家賃保証会社とは|利用しないとダメ?入居者にとってのメリット
更新日:
公開日:2019.7.17
「不動産屋から家賃保証会社との契約が必要といわれた。契約しても本当に大丈夫?」
家賃保証会社とは、入居者(借主)から保証料を受け取る代わりに連帯保証人となり、滞納分の賃料回収や立て替えといった大家への保証を業務とする会社のことです。
家賃保証会社を通すことで、大家は原状回復や家賃の回収が確実に行えます。そのため借主とのトラブルに備えて、家賃保証会社との契約を義務化する物件は増えています。
ただし、家賃保証会社との契約によるメリットは大家へのものが大半で、借主にはほとんどないのが実状です。
この記事はこんな人にオススメ!
- 家賃保証会社について知りたい人
- 賃貸物件の利用を検討している人
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家賃保証会社とは
家賃保証会社とは、入居者(借主)側が用意すべき連帯保証人の役割を、保証料を取ることで代行する会社のことです。
賃貸物件の契約時には、借主側にあらかじめ連帯保証人を設定する義務が課せられています。
連帯保証人を設定することで、入居者がなんらかの理由から家賃を払えなくなったとしても保証人に立て替えの請求が可能です。そのため大家は、取り立てをし損ねることがなくなるわけです。
入居希望者の中には、何らかの理由で親族や親戚に頼めずに、どうしても連帯保証人を設定できない人がいます。その人にとっては、料金さえ払えば連帯保証人を立てられるありがたい存在といえるでしょう。
連帯保証人を立てられる場合は保証会社を利用しなくてもいいの?
大家、もしくは不動産管理会社側が、家賃保証会社の利用を条件に提供している賃貸物件もあれば、家賃保証会社・連帯保証人のどちらか一方で良いとしている物件もあります。
中には「家賃保証会社+連帯保証人」という条件を設定している物件もあるため、事前の確認が欠かせません。
家賃保証会社との契約では、入居者側に料金を支払う義務があります。
したがって、「保証会社との契約が必須」と条件づけている物件に入居する限り、保証料や手数料は必ず支払わなくてはいけません。
逆に考えると、「連帯保証人のみでも可」と記載している賃貸物件を選べば、家賃保証会社は利用しなくてもよいのです。
家賃保証会社の大家のための5つの役割とは
保証料を支払うことで連帯保証人に成り代わって役割を担う家賃保証会社ですが、具体的にはどのような形で役割を果たしているのでしょうか?
ここでは、入居者(借主)に対する役割ではなく、大家や不動産管理会社に対する保証会社としての役割について詳しく見ていきましょう。
まず家賃保証会社が担う保証内容について、その名前から多くの人が「家賃の保証のみを行う会社」と誤解しがちです。
家賃保証会社の役割は、家賃保証のみならず以下の保証を全て提供するのが一般的です。
- 支払い能力の審査
- 家賃滞納の保証
- 賃料回収代行
- 訴訟費用負担
- 原状回復・残置物撤去費用負担
では、それぞれの項目について詳しく確認していきましょう。
1.支払い能力の審査
家賃保証会社は、入居希望者の支払い能力について、主に年収における家賃比率をベースに年収と家賃額を照合する独自の審査を行っています。
これによって、入居希望者が継続して家賃を支払っていける収入があるかどうかを確認しているのです。
審査基準としては、厳しいケースで月収の3割程度、一般的には月収の3分の1程度を家賃に充てられるだけの収入があるかどうかがチェックされています。
これを前提に考えてみましょう。月収30万円の人にとっての3割に当たる家賃10万円という金額は、支払後すぐに生活が困窮するほどの負担ではないことは明らかです。
一方で月収10万円の人にとっての3万円という金額は、決して軽い負担ではないどころか支払後に7万円しか残らないと考えると、生活が困窮してしまう可能性が高いといわざるを得ません。
こういった要素もしっかりと考慮され、実際の審査は行われます。
必ずしも、上で示した3分の1という基準が絶対とはいい切れません。それでも収入があまりにも低すぎる人は、審査の対象ですら見てもらえない可能性があることを考慮しておくべきです。
要するに、大家や不動産管理会社からしてみれば、家賃の支払い能力がある人に入居してもらうに越したことはないのです。
2.家賃滞納の保証
契約者本人である入居者(借主)が万が一にも家賃を滞納した場合、家賃保証会社によって速やかに滞納分の立て替えが行われます。
つまり、保証会社が借主に代わって大家に対して家賃を支払うのです。これにより大家は、家賃収入を確実に得られます。
借主に督促しても滞納分が支払われないケースなど、大家は家賃に関するさまざまなリスクを常に抱えています。
だからこそ大家にとって家賃保証会社による保証は、リスク回避の意味でもぜひ導入しておきたい制度なのです。
こういった安心感や魅力があることを考えれば、家賃保証会社と契約する不動産屋や大家が年々急増するのもやむを得ないといえるでしょう。
3.賃料回収代行
大家や不動産管理会社と代わって、家賃保証会社が自ら家賃を借主から収受する賃料回収代行も、家賃保証会社の保証内容の一つです。
ただし賃料を立て替える家賃滞納保証と違い、賃料の回収代行にはやや注意しなくてはなりません。
家賃保証会社による家賃保証は、貸金業界と比べると、未だ法律などによる整備がほとんど行われていないのです。
これにつけ込む形で、中には強引な手法などで悪質な取り立てを行う会社があります。滞納してしまった際に「事務手数料」の名目で、入居者に対して法外な金額を請求する悪質な会社も報告されています。
賃貸物件に住む入居者にとっては、強引な取り立てを受ける可能性があることだけでも、デメリットしかない制度といわざるを得ません。
