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傷病手当金を受け取れない5つの理由と支給額シミュレーション

更新日:

公開日:2019.8.16

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「傷病手当金について分かりやすい情報がほしい!」

ここでは傷病手当金についての必要条件や、よくある質問を交えながら解説をしていきます。さらに手当金を受け取れない5つの理由を理解しておくことで、よりスムーズに手当金が受け取れるよう情報をお伝えし、支給額のシミュレーションを用いてイメージを固めていきましょう。

この記事はこんな人にオススメ!

  • 傷病手当金について詳しく知りたい人

傷病手当金とは

健康でいられるうちはなにごともなくできる仕事も、ケガや病気を患った途端、健全な労働ができずその結果、収入が途絶えてしまうというケースもあります。

このように、労働者の落ち度が全くないにもかかわらず、ケガや病気を理由に仕事ができなくなった方のための社会保障が、「傷病手当金」という制度です。

傷病手当金は日本国内で働く全ての労働者とその家族が等しく享受できる制度として幅広い保障を受けられます。

例えば、実際にこの傷病手当金が支給されるケースとしては次のようなものが想定されています。

  • 就業時間外で交通事故に遭い、そのときのケガが理由で仕事に行くことができず、4日以上休業している
  • 入院治療や自宅療養が必要な病気を煩い、その治療のため4日以上欠勤が続いてしまった
  • ケガや病気で出勤できず長期間休んだ結果、本来もらえるはずであった給与が支給されず無収入になってしまった

このような事例に該当する方であれば、原則として傷病手当金として一定額の収入保障が実施されます。

では、実際に傷病手当金は私たち労働者に対しどのような恩恵をもたらしてくれる制度なのでしょうか?まずは基本となるその部分や実際に傷病手当金が受け取れる期間について、詳しく知っていきましょう。

傷病手当金がもたらしてくれるもの

傷病手当金は、必ずしも全ての方が受給できるという制度ではありません。実際に受給が認められた場合には、さまざまな支援が受けられます。

傷病手当金が支給される期間

支給開始月から起算して最長で1年6ヶ月(18ヶ月間)に渡って、仕事で得ていた給与額に応じた金額が受給できます。

傷病手当金制度特有の条件として必ず覚えておきたいのが「待機3日間」という規定についてです。

実はこの待機3日間という規定を満たしているかどうかが、傷病手当金の受給に大きく関わります。

傷病手当金支給の条件は4種類

傷病手当金制度で設けられている4つの認定条件について、以下で具体的な内容を事例とともに詳しくご紹介していきます。

業務外による病気やケガの療養で休業

業務中だけでなく、出勤・退勤中や休暇中といった業務外で発生したケガや病気が理由となり休養を余儀なくされた場合に、支給が認められます。

そのため、美容整形など傷病と見なされない特定の事例では支給対象とならない点に注意しましょう。

支給対象となる具体例は、以下の2つです。

  • 出勤・退勤中に事故などに遭いケガを患った結果、休養を余儀なくされた
  • 業務時間中に体調が悪くなり病院で病気と診断され、入院や自宅療養が必要となった

支給対象にならない具体例は以下の2つです。

  • 業務時間以外で交通事故などによって被ったケガが原因で、入院や自宅療養を余儀なくされた
  • 休暇中に受診した病院で病気と判断され、仕事を休んだ

これらは労災保険の対象となり傷病手当金の支給対象外となります。

ケガや病気が原因で仕事ができないこと

ケガや病気の度合いが「仕事に従事することができないほど重篤なものである」場合に、受給資格が認められます。この傷病の度合いは、療養を担当する責任者への聞き取りなどを通じて、実際に健康保険組合や協会の担当者がその支給の是非を判断します。

その結果、申請対象となったケガや病気が仕事に従事できないレベルと判断されれば、受給対象と見なされます。具体的な事例としては次の通りです。

  • 休日に家族とドライブに出掛けていたところ交通事故に巻き込まれ骨折などのケガを負った結果、入院が必要となってしまった
  • 仕事の休みを利用して検診を受けたところガンが見つかり、早急な入院加療と手術による治療を受けるため、仕事を休業した

