の割合も減少していることが見て取れます。
ところがこれを逆に見ると、偏差値55以上の高校生でさえ塾の利用率は4割に届かず、約6割と半数以上の学生は塾を利用していません。つまり、大学受験を控えたからといって塾に行かない選択肢は、決して珍しいわけでも少数派でもないわけです。
なぜ塾に行かないのか、その理由は個人ごとでさまざま。では、どういった理由から多くの学生は「塾に行かない」選択をあえて選ぶのでしょうか。
そこで、ここでは考えられるその理由を5つご紹介していきます。今まさに「来年の受験に備えて塾に行こうか迷っている」人は、ここで迷っている理由を再確認して、今後の参考にしてください。
経済的な理由で行けない
ここまでにも少し触れてきましたが、経済的な理由から塾に行きたくても行けない人がたくさんいます。この人たちと「あえて塾に行かない」選択をする人との明らかな違いは、「本当は行きたいけれど、自分の希望だけではどうしようもない」点です。
学校にかかる費用とは別に、塾に通うためのお金を別に用意しなくてはいけません。通う塾や受講する科目数によって費用は違ってきますが、平均すると年間10万円以上は最低でも見ておく必要があります。
より高度な指導を受けたければその分費用も増えるので、家庭によっては塾にかかる負担は決して軽いものではありません。
それでも塾に通いたい学生のなかには、親に頼らず自分でアルバイトをして費用を捻出している人もいます。
もしも経済的な理由で塾に行きたくても行けない人は、先ほど解説した「長期講習」や「模擬試験」だけ活用する方法を、ぜひ検討してください。
在籍している学生にだけ講習や模試を提供している塾があるなか、主に大手の塾を中心に長期講習や模試に限って、外部の学生でも利用OKとしているところがあります。
毎月通うと結構な負担となってしまう塾の費用も、講習や模試のみに絞れば数万円程度の費用に節約できます。これなら、アルバイト代でも十分補えるでしょうし、塾の費用を出し渋る親も払ってくれるかもしれません。
冬期講習と比べて日数が多い夏期講習は、費用もその分高くなります。それでも、上述した塾にかかる年間費用の平均額と比べれば、夏期講習のみで最大7割、夏期講習+冬期講習を利用しても最大5割程度は節約できます。
塾に通う経済的な余裕はないけれど、大学受験に備えて塾のノウハウを獲得したいなら、部外者でも参加できる臨時講習や模擬試験を活用するのも方法の一つ、と覚えておいてください。
塾に行く時間がない
塾に行く時間がない人も意外と多く、これも塾に行かない代表的な理由の一つです。
高校生のように学校に通いながら並行して塾にも行く場合、学校が休みの休日を除き平日は放課後以降に通わなくてはいけません。
アルバイトをして自分のお小遣いを稼いでいる人やクラブ活動にも参加していたりすると、もっと時間の余裕もなくなります。
塾にかかる時間には個人差がありますが、私立大学を希望するなら1日3時間以上、国公立大学を目指すなら5時間以上は基本的に必要です。とすると、学生によっては学校帰りに塾に行くと、帰宅時間が深夜0時近くになるのも珍しいことではありません。
その上、塾も24時間開いていないので「遅くなっても構わない」と希望しても通えない可能性さえあります。
「深夜遅くまで塾に行かせるくらいなら、行かなくていい」と、子どもの安全を重視する親も多く、これも塾に行かない学生が多い要因の一つです。
もっとも、こういったケースでは全く何もしないのではなく、時間に融通が利く塾以外の方法で大学受験対策を行っています。その方法は、後ほど詳しく解説します。
自分の勉強法を確立している
