引っ越し費用を国から借りる方法とは?市・区役所などで手続き可能
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就職や進学で引っ越しが必要なものの、業者や賃貸物件にかかる費用を支払えず困っている人もいるのではないでしょうか。賃貸物件で暮らすのか、家具や家電製品の購入が必要なのか、荷物が多いのかなど、引っ越し内容によってかかる費用が異なります。
実際に引っ越し費用がどのくらいの費用がかかるのかを確認し、その上でどのように資金調達をするのか検討することが大切です。貯金では足りない、家族からの援助を受けられそうにないとなったら、借りる方法も検討してみましょう。
特に国からお金を借りる公的融資制度なら、無利子や低金利で利用できますし、返済期間も長く設定できます。消費者金融や銀行からの借り入れと比べて、毎月の返済負担をできるだけ抑えたい人に適した方法の一つです。
本記事では、引っ越し費用を国から借りる方法やメリット・デメリットなどを詳しく解説します。引っ越し費用の捻出について悩んでいる人はぜひチェックしてください。
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引っ越し費用を国から借りる方法とは?
申請すれば誰でも借りられるわけではなく、それぞれに利用条件を設けています。方法別に内容を解説するので見ていきましょう。
生活福祉資金貸付制度「住宅入居費」
生活福祉資金制度とは、低所得世帯や障害者世帯、高齢者世帯の生活を支えるための経済的支援を目的にした制度です。
- 低所得者世帯:必要資金を他から借り受けできない世帯(市町村民税非課税程度の世帯)
- 障害者世帯:身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた方がいる世帯
- 高齢者世帯:65歳以上の高齢者がいる世帯
生活福祉資金貸付制度の「住宅入居費」は、賃貸契約に必要な費用の支払いなどに利用できる貸付制度です。貸付限度額は40万円以内で、敷金や礼金をはじめ、賃貸物件契約時に発生する共益費や管理費などの支払いも貸付目的に含まれます。
連帯保証人を立てれば無利子で貸付を受けられます。連帯保証人なしの場合は、年1.5%の金利がかかるため、無利子にしたいなら連帯保証人を立てるしかありません。
なお、住宅入居費の申請を行う際には、本人確認書類以外に以下の書類提出が必要です。
- 入居する賃貸物件の不動産賃貸契約書の写し
- 不動産業者が発行する「入居予定住宅に関する状況通知書」の写し
- 自治体が発行する「住宅手当支給対象者証明書」の写し
住宅入居費 | |
---|---|
貸付限度額 | 40万円以内 |
据置期間 | 貸付日から6ヶ月以内 |
償還期限 |
据置期間経過後10年以内 ※生活支援費と合わせて貸し付けを受けている場合:生活支援費の最終貸付日から6ヶ月以内 |
貸付利子 |
保証人あり:無利子 保証人なし:1.5% |
連帯保証人 |
原則必要 ※連帯保証人なしでも利用可能 |
住居入居費の利用申請を行うには、事前に自立相談支援機関への相談が必要です。支援機関は、社会福祉協議会や市区役所、町村役場に設置されています。その際に、事前に申請者の現状や世帯収入などを確認し、利用が適していると判断された場合に申請手続きへ進みます。
母子父子寡婦福祉資金貸付金「転宅資金」
母子父子寡婦福祉資金貸付金とは、20歳未満の児童を扶養している配偶者のない女子または男子、寡婦などを対象にした貸付制度です。ひとり親世帯の経済的な自立支援を目的にしており、両親がそろっている場合は利用できません。
母子父子寡婦福祉資金貸付金には資金の種類が複数あり、そのうち「転宅資金」は、住宅を移転する際の住宅の貸借資金に利用できます。
転宅資金 | |
---|---|
貸付限度額 | 26万円 |
据置期間 | 6ヶ月 |
償還期限 | 3年以内 |
貸付利子 |
保証人あり:無利子 保証人なし:年1.0% |
相談・問い合わせ先は最寄りの地方公共団体の福祉担当窓口です。申請には以下の書類が必要なので、事前に用意の上で手続きを行ってください、
- 貸付申請書
- 調査同意書・誓約書
- 戸籍謄本(発行後3カ月以内)
- 母子父子寡婦を証明する書類(児童扶養手当証書などの)
- ひとり親もしくは寡婦の市町村民税課税状況が分かるもの
- 連帯保証人の住民票や所得証明書など
- その他資金の種類に応じ必要な書類
注意点として、融資開始までに3ヶ月程度の期間を要します。すぐに引っ越したい場合には転宅資金の利用を検討できない点に注意してください。
移住支援制度を推進する自治体もある
国からの公的融資制度ではないのですが、一部の自治体は移住支援制度を推進しています。移住を条件に引っ越しにかかる費用や家賃などの補助を受けられるので、移住を検討している人は各自治体に確認・問い合わせを行うといいでしょう。
一例として、福島県白河市が交付する移住支援金では、転入時に単身世帯の場合は60万円、2人以上の世帯に最大100万円を支給しています。さらに、18歳未満の世帯員が帯同する場合、1人につき100万円が加算されます。
