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毎月の養育費支払いが辛い…知っておきたい払えない時の基礎と応用

更新日:

公開日:2019.8.6

当記事にはPRが含まれています
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「養育費が払えない……」
「納得できないから養育費を払いたくない!」

このように養育費について多くの人が悩んでいます。受け取る側も支払う側もそれぞれ考えや思いがあるので問題を抱えてしまうことが多く、もどかしい気持ちでいる人が大勢います。

ここでは養育費の不払いによって起こる問題などを解説していきますので、問題解決のお役に立てれば幸いです。


この記事はこんな人にオススメ!

  • 養育費が払えず悩んでいる人
  • 養育費を払いたくないと思っている人
  • 養育費について知りたい人

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そもそも養育費とは?

養育費とは、子どもを守り育てるために必要とされる費用のことをいい、離婚した夫婦のうち、非監護親(子どもと離れて暮らしている親)が監護親(子どもと一緒に住んでいる親)に対して支払います。

一般的には、

  • 生活費
  • 教育費
  • 医療費

など、自立していない子どもが自立できる年齢になるまでに必要な費用が含まれます。

何歳まで養育費を支払うかについては話し合いで決めることができますが、

  • 高校を卒業するか18歳になるまで
  • 成人するまで
  • 大学を卒業するか22歳になるまで

とするケースがほとんどです。

日本では母親が親権を持つのが一般的なため、養育費は父親が母親に支払うものと思っている人が多いです。しかし、必ず男性が支払い、女性が受け取るという性質のものではないことを、きちんと理解しておきましょう。

養育費はどのようにして取り決められるのか?

離婚時に養育費についてきちんと話し合いができれば、もちろんそれに越したことはありません。

離婚後もなお、「言った、言わない」で揉めるのはとてもストレスがかかります。金額や支払い方法などについてはできるだけ細かく取り決めをして、きちんと書面に残しておきましょう

ただ、夫婦間で養育費について話し合うことができればよいのですが、

  • 話し合いだけでは条件がまとまらない場合
  • 調停離婚・審判離婚の場合

には、家庭裁判所の調停で養育費について話し合いをします。
もし、調停でも話し合いがまとまらなければ家庭裁判所の審判で養育費を決めます

また、裁判離婚をする場合は、家庭裁判所の判決で養育費を決めることも可能です。

養育費の相場は?

養育費は、子どもの人数・年齢といった子ども側の条件に加え、義務者(支払う側)と権利者(受け取る側)の年収などを加味して金額を決めるのが一般的です。

協議離婚の場合

協議離婚の場合は、夫婦間の話し合いで金額を決めるケースが多いです。そのため、お互いが納得していれば相場から大きく離れた金額で合意することもあります。

調停離婚・審判離婚・裁判離婚の場合

調停離婚・審判離婚・裁判離婚の場合には、第三者である家庭裁判所が介入して客観的な判断により金額を算定するため、養育費もいわゆる相場に近い金額になる可能性が大きいです。

養育費の相場を決定する「養育費算定表」

養育費をいくらぐらい支払えばいいのか全く見当がつかないという人のために、養育費の相場を調べてみました。

カッコ外の金額は、裁判所が養育費の算定をする場合に利用している養育費算定表を参考にしています。

ただ、この算定表が発表されたのは2003年なので、数年~数十年の歳月が経過しています。長年において同じ算定表を参考にしているにもかかわらず、時代の変化にあわせた改正はされていません。その結果、養育費が低く算定されてしまうことを懸念し、日弁連が2016年に養育費の新算定表を発表しました。

カッコ内の金額は、その養育費新算定表を参考にしています。

また、ここでは、

  • 離婚時の父親の年収:300万円・500万円・700万円の3パターン
  • 離婚時の母親の年収:100万円・200万円・300万円の3パターン

を想定して養育費を算出しています。

子ども1人(0~14歳)のケース

義務者の年収(支払う側)
300万円 500万円 700万円
権利者の年収
(受け取る側)
100万円 3万円(5万円) 5万円(9~10万円) 7万円(13~14万円)
200万円 2万円(4万円) 4万円(8~9万円) 6万円(12~13万円)
300万円 2万円(3万円) 4万円(7万円) 6万円(11万円)