大学受験対策としての塾の主な役割は、合格率をアップさせる個別の勉強法を学生に提供することです。
そのため志望校は決まっていても、どうやって勉強すれば合格率をアップできるか分からない学生にこそ、塾は無理をしてでも通いたい場所といえます。
ところが、なかには志望校合格への明確なビジョンや方法を、自分の力だけで確立できる学生もいます。以下のようなポイントに当てはまる人なら、わざわざお金を払ってまで塾に頼る必要はほとんどありません。
- 科目ごとでどの部分を重点的に勉強すればいいかが分かる
- 一日何時間程度勉強すれば、自分の学力で合格できるか決められる
- 自分が苦手な部分を把握して、的確に対策できる
- 自分のペースで勉強した方が集中できる
これらのポイントを全て満たせる人は、基礎学力自体がしっかり身に付いていて、学校の定期テストの成績も一定以上をキープできている人なはずです。
学校の担任や進路指導の先生から、すでに「志望校に十分合格できる学力がある」とお墨付きをもらえているなら、よほど油断しない限り合格はほぼ確実視でしょう。
このように、自分を客観視して弱点を補いながらベストな勉強法を確立できることも、わざわざ塾に行かない人ならではの理由といえます。
家庭教師を利用している
塾に行かないで大学受験を目指している同級生が周りにいるのなら、その人は家庭教師を利用しているのかもしれません。
塾と同様に家庭教師もすでに一般的なサービスであり、塾の代わりに利用している人や塾と併用している人もいるほどです。
塾に行っている様子が感じられないのに、最近メキメキと成績をアップさせているようなら、家庭教師を利用している可能性があると考えていいでしょう。
それほどに家庭教師は、賢く活用すれば短期間で成績をアップできる、おすすめの方法なのです。
最近ではテレワーク環境が整ってきたこともあり「オンライン家庭教師サービス」が徐々に人気を集めています。これなら家に他人を入れる必要もなく、好きなタイミングで自由に授業が受けられるので、塾に時間が割けない忙しい学生でも安心です。
塾と比較すると家庭教師ならではのメリットがいくつもあるので、後ほど詳しく紹介していきます。興味があれば、ぜひそちらも参考にしてください。
学校が大学受験対策に力を入れている
所属している学校の大学受験対策が充実していれば、塾に通う必要さえないといえるでしょう。全国的にも有名な私立系進学校では、学生のほぼ全員が大学への進学を希望することから、学校独自の受験対策を早い段階から行っています。
ここで、国公立大学や有名私立大学への合格実績が毎年高い、とある有名進学校を例に見ていきましょう。
この学校では、通常授業で必修カリキュラムと並行して大学別の受験問題対策を行ったり、夏・冬休みなどの長期休暇を使った講習を学校単位で行ったりしています。
これらはどれも、塾が学生に対して行っているサービスそのものです。要するに、学校が本来の役割とは別に、学習塾の役割も同時に担っているといえるでしょう。
これは私立系進学校だけでなく公立系進学校も同様で、各地域のトップ校に入学できれば、一定レベルの受験対策が塾に頼らずに実現できます。
このように、進学校と呼ばれる学校に入れば、これまで多くの生徒の進路対策を行ってきた学校ならではのノウハウを生かした、きめ細かい大学受験対策を追加費用なしで受けられます。
学校によっては塾と同レベル以上のサポートを受けられるので、トップクラスの進学校に在籍している学生ほど、塾をあまり利用していないといわれるほどです。
大学受験にかかる費用
ここまで、大学受験前の塾にかかる費用にスポットを充てて紹介してきました。ところで、大学を受験する時にどのくらいの費用がかかるか、詳しく知っていますか?