4.訴訟費用負担
再三の督促にもかかわらず滞納している入居者に対し、訴訟による問題解決を希望する大家もいます。
そのような場合に、大家と入居者との間で発生した未払い家賃に関する裁判にかかる費用を、家賃保証会社が負担してくれることになります。
ただしこの裁判費用は、家賃保証会社が負担するものではありません。最終的には、家賃保証会社から入居者に対して請求が行われ、結果的に入居者が全額負担するケースが大半です。
5.原状回復・残置物撤去費用負担
次の入居者に対して物件を貸し出せるよう、部屋を原状回復するためにかかる費用も、家賃保証会社が負担します。
この保証による支払いは、原則として前入居者が退去した後です。
万が一、入居者の退去後に残された私物(残置物)があった場合、これの撤去と鍵の交換、内装の修復なども全て行われます。
ただし、具体的な費用負担の対象は家賃保証会社ごとで異なっており、事前の確認が欠かせません。
入居者にとっての家賃保証会社のメリット・デメリット
入居者にとってのメリットを2つ、デメリットを3つ確認していきましょう。
メリット1|入居審査が通りやすい
物件入居が難しい人や親や親戚に連帯保証人を頼めない人は、家賃保証会社との契約に利点があります。
なぜなら連帯保証人を用意できなくても、家賃保証会社からの保証によって入居審査に通りやすくなるからです。
メリット2|気苦労や手続きの手間が少ない
連帯保証人を別途用意する必要がないため、親や親戚などにわざわざ頼む必要がありません。
そのため以下のような人に大きなメリットがあります。
- 面倒な手続きや、親や親戚に頼む気苦労をしたくない人
- 一人暮らしをしたいのに、親に反対されてしまい自立できない人
一つだけ注意しておきたいのが、入居条件に「家賃保証会社+連帯保証人」と規定している物件があることです。
こういった物件では、家賃保証会社との契約に加えて連帯保証人を別途用意する必要があります。
この条件があるかどうかは大家の考え方や方針によるところが大きいので、不動産屋から物件を紹介された段階で必ず確認をしてください。
デメリット1|敷金・礼金とは別に費用がかかる
物件の契約時、大家と仲介業者に支払う料金・手数料とは別に、家賃保証会社への支払いが発生します。また契約時よりも金額自体は低いものの、更新料を支払う必要がある点にも注意してください。
連帯保証人を用意できる人や家賃を滞納しない自信がある人にとっては、完全に無駄な出費になってしまいます。
デメリット2|入居者が家賃保証会社を選べない
その物件に住みたい入居者本人は、残念ながら家賃保証会社を自分では選べません。
物件ごとにあらかじめ家賃保証会社が決まっていることが大半で、それに従って契約する必要があります。
これによって、以下のようなリスクを被る可能性が考えられます。
以前に全く同じ家賃保証会社で家賃を滞納したことがあると、この事実が家賃保証会社側で速やかに把握され、これが原因で審査に落ちてしまう確率が高くなる、というものです。
家賃保証会社にもカードローンの契約のような独自の審査があります。
つまり、「この人は過去に家賃を滞納したことがある」という情報が確認された段階で、問答無用で審査に落とされてしまうというわけです。
こうなってしまった場合、その物件は諦めて別の物件にするしか方法はありません。
デメリット3|家賃滞納時の取り立てがひどい
家賃を滞納した数日後には連絡が入り、それから1~2ヶ月程度で突然告訴されたことを知らせる内容証明が送られてきたというケースが報告されています。
また、事務手数料などの名目で家賃とは別の形で1万円を請求されたという、ちょっと信じられないような報告もネット上に挙げられています。
これらは、いずれも家賃保証会社によって行われた対応です。
このように家賃保証会社のシステムでは、「家賃滞納時の回収を代行する」という目的から、連帯保証人に督促する場合と比べて非常に厳しい対応をされがちです。
なぜこれほどまでに厳しい取り立てが行われるのかというと、家賃保証会社業界は貸金業界ほど厳しい制約やルール付けが、まだ行われていない点に原因があります。
厳しい取り立てや強引な手法で取り立てを行っても、国などから行政処分など何らかの処分を受けることがないのです。
さらに家賃保証会社の中には元々サラ金業者だったところも多く、取り立てに対するノウハウがあることも要因です。
その強引な取り立ての実態を示す、次のような実例もあります。
オートロックや監視カメラなど、厳重なセキュリティーが施されたマンションでの話。
管理人に「〇号室の人と連絡が取れず、もしかしたら死亡しているかもしれない」などと伝え、まんまとマンション内に侵入し強引な取り立てを行う、というひどい会社が実際にあったようです。
全ての家賃保証会社がそうではありませんが、中にはこういったひどい対応を行う会社があることも知っておくべきでしょう。
まとめ|家賃保証会社は大家のためのサービス!滞納はしないこと!
家賃保証会社との契約を義務化する賃貸物件が急増する背景には、大家にとって絶大なメリットが多いということが理解いただけたと思います。
つまり、家賃保証会社との契約で入居者(借主)が得られるメリットはほとんどなく、大家のためのサービスといっても決して過言ではないのです。
もし良い物件が見つかったにもかかわらず家賃保証会社との契約が必須だったとしたら、契約が不服でも利用するしか道はありません。
利用するのなら、以後のトラブルを招かないためにも家賃は毎回しっかり払ってください。
どうしても利用したくないのであれば、家賃保証会社との契約を義務付けていない物件を選びましょう。
※記載されている内容は2024年9月現在のものです。