これらの事例は業務時間外に発生・認識した病気やケガであり、仕事を休まざるを得ないため、傷病手当金の対象内と見なされます。

4日以上仕事に就けないこと

傷病手当金制度では独自の判断基準の一つとして「待機3日間」という規定を設け、この規定を実際の受給資格の有無を判断する条件として活用しています。

待機3日間について分かりやすく表した以下の画像をご覧ください。

傷病手当金受給

業務外で生じたケガや病気が理由となり、休暇が連続して3日発生した」ケースが「待機3日間」が完成した状態を指します。「休暇を1日とった後すぐに出勤したり、連続2日間までの休暇にとどまったりなど、休んだ日が3日間連続しなかった」ケースは待機3日間が成立しません。

このように、傷病手当金制度では「待機3日間」という規定を非常に重視しています。この規定によって傷病手当金の支給対象外と判断されてしまった代表的な事例としては、以下のような状況が挙げられます。

休日に急に体調が悪く病院で診断を受けたところ「直ちに仕事を休み治療を受ける必要がある」と医師からいわれやむなく仕事を休んだ。しかし2日ほど休んだ段階でどうしても出勤する必要があり翌日に出勤。

ところが、その後また体調を崩してしまい、それからは1日休んで出勤、2日休んで出勤を繰り返し、休んだ日の分だけ傷病手当金を申請したところ、対象外と判断されてしまった。

このように「連続3日間以上の休暇を取る必要がある」という待機3日間の状況を満たさない限り、傷病手当金の支給対象外となってしまうという点にご注意ください。

給与の支払いがないこと

業務外のケガや病気が原因で休養を余儀なくされた結果、その休養中に一切の給与や手当てを受け取ることができなかった方は、傷病手当金の受給対象と見なされ受給可能です。

この事例として以下のようなケースがあります。

  • 休日の外出中、車を運転している際に事故に巻き込まれ長期入院加療が必要となった。結果、2ヶ月間仕事を休んだところ、有給休暇を消化した以降の給与が支払われず無給状態になってしまった
  • 健康診断で見つかったガンの治療のため半年間にわたって休職が必要となり、その間の給与が全く受け取れなかった

これらはいずれも、業務時間外で発生した傷病によって長期間にわたる休暇を余儀なくされ、有給休暇を使い果たした後の無給状態が発生しています。そのため給与の支払いがないと見なされ、支給条件を満たしているケースです。

傷病手当金を申請と必要書類

業務外で病気やケガなどを被り仕事を一定期間にわたって休み、その分の給与が支払われていないという方には、健康保険制度の一環として実施されている傷病手当金の受給資格が認められます。

この場合、受給資格を有しているからといって何もしなくても手当金を受け取れるというわけではなく、労災保険や失業保険といった他の保険給付金と同様に、所定の手続きに基づいた申請を該当窓口まで行う必要があります。

その具体的な手続き方法と申請の際に必要となる書類の詳細については以下の通りです。

傷病手当金支給申請書

まず、傷病手当金を受給するためには必要な申請の流れについては次の通りです。

  1. 傷病手当金支給申請書を入手
  2. 申請書に必要事項を全て記入した上で、該当窓口へ直接もしくは郵送で提出する

このうち、まずは申請の際に必ず入手しなくてはいけない「傷病手当金支給申請書」という書類を準備します。この書類は、企業内の担当部署や全国の各健康保険協会窓口や、全国健康保険協会のホームページからダウンロードし、印刷することでも入手可能です。下記引用元のページからダウンロードできます。

傷病手当金支給申請書を記入する際に、「療養担当者による意見書」と「事業主の証明」という2つの項目に注意しましょう。

これらはいずれも、医療責任者(主に担当医師)と雇用主がそれぞれ記入する欄です。申請前には必ずこれらの記入欄を各責任者に記載してもらわなくてはいけません。

傷病手当金の支給申請を行う際に、必ずこの2つの項目はそれぞれの担当者に記入依頼を行う必要があります。

その他、下記に多くの方が抱きやすい代表的な質問についてQ&Aの形でまとめてみました。

障害厚生年金や老齢退職年金を受給していると申請できる?