受験前や入学後にかかる費用ばかりに目が行きがちですが、大学受験自体にもある程度のお金がかかります。特に経済的な理由で塾に行かない選択をしている人にとっては無視できない金額なので、ここで改めて大学受験にかかる費用をおさらいしておきましょう。
大学受験にかかる費用といえば、受験料(大学入学共通テストは検定料)がその最たるものです。それ以外にも、試験会場までの移動にかかる費用や宿泊費なども考慮する必要があり、全部を足すと結構な金額になります。
国公立大学と私立大学、それぞれの大学受験の受験料を表にまとめました。
国公立大学 | 私立大学 | ||||
---|---|---|---|---|---|
大学入学共通テスト検定料(3科目以上) | 大学入学共通テスト検定料(2科目以下) | 各大学の二次試験 | 大学入学共通テスト利用入試 | 一般・AO・推薦入試 | 医歯薬系 |
1万8,000円 | 1万2,000円 | 1万7,000円 | 1万5,000~2万円 | 3~3万5,000円 | 4~6万円 |
国公立大学の大学入学共通テスト検定料と二次試験料は、どちらも大学を問わず全国一律の固定料金です。一方の私立大学は、各大学で大学入学共通テストも含む受験料が違います。
特に医歯薬系の大学・学部は4~6万円と、通常より高い金額になる点に注意してください。
この表のなかで特に注目したいのが「私立大学の費用」の項目です。大学入学共通テストを使った入試と一般・AO・推薦の各入試とで受験料に最大1、2万円程度の差があります。
つまり、大学入学共通テストを利用すればこの金額分全てを節約できるので、大学入学共通テスト入試を採用している大学や学部が志望先なら、大学入学共通テストを使うべきです。
その上大学入学共通テストの結果は、一度に複数の私立大学に成績として同時出願できます。その際にかかる受験料も「大学入学共通テスト検定料✕出願数」となり、大学を個別に受験するよりもお金を節約できるので、ぜひ覚えておいてください。
例:3大学を受験した場合
3万~3万5,000円✕3=9万~10万5,000円ではなく、1万5,000円✕3=4万5,000円
受験料を節約できる割引制度
共通テストを活用した受験料の節約以外にも、受験料を節約する以下のようなコツがあるので紹介しておきます。
- インターネット出願割引(私立大学のみ)
- 併願割引制度(大学入学共通テスト、一般入試)
インターネット出願に適用される割引制度は、一部の私立大学で利用できる制度です。適用されれば、通常の出願料から1出願当たり3,000~5,000円程度の割引が受けられます。もしも志望校が導入していれば、ぜひ活用してください。
「併願割引制度」は、大学入学共通テストや一般入試の受験料(出願料)が割り引かれる制度で、一部の私立大学で利用可能です。同じ大学内の複数学部に併願で出願した場合、二つ目の出願から受験料が自動的に割引されます。
導入している中央大学を例に挙げると、1出願当たり3万5,000円の受験料が2出願目以降は1万5,000円に減額されます。4学部受けると、本来なら14万円(3万5,000円✕4)かかる費用が8万円(3万5,000円+1万5,000円✕3)で済むので、とてもお得です。
同じ大学内の学部を受験するほど割引の恩恵が高くなるので、複数の大学にまたがって受験を検討しているなら、一つにまとめてしまう方法もあると覚えておいてください。
シミュレーション例
大学受験にどのくらいのお金がどういった名目で必要になるのか、ここでは条件を仮定してシミュレーションしていきます。
条件は「地元(新潟県)にある国立大学と県立大学、私立大学を1校ずつの3校と、東京の私立大学3校」の合計6校を受験予定の場合です。東京の私立大学は、受験1校ごとに地元から往復するものとします。その結果は以下表の通りになりました。
費用の名目 |
費用の目安 (大学入学共通テストを利用) |
費用の目安 (一般入試を利用) |
||
---|---|---|---|---|
国立・県立 | 私立 | 国立・県立 | 私立 | |
願書の購入費(私立大学のみ) |
– ※国公立は無料 |