0歳~14歳の子どもが1人いるケースで、

  • 離婚時の父親の年収が500万円
  • 離婚時の母親の年収が200万円

そして、子どもの監護親が母親、つまり母親が子どもと一緒に暮らすなら、父親が母親に支払う養育費の相場はおよそ4万円です。
ただし、新算定表を基準に算出すると、養育費はおよそ8~9万円が妥当なラインだということです。

義務者の年収
100万円 200万円 300万円
権利者の年収 300万円 0万円(1万円) 1万円(2万円) 2万円(3万円)
500万円 0万円(0万円) 1万円(1万円) 1万円(2~3万円)
700万円 0万円(0万円) 1万円(1万円) 1万円(2万円)

0歳から14歳の子どもが1人いるケースで

  • 離婚時の父親の年収が500万円
  • 離婚時の母親の年収が200万円

と、先ほどと同じ条件でも、父親が監護親なら母親が父親に支払う養育費の相場は1万円ほどです。

先ほどと比べてぐっと養育費は安くなりますが、年収が200万円だと母親は生計を立てるだけで精一杯ですから、これくらいの金額になるのもやむをえないでしょう。

子ども1人(15~19歳)のケース

義務者の年収
300万円 500万円 700万円
権利者の年収 100万円 4万円(6万円) 7万円(11万円) 9万円(15万円)
200万円 3万円(5万円) 6万円(9万円) 9万円(14万円)
300万円 3万円(4万円) 5万円(8万円) 7万円(12万円)
義務者の年収
100万円 200万円 300万円
権利者の年収 300万円 0万円(1万円) 1万円(2万円) 3万円(4万円)
500万円 0万円(0万円) 1万円(1万円) 2万円(3万円)
700万円 0万円(0万円) 1万円(1万円) 2万円(3万円)

子どもの年齢が15歳以上になると義務教育ではなくなりますので、その分養育費の金額も大きくなってきます。

子ども2人(第1子・第2子ともに0~14歳)のケース

義務者の年収
300万円 500万円 700万円
権利者の年収 100万円 4万円(6~7万円) 7万円(11~13万円) 11万円(17~18万円)
200万円 3万円(5万円) 6万円(11万円) 9万円(16万円)
300万円 3万円(4~5万円) 6万円(9~10万円) 8万円(14~15万円)
義務者の年収
100万円 200万円 300万円
権利者の年収 300万円 0万円(1万円) 1万円(2万円) 3万円(4~5万円)
500万円 0万円(0~1万円) 1万円(2万円) 2万円(3万円)
700万円 0万円(0万円) 1万円(1万円) 2万円(3万円)

子どもが2人になると養育費の金額はぐっと大きくなりますが、子どもの数が2倍に増えたからといって養育費の金額がそのまま2倍になるわけではありません

子ども2人(第1子15~19歳・第2子0~14歳)のケース

義務者の年収
300万円 500万円 700万円
権利者の年収 100万円 5万円(7万円) 8万円(13万円) 11万円(19万円)
200万円 4万円(6万円) 7万円(11~12万円) 11万円(17万円)
300万円 3万円(5万円) 6万円(10万円) 9万円(15万円)
義務者の年収
100万円 200万円 300万円
権利者の年収 300万円 1万円(1万円) 2万円(2万円) 3万円(5万円)
500万円 0万円(1万円) 1万円(2万円) 2万円(3万円)
700万円 0万円(0万円) 1万円(1万円) 2万円(3万円)

子ども2人(第1子・第2子ともに15~19歳)のケース

義務者の年収
300万円 500万円 700万円
権利者の年収 100万円 5万円(7万円) 9万円(14万円) 13万円(20万円)
200万円 4万円(6万円) 8万円(12万円) 12万円(18万円)
300万円 3万円(5万円) 7万円(10万円) 10万円(16万円)
義務者の年収
100万円 200万円 300万円
権利者の年収 300万円 1万円(1万円) 2万円(2万円) 3万円(5万円)
500万円 0万円(1万円) 1万円(2万円) 3万円(4万円)
700万円 0万円(0万円) 1万円(1万円) 2万円(3万円

