旦那が年金を払ってないと連帯責任!知らぬ間に大きな影響が
更新日:
公開日:2018.7.19
「旦那や妻など、自分の配偶者が長年年金を支払っていなかった」という事実に最近気づいて不安を感じているという人もいるのではないでしょうか。
アルバイト生活を長年続けていた人や自営業の人の中には、実際年金の支払いを無視し続けているという人も存在します。
また督促状などの通知が自宅に届くこともありますが、パートナー宛の郵便物には干渉しないという人であれば「知らなかった」という人もいるでしょう。
さらには、自分が支払いを催促しても中々配偶者自体が支払いに応じてくれないという人もいます。
今回は、旦那や妻が年金を払っていないと連帯責任が生じてしまうのか、その影響などについて詳しく調べてみました。
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旦那や妻が年金を払ってない事が発覚!自分に支払い義務はあるの?
旦那や妻が年金を払っていないことが発覚した場合、まず心配になるのが自分に支払い義務が生じるのかどうかということです。
まず結果を言ってしまえば、旦那や妻が年金を支払っていない場合には、自分にも支払い義務が生じてしまいます。
年金支払いの義務は「本人・配偶者・世帯主」にある
国民年金法第88条によると、国民年金支払いの義務については以下のように記されています。
- 被保険者は、保険料を納付しなければならない。
- 世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う。
- 配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う。
ここで言われている「被保険者」とは、年金の支払い義務がある本人のことを指しています。
また3に寄れば被保険者の配偶者、つまり年金の支払い義務がある人の夫や妻であれば年金は連帯して支払う義務があるといっていることがわかりますね。
免除申請をしても配偶者の収入も審査の対象になる
自分の旦那や妻がどうしても年金を支払わないのであれば「年金の免除申請をすれば支払いを免れることができるのでは?」と考える人もいるでしょう。
国民年金の免除は、国の定める一定の条件を満たすことで可能です。
ただし、配偶者がいる場合には被保険者1人の場合とは免除の条件が若干異なってきます。
まず、第一の国民年金が免除される条件としては、以下のいずれかに当てはまっていることが条件となります。
- 厚生年金に加入していない所得の低い人
- 学生
- 会社を退職し所得が減少した人
この中で、2の学生であれば本人のみの所得審査が行われ所得の条件をクリアすることで年金の支払いが免除されます。
しかし1または3に当てはまる人の場合には、本人・世帯主・配偶者などの所得審査が行われることになるのです。
そのため、たとえ本人の所得のみが免除の条件を満たしていたとしても、配偶者の所得が免除の条件を満たしていなければ、免除が適用されることはありません。
ちなみに、年金が免除になる年収の条件は以下の通りですので、参照してみてください。 (( )は給料年収目安です。)
世帯構成 | 全額免除 | 3/4免除 | 半額免除 | 1/4免除 |
---|---|---|---|---|
4人世帯 夫婦 子2人 |
162万円 (257万円) |
230万円 (354万円) |
282万円 (420万円) |
335万円 (486万円) |
2人世帯 夫婦のみ |
92万円 (157万円) |
142万円 (229万円) |
195万円 (304万円) |
247万円 (376万円) |
単身世帯 | 57万円 (122万円) |
93万円 (158万円) |
141万円 (227万円) |
189万円 (269万円) |
例え別居中でも配偶者や世帯主に支払いの義務がある
「旦那や妻が年金を未払いだけど別居中なので関係ない。」と考えている人もいるでしょう。
しかしたとえ別居中であっても配偶者や世帯主には同居時と同様に支払いの義務が発生しています。
また結婚前(婚約中)に年金未払いがあった場合には、たとえ結婚後に配偶者の不要に入り「国民年金第3号被保険者)となった場合でも、結婚前の未納分は将来に影響することになります。
そのため、未納がある場合には早め早めに対処していくのが賢明でしょう。
旦那や妻が年金を払ってない場合、将来的に影響は?