移住支援制度はすべての自治体で推進しているわけではありません。また、移住や就業に関する要件が細かく設定される可能性が高いです。移住を希望する自治体の支援制度を推進している場合、申請が承認されれば引っ越しにかかる費用の捻出に役立つでしょう。
引っ越し費用を国から借りるメリット
引っ越し費用を国から借りる際には、利息の負担が少ない、長期間の返済が可能など、家計に大きな負担をかけずに済む点が挙げられます。利用するためには審査に通る必要はありますが、以下のようにメリットの多い制度です。
- 無利息または低金利
- 返済開始までに据置期間を設けている
- 長期間の返済が可能
- 銀行や消費者金融の審査に落ちた人でも申し込める
引っ越し費用の確保に困っている人は、ぜひ利用を検討してみてください。
無利息または低金利
国から引っ越し費用を借りる場合、無利子または低金利で借り入れが可能です。そのうち、連帯保証人を立てられる場合は無利子が適用されます。連帯保証人がいなくても国から引っ越し費用を借りられますが、年1.0~1.5%の金利がかかるので注意が必要です。
しかし、連帯保証人なしで金利がかかるとはいっても、金融機関や消費者金融からの借り入れほど高く設定されていません。毎月の返済金額も低く抑えられるので、家計に大きな負担をかけずに済むでしょう。
返済開始までに据置期間を設けている
国から引っ越し費用を借りた場合、貸付を受けた翌日に返済が開始するわけではありません。据置期間という返済開始までの待機期間を設けており、その期間については返済が発生しないのです。
例えば、住宅入居費は貸付日から6ヶ月間が据置期間に該当します。要するに返済が開始するのは貸付日から6ヶ月後となり、返済に向けてお金をためたり、収入を増やしたりするなどの準備が可能です。
長期間の返済が可能
返済期間が長いのも国からお金を借りるメリットであり特徴です。住宅入居費なら、返済期間は据置期間経過後10年以内となり、保証人を立てれば無利子で借りられます。
住居入居費の貸付限度額は最大40万円なので、10年間で返済する場合は月額返済額を数千円で抑えられるのです。
銀行や消費者金融の審査に落ちた人でも申し込める
国からお金を借りる際の審査では、金融機関や消費者金融とは異なり、申請者の信用情報を確認しません。具体的な審査基準は公表していませんが、過去にクレジットカードやローンの返済を遅延していたり、債務整理をしていたりする人でも利用できる可能性が高いです。
ただし、申請手続きを行う前には、申請者となる人の収入や世帯の収入、資産状況などを細かく確認されます。審査を実施した結果、返済能力が低く、継続的な返済が困難であると判断された場合は審査に通らない可能性が高いでしょう。
審査通過率は金融機関や消費者金融と比べて高いとされる国からの借り入れですが、誰でも審査に通らない点を認識しておいてください。
引っ越し費用を国から借りる際のデメリットとは?注意したいポイントは3つ
国から引っ越し費用を借りる場合、無利子または低金利、返済期間が長いといった多くのメリットがありますが、以下のようなデメリットも存在します。
- 融資開始までに時間がかかる
- 審査に落ちた場合は利用できない
- 必要書類が多い
すぐにお金が必要など、国からの借り入れでは引っ越しに間に合わないといった場合、違う方法を検討しなければなりません。メリットの多い借り入れ方法なので、利用できるように行動をしてみてください。
融資開始までに時間がかかる
国から引っ越し費用を借りる際の最大のデメリットであり注意点は、融資までにかかる時間が長いという点です。
申請手続きを行う都道府県によって期間に違いはあるものの、1~3ヶ月近くかかる場合もあります。引っ越しをすると決めたら、早いタイミングで申請手続きを行うようにしてください。
さらに、必要書類に不備があったり、申請書類の記載ミスや事実と異なったりする箇所があると、審査時間が長引きます。申請手続きの際に対面で担当者に内容を確認してもらうなどして、不備がないようにしましょう。
審査に落ちた場合は利用できない
国からの借り入れに限った話ではありませんが、審査に落ちれば借り入れはできません。金融機関や消費者金融と比べて審査通過率は高く、自治体によっては申請者の8~9割が利用できるケースも多いです。
しかし、申請者本人や世帯の収入の状況から貸付を行うのに値しない、申請者本人が生活再建の意思がないといった場合は審査に通らない可能性を高めます。
審査に落ちた場合、その理由について確認できないので注意してください。審査に通るためには、返済の意思があることと、返済能力の証明が重要になるのです。
必要書類が多い
国からの借り入れをする際には、申請手続き時にさまざまな書類を提出しなければなりません。本人確認書類以外にも、世帯の全員の氏名が入った住民票や収入を証明できる書類、引っ越しにかかる費用を確認できる書類などが必要です。
50万円までの融資なら本人確認書類だけで申し込みや借り入れができる消費者金融とは大きく異なるポイントなので、注意してください。
必要書類の中には、市区役所や町村役場などでしか取得できない、発行までに日数を要する書類もあります。申請手続きを行う前に必要書類の内容を確認して、事前に不備なく用意しておくのがスムーズに借り入れを行うためのポイントです。
※記載されている内容は2024年9月現在のものです。