4,000円(1,000円✕4) |
– ※国公立は無料 |
4,000円 (1,000円✕4) |
大学入学共通テスト検定料 |
3万6,000円 (1万8,000円✕2) |
6万円※ (1万5,000円✕4) |
3万6,000円 (1万8,000円✕2) |
– |
受験料 |
3万4,000円 (1万7,000円✕2) |
3万4,000円 (1万7,000円✕2) |
14万円※ (3万5,000円✕4) |
|
宿泊費 |
2万4,000円 (8,000円✕3) |
2万4,000円 (8,000円✕3) |
||
交通費 |
約6万6,000円(新幹線往復運賃) ※地元移動分は除く |
約6万6,000円(新幹線往復運賃) ※地元移動分は除く |
||
合計 | 22万4,000円 | 28万円 |
※私立の共通テスト検定料は1万5,000円、一般試験受験料は3万5,000円の場合
大学の学費について頭を悩ませる親御さんも多いのが実情です。
奨学金や教育ローンを調べていく中で、「国の教育ローン」について気になっている人もいるのではないでしょうか。
下記ページは「国の教育ローンの審査の甘さ」についての情報をまとめています。ぜひ参考までにご覧ください。
>>> 国の教育ローンの審査が甘いといわれる理由
塾に行くべきか判断に迷ったときは
大学受験に備えて塾に行かない選択を選んだ場合、いろいろな部分でデメリットやリスクを抱える恐れがあるのは、ここまでに紹介した通りです。
これらのポイントをしっかり理解した上で、それでも子どもを塾に通わせるかまだ迷っている親もいるでしょう。
経済的な理由などやむを得ない理由を除き、親の判断だけで決められないなら、まずは子どもの意思を確認するところから始めてください。
体験授業を通じて塾の必要性を判断しよう
どの塾に通えばいいのか、選べばいいのか判断がつかないなら、一度「体験授業」に参加してみましょう。
体験授業は全ての塾で実施しているわけではないのですが、大半の塾で入塾を考えている人や迷っている人を対象に実施していて、無料で利用可能です。
体験授業では、実際にどういった指導が塾で行われているか間近で見学・体験できるほか、担当スタッフにいろいろな質問を尋ねられます。子どもや親からの素朴な疑問だけでなく、カリキュラムや受験への対策といった本格的な質問ももちろんOK。
なかには、利用時に簡単な学力テストを実施して、そこから進路アドバイスを提供してくれる塾もあります。その場合も料金は無料です。
これならお金を払わずに、その塾が子どもにとってプラスになる場所かを親の目でチェックできます。その結果もし合わないと思うなら、そのまま契約せずに帰宅しても構いません。
ここでのポイントは「できるだけ子どもと一緒に参加すること」。そうすることで、いざ入塾してみたところ塾の雰囲気が合わなかったり居心地が悪かったり、といった失敗を防げます。
塾に通うのは親ではなく子どもなので、親の判断だけで決めてしまうより子どもと一緒に参加して、感想を確認してから決めるべきです。
一度契約すると所定の費用が必要な上解約の手間もかかってしまうので、ただでさえ大学受験で忙しい時期に時間を無駄にしないよう、せっかくの制度なので有効活用しましょう。
体験授業に参加中、どういった点に注目すればいいのか主なチェックポイントをまとめたので、ぜひ参考にしてください。
【塾の体験授業でチェックすべきポイント】
- 講師の説明や教え方が子どもから見て分かりやすいか
- 指導に使うテキストは子どもにとって分かりやすいものか
- 他の生徒の様子(真面目に授業に取り組んでいるかなど)
- 学力を判定できるテストや合否判定が定期的に実施されているかどうか
- 塾にかかる費用について明確な説明や解説がされているか
- 学力に応じたクラス分け制度があるかどうか(集団指導タイプの場合)
- 人との接し方や言葉遣いなど、講師の人間性
- 自宅や学校から安全に通えるかどうか
塾に行きたいけれど行けない場合の対処法
あえて自分の意思で塾に行かないで大学受験に挑戦する人とは別に、なんらかの理由があって「塾に行きたくても行けない」人も少なからずいるのも事実です。