ここまで、旦那や妻が年金を払っていない場合に配偶者には支払いの義務が生じるのかどうか、また免除申請はできるのかについて説明してきました。
しかし、支払いの義務があり免除の条件を満たしていないという人の場合、具体的に将来どのような影響があるのか不安ですよね。
ここでは旦那や妻が年金を払っていない場合の将来的な影響について具体的に説明していきます。
年金未納の場合、将来的に配偶者にどんな影響があるのか
旦那や妻が年金を支払っていない場合の将来的な配偶者への影響ですが、簡単にいってしまえば年金をもらえない可能性があります。
そもそも年金というものは「払うべき期間の3分の1以上が未納であり、かつ直近1年間に未納の月が1ヶ月でもある場合には、もらうことができない。」という仕組みになっています。
そのため、配偶者が上記の条件を満たせずに年金を未納にしていると、年金がもらえなくなる可能性があるのです。
また、督促状などが届いているのに無視し続けている場合などには、財産の差し押さえなどが施行される可能性もあります。
この場合の財産とは、年金を納めていない本人の財産のみならず配偶者の財産に関しても差し押さえられてしまう可能性があるのです。
差し押さえの対象になるのは車や土地、家または銀行などの預金などになります。
差し押さえが施行されると、未納が解決するまでは財産を取り戻すことができなくなりますので注意してください。
また差し押さえが行われず、未納が続いてしまった場合には、納付していればもらえるはずの以下の年金に影響が出ます。
老齢年金
老齢年金とは、20歳から60歳になるまでの40年間年金を納めた人に65歳から満額支払われる年金のことです。
40年間支払うことで満額が支給されますが、納めた年数によって支払い金額が変動します。
配偶者が年金を支払っていない場合、本人のみが受け取れなかったり減額などの対象になります。
障害年金
病気や怪我などによって生活や仕事が制限されるようになった場合に、現役の世代でも支給される年金です。
年金未払いの夫や妻が病気や怪我をして生活や仕事が困難になった場合、障害年金を受け取ることはできません。
遺族年金
遺族年金とは、年金加入者または受給者が亡くなった時に残された遺族に支払われる年金のことをさします。
遺族年金の受け取りができる人は、死亡した人に生計を維持されていた子供のある配偶者または死亡した人の子供です。
しかし死亡した人の年金が未納となっている場合には、この遺族年金を受け取ることはできません。
旦那や妻が年金を払ってない場合の解決法
このように旦那や妻が年金を払っていない場合、配偶者の財産が差し押さえられたり、配偶者に万が一のことがあった場合に、大きな影響があります。
「年金がもらえるのなんてまだまだ先」と考えている人もいるようですが、年金が及ぼす影響はこのように老齢年金を本人がもらえないというだけではありません。
旦那や妻が年金を支払っていない場合には、できるだけ未納分を納めるように催促することが大切です。
しかし、支払いを催促しても旦那や妻がそれに応じない、または支払いたくても支払えないという場合には、次から説明する方法で解決を試みてみましょう。
世帯分離をして免除申請
先ほども説明したように、夫や妻が年金の支払いが未納となっている場合には、世帯主や配偶者にも支払いの義務が生じてしまいます。
そして年金未払いの免除申請に関しても、本人の年収が免除申請の条件を満たしていても世帯主が条件を満たしていなければ免除にはなりません。
しかし世帯分離という手続きを行い、世帯を分けてしまうことによって夫や妻の年金を免除することができる可能性があります。
世帯分離の手続きを行うことによって、免除の審査が本人の年収のみで行われることになるためです。
ただし夫婦が世帯分離をするためには、生計が完全に別であることなどを証明する必要があります。
そのため、世帯の状況によっては世帯分離を認めてもらえない可能性もあるのです。
また、世帯分離をすることによって年金の免除申請ができる可能性はありますが、世帯分離を行うことで思わぬデメリットが発生する可能性もあります。
たとえば、それぞれの年収によっては国民年金健康保険料が2世帯分かかって費用が増加する可能性もあるでしょう。
また夫や妻の住民票などをとる時に、世帯が別であると委任状などが必要になることもあります。
世帯を分けるメリット・デメリットはそれぞれの世帯によっても異なることです。
まずは自分の世帯の年収や状況を見直して、メリットがデメリットを上回るようであれば世帯分離を考えても良いでしょう。
申請をしても過去の未納分は免除にならない
たとえ世帯分離をして年金の免除が適用されたとしても、適用になるのは最長で過去2年分までです。
そのため、それ以前の未納分に関しては免除申請が行えないようになっています。
2年分以前に長期的に未納がある場合には、世帯を分けてまで免除申請した方が良いのかどうかというのは悩むところです。
年齢や今後の年金の支払う方針などによっても、世帯を分けて免除申請を行うことで得られるメリットやデメリットは大きく異なるでしょう。
まずはどのくらいの期間未納が続いているのかを確認して、そこから考えられる最善策を実行に写すべきです。
現在の年齢や家計の状況、年収や年金未納の期間などを総体的に考慮してから世帯分離と免除申請は行う方が良いでしょう。
未納分の年金を分割で支払う