※詳細については、下記リンクのPDF資料を参照してください

ちなみに、現行の算定表と新算定表の両方について養育費の相場金額をご覧いただきましたが、必ずこの金額が養育費として認められるわけではありません。特に、日弁連が発表した養育費新算定表は、現在のところ裁判所ではまだ採用されていませんので、あくまで今後の養育費の参考金額という程度にとらえておいてください。

養育費は一度決めたら終わりではない

養育費は、一度その金額や支払期間などを決めたらそれきり変更がきかないわけではありません。お互いの状況や都合に応じて減額・増額などを申し入れ、相手がそれに同意してくれればいつでも減額や増額はできます。もし、何らかの事情で収入が激減してしまったような場合には養育費の減額を請求できますので、覚えておくとよいでしょう。

反対に、相手が離婚時に養育費はいらないと言っていたとしても、権利者である監護親は義務者に対して後からでも支払いを要求できます。養育費を支払わないことでお互いに同意していたとしても、やっぱり支払ってほしいと言われたら約束は変更できますので、その点は注意が必要です。

養育費は必ず支払わないといけないのか?

民法では、親は子どもに対して自分と同水準の生活をさせる義務を持つと定めています。離婚したとしても、親子である以上、子どもには自分の生活と同じレベルの生活をさせる義務があるのです。

ところが、平成28年度時点で、養育費の取り決めをしている世帯の割合は母子家庭で42.9%、父子家庭で20.8%しかありませんでした。さらに、実際に養育費を受け取っている世帯の割合は母子家庭では24.3%、父子家庭にいたってはわずか3.2%にしか過ぎず、支払い義務を果たしていない義務者が少なくないことが分かります。

養育費と面会権はセットではない

養育費を支払わない義務者が挙げる理由の一つに「子どもとの面会を制限されているから」というのがあります。しかし、子どもとの面会を制限されているからといって養育費を支払わないのはルール違反です。

  • 養育費の請求権
  • 親との面会交流権

は、どちらも独立した「子どもの権利」であって、双方がセットになっているわけではないからです。

もちろん、「面会させないなら養育費は払えない」ということは認められませんし、反対に、「養育費を払えないなら子どもに会わせない」ということもできません。

生活が厳しくても不払いは認められない

養育費は、一般的には長期間にわたって支払い続けるものですから、その間に義務者の経済状況が変動する可能性があります。大幅に年収がアップするかもしれませんし、反対に、リストラや転職などによって年収が減ってしまうことだってあるかもしれません。

しかし、年収が大幅に減るなどしてこれまで通り養育費を払えない状況になったとしても、養育費の支払い義務がなくなることはありません。当然、自分の都合だけで一方的に養育費を払わずにいることも認められません。

  • 自分も生活をしていかなければならない
  • 経済的に余裕がない

という場合は、養育費を不払いにしたまま放置するのではなく、養育費の減額請求を申し出てみることです。

「自分が再婚して新しい家族ができたから」は理由にならない

もし、再婚して新しい家庭に子どもが生まれた場合は、前の家庭の子どもと現在の家庭の子ども両方に対して責任を持つことになります。

  • 前の配偶者の子どもとは一緒には住んでいないから
  • 再婚して新しく子どもが生まれたから

という理由で、上の子どもに対する養育費の支払いを拒むことはできません。

ただし、扶養義務者が増えたわけですから、これまで通りの金額が払えないという理由で養育費の減額を申し出ることは可能です。

養育費を支払わないとどうなるのか?

民法では、親は子どもに対して自分と同水準の生活をさせる義務を持つと定めています(877条第1項、820条)。

このように、生活保持義務は法律にしっかり定められていますが、罰則については何も定められていないため、養育費の不払いをしたとしても懲役や罰金を科せられることはありません。

※民法は罰則規定が設けられていない法律ですが、違反した場合には損害賠償請求をされる可能性があります

ただし、養育費は金銭債務に当たりますから、罰則規定がないからといって養育費の不払いをすれば借金と同じように遅延損害金が発生します。また、養育費を不払いのまま放置すれば最終的には裁判所が介入することになりますので気を付けてください。