その理由によっては、自分の意思だけではどうにもならず、誰かの助けがいるような切実なものもあるでしょう。
それでも工夫や行動次第では、塾に行けるようになるケースも少なからずあります。ここではその主な理由にスポットを当てて、対処法をいくつか紹介していきます。
もしも自分の今の状況に当てはまるものがあれば、塾に行くための手段としてぜひ活用してください。
まずは親に相談
大学受験はその後の人生をも左右する、とても大きな壁の一つです。塾に行かないことでもしも第一志望の大学に落ちてしまったり、成績が足りずレベルを落とす必要に迫られたりしたら、きっと後悔するでしょう。
それに、大学受験は浪人して再挑戦できるとしても、現役合格と比べたらその分の貴重な時間を余計に使ってしまうことにもなります。
こんなつらい思いをしないためにも、受験に備えて塾に行きたいのなら、まずは親に相談しましょう。
真剣な態度で子どもから相談されれば、大抵の親は心を開いて聞いてくれます。その上で、大人にしかできない方法を思いついて、塾に行かせてもらえるかもしれません。
相談してもOKが出なければ、改めて別の方法を探すか、その時に初めて塾に行くのを諦めることを検討してください。
まずは「親に相談することは子どもの権利」だと思って、行動するところからスタートしましょう。
ローンから塾の費用を借りる
受講する科目数や塾のタイプなどによっても費用は異なりますが、高校3年生なら年間20万円くらいの費用を見ておけば、大抵の塾には入れます。
そこに夏期講習をプラスしても30万円程度なので、よほど生活が苦しくない限り、塾の費用くらいはなんとか用意できるのでは。
「そういわれても、お金に余裕がないから払えない」なら、一時的なお金の調達方法としてローンの利用を検討してみましょう。
30万円程度なら、銀行や消費者金融系のカードローンで十分にまかなえる金額です。
もっと手軽に借りたいなら、クレジットカードのキャッシング機能を使っても構いません。
ローン利用時には所定の審査を受けて通過する必要がありますが、もし審査に通過する自信があるなら、銀行カードローンが金利の安さからもおすすめです。
ただし借りられる金額の上限は、年収額に応じて増減します。契約する人の収入によっては30万円に届かない場合もあるので、あらかじめ注意しましょう。
また、上限に余裕があるからといって、必要以上に借り過ぎるのもNGです。あくまでもこれは借金なので「借り過ぎは利息を含めて将来の負担になる」と心得て、計画的に利用してください。
参考までに、これら3つの借り先の基本スペックを表にまとめました。
ー | 銀行系カードローン | 消費者金融系カードローン | クレジットカードのキャッシング |
---|---|---|---|
審査の有無 |
あり (難易度:高) |
あり |
なし (カード発行時に必要) |
金利(年率) | 2.0~15.0% | 3.0~18.0% | 15.0~18.0% |
借り入れの 上限額 |
最大800万円 | 最大800万円 | 10~100万円 |
融資の スピード |
遅い (審査終了後2~3日後) |
早い (最短即日融資) |
早い (キャッシング枠が付帯したカードの場合) |
特徴 |
・低金利 ・審査が厳しい ・融資までに時間がかかる |
・融資スピードが速い ・審査に定評あり ・各種特典が満載 ・高金利(最低金利は初回利用者には原則適用されないため) |
・融資時の審査が不要 ・全国の提携ATMから利用可能 ・高金利 |
家庭教師を利用する
家庭教師は、個別指導タイプの塾をそのまま自宅で利用していると想像すれば、分かりやすいでしょう。指導は難関大学の現役大学生や院生がアルバイトとして、もしくは家庭教師を専業にしている人が担当します。
一般的には家庭教師の派遣会社に申し込んで利用しますが、なかには生徒を募集している家庭教師と直接契約して利用するものもあり、それぞれに応じて使い分けてください。
塾と比べると、家庭教師には次のような特長があります。
- 原則としてマンツーマンによる対面指導なので、きめ細かい指導が受けられる