受給する年金の日割額が傷病手当金の日額よりも少ない場合に限り、差額分について申請できます。

傷病手当金制度は、業務外で発生した傷病が理由でやむなく休養せざるを得なかった方の無収入分について保障を行っています。原則として、この質問にある障害厚生年金や退職後に支給される老齢退職年金は収入と見なされるため、これらを得ている方は傷病手当金の受給対象となりません。

ただし、障害厚生年金ならびに老齢退職年金の1年間の総額を360分の1に日割り計算した額が傷病手当金の日額よりも少ない場合に限り、その差額分については受給申請が可能です。

  • 各年金証書のコピー
  • 年金の給付額や支給開始日を証明できる書類
  • 年金額改定通知書のコピー

以上の3つの書類を傷病手当金支給申請書とともに提出する必要がありますので、ご注意ください。

外傷(ケガ)の場合はどうする?

ケガを負った場所や原因、状況を説明する負傷原因届を併せて提出する必要があります。

傷病手当金は、病気だけでなく業務外に被った外傷(ケガ)についても受給対象として認められています。ただし、あくまでも業務外で被った外傷に対してだけ受給対象として含まれていますので、業務中に被った外傷については傷病手当金の対象外となります。

これを証明する書類として「負傷原因届」という書類を傷病手当金支給申請書とともに提出しなくてはいけません。この届出書は、原則被保険者が全て記入することが求められています。

交通事故など、第三者の行為が原因となっている場合はどうする?

「第三者の行為による傷病届」を保険協会へ提出しましょう。

例えば「被保険者が、自転車に乗った他人にぶつかられ骨折などのケガを負ってしまった」といったケースがあったとしましょう。この場合、健康保険協会は傷病手当金を加害者に代わって支払い、その後支払った費用を第三者に請求する手続きを行います。

これを証明する書類として、必ず傷病手当金の申請時に「第三者の行為による傷病届」の提出が被保険者側に義務付けられています。第三者の行為によってケガを負った場合は必ず提出しましょう。
この書類は、各健康保険協会など該当窓口を通じて入手可能で、被保険者が自ら記入し作成します。

傷病手当金を受け取れない5つの理由

業務外でケガや病気を被っているのにもかかわらず、傷病手当金の申請が認められないケースもあります。認められた場合でも、全額分の支給ではなく、想定よりも低い受給額にとどまってしまうということも。

これらは不正な手当金の給付を制限する目的で、設けられた支給条件を満たしていないことがその大きな理由です。支給条件を確認しておくことで、傷病手当金の支給を受けられるかどうかを事前に把握しましょう。

①給与の支払いがある

傷病手当金制度は、業務外で被ったケガや病気で仕事ができず、本来受け取れるはずであった給与が受け取れない人のためのものです。

したがって業務外でケガや病気を被った方でも、その後に給与の支払いを受けている場合は支給の対象外と見なされて受け取れません。

②障害厚生年金もしくは障害手当金を受けている

勤め先を通じて厚生年金に加入している方には、重い障害を患った際の収入保障として障害厚生年金が支給されます。障害厚生年金の対象と見なされない軽度の障害については障害手当金が別途支給があります。

この障害に関連した厚生年金や障害手当金を受け取っている方は、これ自体が収入と見なされるため、傷病手当金の申請を行っても基本的には受け取れません。

ただし、以下のケースに該当する場合は例外として、傷病手当金の受給対象となります。

  • 障害厚生年金の年間受給総額を1/360した額が、傷病手当金の日額よりも少ない場合
    差額分が支払われます
  • 障害手当金の支給額=傷病手当金の合計額
    →当日以降の傷病手当金が支給されます