養育費の不払いを続けると遅延損害金を請求される可能性がある

通常、借金の返済を延滞すると遅延損害金という名目で返済額に上乗せされます。

養育費も金銭の支払い義務があるという点は借金と同じで、支払期限を過ぎれば遅延損害金が発生するので注意しなければなりません。

多少の支払い遅れ程度で遅延損害金まで請求されるケースは少ないですが、故意に養育費の不払いをしていると遅延損害金を請求される可能性があります。養育費の不払いが何年にも及ぶ場合はかなり金額が大きくなることもありますので、その点はよく覚えておきましょう。

最終的には給料や財産が差し押さえられる

権利者からの催促に応じず養育費の不払いを続けるなら、権利者は家庭裁判所に申し立てして解決してもらうよりほかに方法がありません。

調停や審判など家庭裁判所で養育費を決定した場合だと、裁判所はまず履行勧告(裁判などで決まったことを履行するよう求めること)など、比較的穏便な手段で養育費の支払いをするよう勧告します。それでも養育費の不払いが続くと、裁判所は履行命令を出します。文字通り、養育費の支払いをするよう「命令」するのです。

それでも養育費の不払いが続くと、最終手段として職場へ連絡し給料を差し押さえたり自動車や貴金属などの財産を回収したりする「強制執行」が行われます。

養育費を支払えないときはどうするべき?

養育費は長い年月支払い続けるものですから、義務者の経済状況が変わって支払いが難しくなることも想定されます。

たとえ経済状況が悪化しても養育費の支払い義務がなくなることはありませんが、減額できないか申し入れることは可能です。養育費を払えない場合にはそのまま放置するのではなく、まずは相手と直接話し合いをしてみましょう。

話し合いで解決できるならそれが一番

養育費は、義務者・権利者双方の合意によって金額を決めるのが望ましいため、まず、権利者にしっかり事情を説明して養育費の減額を申し入れましょう。そこで同意を取り付けられれば、養育費の負担を現在より小さく抑えることができます。

ただし、話し合いの結果はきちんと書面にしておくことです。せっかく養育費の減額交渉に成功したのに、後になって「そんなことは聞いていない」と従来通りの金額を請求されても、証拠がなければ反論もできません。

借金をした時には必ず借用書を作成するのと同じです。養育費についてなんらかの取り決めをした時は、必ず書面に残しておきましょう。

調停に持ち込む

  • 相手が養育費の減額に同意してくれない
  • 話し合いに応じてくれない

など、養育費に関して合意を得ることが難しいのなら、減額を求める調停を家庭裁判所に申し立ててみるのがよいでしょう。

ただし、

  • 収入が大幅に減少した
  • リストラにあって職を失ってしまった

など、調停委員を納得させられるだけの理由がなければ養育費を減らしてもらうのは難しいです。

相手が再婚した場合は減額が認められることも

権利者が再婚してその再婚相手が子どもと養子縁組をした場合、再婚相手が子どもの第一の養育義務者となります。この場合、義務者は第二の養育義務者になります。再婚相手が子どもを十分に養育できないときに養育義務者としてサポートするという形になるため、養育費の減額が認められるかもしれません。

また、子どもと養子縁組をした再婚相手に子どもを十分扶養できるだけの経済力があれば、義務者は養育費を支払わなくてもよくなるケースもあります。

ただし、権利者が再婚しても再婚相手が子どもと養子縁組していなければ、再婚相手に子どもの扶養義務が生じることはありません。これまで通り義務者が養育費を払い続けます

離婚した相手が再婚した場合、再婚相手が子どもと養子縁組をしたかどうかで養育費の取り扱いは大きく変わってきますので、状況をよく確認しておきましょう。

まとめ|養育費の支払いは親の義務だが事情によっては減額も可能

養育費の支払いは親としての義務ですから、支払いが大変だからといって払わずに済ますことはできません。しかし、どうしてもやむを得ない事情があるときには、適切に対処することで減額が認められる可能性がありますので、まずは相手に相談をしてみることです。

また、きちんと養育費を支払いたいけど今回だけはどうしても支払いが難しいという場合は、初回なら無利息で借りられるカードローンを利用することも視野に入れておくといいでしょう。利息が高いというイメージが強いカードローンですが、無利息期間を上手に活用すれば利息の負担はかなり軽減できます。

※記載されている内容は2024年9月現在のものです。

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