- 授業を受けるタイミングや時間を交渉して決められる
- 教師の性別を選べる
- 年齢が比較的近いので、勉強以外の悩みも相談しやすい
- 大学受験を通過したばかりの現役大学生から生きた体験談を学べる
家庭教師は一部の集団指導を除き、教師と生徒1人ずつのマンツーマンによる指導が基本で、自宅などこちらが指定する場所に来てもらい指導を受けます。塾のように夜道を通るリスクの心配がないところは、親にとって心引かれるポイントの一つといえるでしょう。
家庭教師は教師の性別にある程度融通を利かせられるところも、特徴の一つです。
男の子には男性教師を、女の子には女性教師を付けるといった使い方もできるので、年頃の子どもに先生とはいえ異性を近づけたくない親心も満たしてくれます。
家庭教師の年齢構成は、主に現役大学生から30歳までの若い人が中心です。そのため、学生との年齢も比較的近く、スキンシップがとりやすいところが魅力といわれています。
年上過ぎると人見知りしてしまう性格の子どもでも、年齢が近いと気軽に接しやすいと考えれば、これも家庭教師ならではの特長でしょう。
その上、現役大学生なら最近大学受験を経験したばかりなので、リアルな体験談や的確なアドバイスも期待できます。
ただし、家庭教師は塾と比べると全体的に費用が高め。高学歴の家庭教師や人気がある家庭教師は相場以上の費用がかかるので、利用するつもりならその点に注意して選んでください。
ー | 家庭教師 | 塾(集団指導) | 塾(個別指導) |
---|---|---|---|
年間費用の平均(週1コマ) | 18万8,472円 | 11万8,098円 | 22万800円 |
※上記リンクから個別に試算
オンライン授業を利用する
テレワーク環境を活用した新しい授業スタイルとして「オンライン授業」が学校外の教育でも利用できるようになりました。
自宅にインターネット環境、スマホ・パソコンとWebカメラさえあればすぐに始められ、塾に通うよりも割安な費用で利用できる点でも注目のサービスです。自宅内で全ての授業が完結できることから深夜遅くに出歩く必要がないので、この部分に魅力を感じる親も多いのでは。
オンライン授業を専門に行っている会社をはじめ、最近では塾や予備校、家庭教師の派遣会社などもサービスをスタートしていて、ニーズに合わせて有名無名問わず自由に選べます。
「オンライン授業って難しそう」や「やり方が分からないから、利用するのが不安」な人も多いですが、その方法は意外と簡単で次の通りです。
【オンライン授業の実施手順】
- 指定されたオンライン授業用の会議アプリ(Zoomなど)を自宅のパソコンにセットアップ
- インターネット環境を整えた上でアプリを起動し、カメラが反応しているか確認
- 授業の実施側から生徒に対して招待メールが届くので、記載されたURLを選択
- 「ミーティング」に参加するので、授業が始まるまで待機
- オンライン授業がスタート
授業を受ける側は、事前に必要な機材とアプリを用意した上で使えるようにセットアップするだけです。最初の1回目にセットアップすれば、以降は特に変更する必要はありません。
あとは、授業の実施側から送られるメールの内容に従って行動すれば、オンライン授業に参加できるわけです。
塾よりも費用は全体的に安く、1カ月当たり2,000~1万5,000円の範囲でさまざまなサービスが見つかります。費用の違いは授業内容や教材の違いによるものなので、好みに合わせて自由に選んでください。
自分なりの受験対策を作る
塾にも行かない、家庭教師も利用しないなど学習サービスを一切使わない(使えない)なら、自分なりの受験対策をすぐにでも始めましょう。
独学で大学受験に挑戦するなら、まずは以下の点を重視して行動してください。
- 志望校の過去問が掲載された教材を準備して、入試傾向を把握する
- 無理なく継続できる学習スケジュールを建てて必ず守る
- 高校の担任や進路指導の先生の力を借りる
志望校の過去問が掲載された教材を準備して、入試傾向を把握する
自分一人の力で大学合格を目指すなら、まずは教材選びからスタートしましょう。