「年金未納が長期化しすぎていて一気に未納分を支払うことができない」という人もいるでしょう。
たとえば自営業者の場合は第一被保険者という立場になっており、月々の年金支払額は16490円となっています。
そして、16490円を1年である12ヶ月滞納すれば支払額は19万7千880円という大きな金額になって来るでしょう。
そのため未納の期間によっては、容易に支払うことのできない金額になっているという人も少なからず存在します。
払う意思があるにも関わらず、お金がなくて支払いができないというのであれば未納分の年金の分割払いを検討するのも良いでしょう。
ただし年金の分割払いは「滞納した国民年金を支払うための特例」という処置になります。
よって、滞納をした全ての人が年金の分割払いができるという訳ではありません。
また年金の分割払いは特例の対応となるので、決まった制度というわけでもないのです。
そのため、分割支払いの相談をしたい場合には、自分が住民登録をしている市区町村の役所にある年金相談窓口で相談をする必要があります。
また分割払いを相談するのであれば、分割しなければ支払えないという根拠を示す必要もあります。
そのため自分の財産や収入の状況などを証明できるものを提示した上で、客観的に支払いが困難と判断されれば分割で対応してもらえることもあるかもしれません。
分割支払いに応じてもらうのも容易なことではないですが、どうしてもということであれば、検討してみるのも良いでしょう。
年金事務所に相談する
「年金の制度自体が複雑すぎて、今更どうすればいいのか全くわからない。」
年金の制度は複雑な部分も多く、自分で調べてどのように対処するのが最善の方法なのかがわからないという人もいるでしょう。
そうしているうちに面倒になって、年金未納分を放置したままにしてしまうという場合が多いものです。
しかし、年金未納を放置するというのが一番状況的にはよくないことです。
これは先ほども説明した通り、督促状が届いたり、最悪の場合は本人だけではなく配偶者の財産が差し押さえられてしまう可能性もあります。
旦那や妻の年金滞納が発覚し、支払いに応じる姿勢がない場合や、すぐに支払えるお金がないというのであれば、まずは年金事務所に相談してみるのが良いでしょう。
年金事務所で相談すれば、何かしらの解決策をわかりやすく提示してもらえる可能性が大いにあります。
たとえ年金支払いを滞納している本人に相談の意思がなくても、未納者の配偶者が相談に行くだけでも何かしらの解決策を提示してくれるでしょう。
まずは未納を放置せずに、年金のプロである年金事務所に相談してみることをおすすめします。
よくあるQ&A
それでは最後に、年金を家族が払っていない場合によくある質問をQ&A形式にて見ていきましょう。
未婚の子供(社会人)が年金を払っていない場合は、親の財産差し押さえになるのか
子供と親の状況により、差し押さえになるかどうかが異なります。 未婚の子供(社会人)が年金を払っていない場合、世帯の状況がどのようになっているかで親の財産が差し押さえられる可能性があるかどうかが変わります。
冒頭でも説明したように、国民年金法第88条の中では、国民年金支払いの義務については以下のように記されています。
- 被保険者は、保険料を納付しなければならない。
- 世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う。
- 配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う。
未婚の子供が年金を払っておらず、親の財産が差し押さえられてしまうのであれば、2の条件のように親と子が同じ世帯に入っていることが条件になるでしょう。
もしも、親と子の世帯分離がされていれば、子供が年金を支払っていなくても別世帯の話になりますので、親の財産が差し押さえられる心配はありません。
子供がニートや引きこもりで年金を払えない場合はどうすればいいか
親が支払うか、年金の免除申請を行うことになります。
子供がニートや引きこもりであるという部分から、学生ではないという前提でお話をします。
子供がニートや引きこもりなどの無職の場合、親が代わりに年金を支払うかまたは本人が年金の免除申請を行うことになります。
ただし、ここでも親と子供が同世帯の場合には、免除審査で親の年収に関しても審査されることになるでしょう。
そのため親の年収によっては、たとえ子供が無職の場合でも免除されないという可能性もあります。
離婚後、元配偶者に婚姻中の未払い分の年金を請求された場合、払う義務はあるのか
元配偶者の国民年金加入の状況によって支払い義務が発生する場合もあります。
離婚後、元配偶者に婚姻中の未払い分の年金を請求された場合には、その当時に配偶者が第一被保険者であったのか第三被保険者であったのかで状況が異なります。
たとえば婚姻関係があった時に配偶者があなたの扶養に入っていれば国民年金第3号被保険者となりますので配偶者の分の保険料を納付する必要はありません。
しかし配偶者が自分の扶養に入っておらず、配偶者自身が「国民年金第1号被保険者」であり、保険料の納付義務があった場合には未払い分を請求される可能性があります。
なぜなら婚姻当時に支払い義務のあったものに関しては、離婚した後でも、配偶者は引き続き連帯して納付義務を負うことになるためです。
※記載されている内容は2024年9月現在のものです。