③老齢年金を受給している

仕事を退職されるなどすでに老齢年金を受給されている方は、すでに老齢年金保険を受給していると見なされます。そのため基本的に傷病手当金を受け取れません。

ただし、例外規定が設けられており、その内容は以下の通りです。

  • 受給している老齢年金の年間受給総額を1/360した額が、傷病手当金の日額よりも少ない場合
    差額分が支払われます

④労災保険から休業補償給付を受けている

労働者の加入が義務付けられている労災保険から、すでに休業に関するカバーとなる「休業補償給付」を受け取っている場合、受け取れません。

ただし、こちらも例外規定が設けられており、その内容は以下の通りです。

  • 休業補償給付の日額が、傷病手当金の日額よりも少ない場合
    差額分が支払われます

⑤出産手当金を受けている

出産手当金は、出産の準備を理由に仕事を休んでいる期間の収入を保障する制度です。この出産手当金を受け取っている方は傷病手当金が受け取れません。

ただし、例外規定が設けられており、その内容は以下の通りです。

  • 出産手当金の日額が、傷病手当金の日額よりも少ない場合
    差額分が支払われます

傷病手当金の計算シミュレーション

傷病手当金で実際に支給される額について、わずか数分の作業でわかるのが以下のサイトです。

具体的な使い方は以下の通りです。

  1. 「標準報酬月額」欄に支給対象月までの過去1年間の平均給与額を入力する
      ↓
  2. 業務外で被ったケガや病気が理由で欠勤した日数のうち3日間の待機期間完了以降の休業日数のみを「休業日数」欄に入力する
      ↓
  3. 休業中に支給された給料を「休業中の給料」欄に入力する
      ↓
  4. 計算ボタンを押す

この4つの行程を実行するだけで、簡単に傷病手当金の支給額が確認可能です。ただし、こちらのシミュレーションサイトで表示された額は目安であり、公的機関によって確定された額ではありません。より正確な金額を知りたい場合は、全国の各健康保険協会窓口までお問い合わせください。

傷病手当金のよくある質問

最後に、傷病手当金に関するさまざまな疑問や質問のうち、特に多くの方が疑問に思われる点について詳しく回答していきましょう。

1年6ヶ月の間に仕事に復帰したらどうなるの?

受給期間として認められた1年6ヶ月の期間中に職場復帰を果たした場合、傷病手当金を受給する資格が喪失します。

ただし、職場復帰後、ケガや病気が悪化し再休業を余儀なくされた場合には最初の支給開始月から起算した1年6ヶ月を最終期限に受給が再開されますが、再休業からさらに1年6ヶ月更新されるのではない点にだけご注意ください。

支給開始後1年6ヶ月を超えても支給されるの?

たとえ1年6ヶ月を超えてもケガや病気が完治せず、仕事に復帰あるいは就業できず休業状態が続いたとしても、傷病手当金はこの期間を超えて支給されません。

健康保険の被保険者資格を喪失したらどうなる?

健康保険とそれに含まれる手当金の受給資格は、退職などさまざまな理由によってその資格を失うことがあります。その上で、健康保険の加入から資格喪失までの期間が1年以上ある場合に限り、すでに受給が認められた傷病手当金については資格喪失後でも最大1年6ヶ月を上限に傷病手当金の受給資格は喪失せず、支給は継続されます。

ただし、資格喪失後に継続して手当金を受け取っている最中にいったん仕事に就ける状態となり、その後さらに体調が悪化し仕事に就けない状態に陥り休業状態となった場合、これは傷病手当金の再支給対象とは見なされず、以後受け取れなくなります。

まとめ|傷病手当金を有効活用しよう

傷病手当金が支払われるまでの手続きの中には、被保険者の方が自ら行う必要があるものも含まれています。

今回ご紹介した傷病手当金が受け取れない5つの理由と実際の支給額をシミュレートできる方法をはじめとした各種情報や申請手順を参照していただくことで、作業も速やかに終えられるでしょう。

※記載されている内容は2019年11月現在のものです。

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