とはいっても、教材ならなんでもいいわけではありません。志望校向けに作られている過去問題集(赤本)やテキストを中心に準備し、自分の苦手な科目や問題に特化した参考書を補助的に用意するのがおすすめです。
教材を選ぶときには、価格の高さよりも分かりやすさを重視して選ぶのがポイントです。なぜなら、値段が高い教材は余計な内容まで盛り込んでいるものが多いので、ピンポイントで弱点を補う使い方としてはむしろ邪魔になってしまうため。
それよりも、実際に読んでみて「分かりやすい」と感じた教材を選んだ方が、勉強を続ける意味でも効果的です。
無理なく継続できる学習スケジュールを建てて必ず守る
次に、スケジュール作りにも取りかかりましょう。
まず1日に何時間勉強するのか、どの科目をどの程度勉強するのかを事前に決めます。それを1時間単位で細かく区切った上でスケジュール化し、必ず守って行動してください。
ただし、勉強だけで1週間の予定を全て埋めてしまうのはNGです。その上でスケジュールを作る時に、1週間のうちどの曜日でも構わないので、1日だけ「何もしない日」を作り「調整日」として使います。
勉強や仕事で細かいスケジュールを作っても、いつもその通りに行動できるわけではありません。前日にやる予定だった受験対策が、急に入った家の用事でできなくなることだってあります。急に体調を崩して1日寝込んでしまう可能性もあるでしょう。
このように、何らかの理由でズレてしまったスケジュールを元通りにするのが、この調整日の役割です。
もし調整が必要なトラブルが起こらなかったら、その週の調整日は「休息日」として、気分転換や心身の疲れを癒やす時間に使ってください。
大学受験の成功の秘訣(ひけつ)は、常に万全の体調で勉強を継続することです。一週間全てを勉強に使うと一気に体調を崩す恐れがあるので、勉強と同じ位に休息も大切、と心がけておいてください。
高校の担任や進路指導の先生の力を借りる
塾に行っていれば塾講師に相談できることも、行かないなら自分で解決するしかありません。そんな時には使えるものは何でも利用して、学校も有効活用しましょう。
担任や進路指導の先生に相談すれば、塾ほどではないまでも問題の解き方や志望校の入試傾向などをアドバイスしてくれます。基本の勉強は自分で行い、調べても分からないことは学校で聞くスタイルでも、大学入試対策として十分使えるはずです。
塾・予備校の臨時講習に参加する
塾や予備校に定期的に通えない人は、臨時講習だけでもせめて参加しておきましょう。すでに紹介した通り大半の塾や予備校では、夏休みや冬休みといった長期休暇を利用した臨時の受験対策講習を実施しています。
塾によっては塾生だけに提供しているところもありますが、なかには広く部外者の参加も認めているところもあるので、そういった塾を利用すべきです。
臨時講習だけでも参加できれば、独学だけでは手に入れられない塾独自の入試情報を学べます。その上、この期間を利用して独学で分からなかった点を講師に質問しておけば、より的確なアドバイスももらえるでしょう。
臨時講習だけなら費用も3万円からと、それほど高くありません。経済的な理由で塾に行かない人も、大学の合格率を少しでもアップしたいなら、せめて臨時講習だけでも受けておくことを強くおすすめします。
まとめ
「大学受験に挑むなら、必ず塾に行かないとダメなの?」という疑問について、その本当のところを今回は解説してきました。
塾はあくまでも「合格率をアップさせる手段の一つ」であり、行かないからといって合格できないわけではありません。
ただし、自分自身で合格までのプランを建てられない人や、弱点を客観的に見つけて改善するのが難しい人は、合格したいなら独学ではなく塾やそれ以外の手段に頼るべきでしょう。
塾に行かない理由が経済的なものなら、臨時講習やオンライン授業といった少ない費用で参加できる手段を利用するか、お金を借りて塾の費用に充てるなど、今回紹介した対処法をぜひ検討してください。
大学合格の一番のポイントは受験者本人のやる気です。周りの意見に流されて形ばかりにこだわるのではなく、本人が本当に勉強に集中できる環境を、まずは親が率先して作ってあげてください。
※記載されている内容は2023年4月現在のものです。