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親が学費を払えない・払ってくれないときはどうすべき?学生ができる対処法を解説

更新日:

公開日:2021.8.4

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「子どもの学費が払えない!納入期限まで時間もないし、今すぐ解決できる方法はある?それとも諦めるしかない?」

親には子どもが自立するまで養育する義務(扶養義務)があるので、学校に通う学費を負担しなければいけません。
ところが、やむを得ない理由でそれができないケースもあれば、払える余裕はあるのに払ってくれないといったケースも珍しくありません。

こういった状況に遭遇しても一人で悩んだりせず、まずは学校に相談するところから始めましょう。そうすることで、学費の減免や支払い猶予といった救済措置を初めとした、無理なく払える環境を提示してもらえる可能性を期待できます。

余裕はあるのに親が支払いを渋るようなら、学生でも借りられる奨学金の利用を検討するか、いっそのこと問題解決の方法が見つかるまで進学を諦める、または休学するのも一つの手です。

そこで今回は、子どもが学校に通うために必要な学費を親が払えないとき、その状況を解決する対処法を詳しく紹介していきます。
親の協力が必要なものだけでなく学生本人が独断できる方法も紹介するので、親が学費を払ってくれない人も決して諦めず、一緒に問題解決を目指しましょう。

「すぐにでも学費を払わなければならない」「どうしても今すぐ現金が必要」という人は、即日融資に対応しているカードローンの利用を検討してみてください。

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主な進学先における学費の平均相場

学生とひとくくりにしても、進学先はさまざまです。進学時には入学金や授業料といった基本的な学費だけでなくその他の費用も必要になる上、進学先ごとでその金額も大きく違ってきます。

そこで、学費が払えないときの対処法を見る前にまずは、高校卒業後の主な進学先でどのくらいの学費が一年間に必要か、を確認していきましょう。以下表は、主な学校別の入学初年度における納付金の平均相場をまとめたものです。

入学金 授業料 その他費用 合計
国立大学 28万2,000円 53万5,800円 施設費、実習費、諸会費など大学・学部が異なるため省略 81万7,800円
公立大学 39万3,618円 53万8,633円 93万2,251円
私立大学 文系学部 22万9,967円 78万5,581円 15万1,344円 116万6,922円
理系学部 25万4,309円 110万5,616円 18万5,038円 154万4,963円
医・歯・薬 107万3,083円 286万7,802円 88万1,509円 482万2,394円
専門学校(昼間部) 17万9,000円 69万3,000円 38万2,000円 124万4,000円

※金額は全て1年当たりの平均額

親が学費を払えないときには?

親が子どもの学費を払えない理由はさまざまです。経済的な理由などやむを得ない理由は仕方ありませんが、なかには子どもとしてちょっと理解できない理由もあるでしょう。
ただし理由はどうあれ何の対策もしないのであれば、学費をきちんと支払わない限り、進学したり在籍し続けたりするのは難しいのが実情。学生として学校で勉強したいのであれば、なんらかの対策を今すぐにでも実践すべきです。

そこで、まずは現状で親が学費を払えないときの対処法から紹介していきます。状況にあわせて以下の中から最適な方法を選ぶか、もしくは併用してぜひ解決を目指してください。

まずは学校に相談する

「お金を払うべき学校に相談しても、よい返事は返ってこないんじゃ」と思うかもしれませんが、学費が払えないのならまずは学校に相談してください。
学生を受け入れている学校にとって学生は大切な収入源であり、できれば卒業まで在籍してほしいと思っています。そのため、一時的な理由で学費が払えなかった学生とその親に対し、多くの学校側ではさまざまな救済策を制度として導入しています

こういった救済策は、学費が払えないのに黙って滞納し続ける不誠実な親には適用されず、恥を忍んできちんと相談してくれる親にだけサポートする学校が大半です。
救済制度があることはあまり公表されておらず、学費が払えない問題に直面している学生やその親にのみ知らされるのが通常です。したがって、相談してみて初めてそういった制度があることを知った人も少なくありません。

相談しないといつまでたっても問題が解決できないばかりか、自分だけの力で全ての負担を背負う必要も出てきます。きちんと相談すればそれ相応の恩恵を受けられる可能性が高くなるので、学費が払えないなら必ず一度は学校に相談しましょう。

学費の減免制度

学校では学費が払えない学生とその親に対して、以降の学費を減免する制度を設けているところがあります。
減免とは、滞納している学費の一部を減額するか、全額の支払いを免除する方法のことです。減額か免除のどちらかが適用されるかは学校側の一存で決められますが、主に以下のような基準で決定する傾向があります。

  • 減額:経済的な理由から滞納分の全額納入が難しい、学習意欲がある学生
  • 免除:経済的な理由から滞納分の全額納入が難しい、特に成績優秀な学生

どちらも経済的な理由で学費が払えない点では同じですが、このうち免除が適用されるのは、学校での成績が特に優秀と判断された学生のみです。
学内で成績が特に優秀でない限り、免除を適用されるのは極めてまれなケースなので、自信がない人は減額措置を想定しておきましょう。

私立系の学校では減額・免除の扱いを区別するために、成績優秀者を対象にした特待生制度を設けているところもあります。
入試などの試験成績を元に成績上位者を選出し、あらかじめ設定された人数内で対象者を決める方法を採用している学校が多い傾向です。
そのため、特待生制度は入学時に適用されるのが一般的で、なかには編入者を対象に進級時にもあわせて行っている学校もあります
経済的に余裕がないけれど入試の成績に自信があるなら、自己負担を減らすために特待生制度目当てで志望校を選び、チャレンジしてみるのも賢い選択です。

減額ではなく免除が適用されれば、以降の学費負担が全額免除されるので、親の負担も一気に軽くなるでしょう。

分割による支払い(分納)

滞納している学費を一括ではなく複数回に分けて納入する、分割による支払いも救済措置の一つで、学校によっては分納と呼んでいるところもあります。
一括による返済は困難でも、時間をかければ最終的に完済できるだけの収入はある、と収入状況から判断できるケースで主に適用されています

学費は一括または年2回の納入が一般的です。分納が認められると、これをさらに細かく分けて1回分とするため、1回当たりの返済負担を一気に減らせるわけです。
何回払いになるかは学校の決定次第ですが、およそ6~12回の範囲で具体的な回数を設定する学校が多く見られます。

年80万円の学費が必要なら、一括払いで80万円、2回払いなら1回当たり40万円を納めなくてはいけません。例えばこれを年6回払いにできれば1回当たり約13万円、12回払いなら約6万円にまで抑えられる計算です。
本来の金額だと納めるのは難しいが、これなら滞納せずになんとか学費を納められる、と自信を持てる人も多いのではないでしょうか。

支払いの猶予(延納)

通常、学費が払えないことを学校に相談すると、まずは分納によって問題を解決できるかどうかがチェックされます。なかには、収入が一時的になくなってしまったり毎月の生活費だけで限界だったりする人も少なくありません。

そういったケースでは、分納ではなく支払いを一定期間猶予する延納措置が適用されます。分納の回数と同じく延納によって延期される期間は学校の決定次第で、同じ学校であっても学生ごとで適用される猶予期間は違うのです。
通常、延納によって認められる猶予期間は2~6ヶ月程度のケースが最も多く、滞納額や収入状況によっては1年程度認めたケースも報告されています。

ただし、通常より少ない金額であっても毎月お金を支払う分納と違い、一時的に支払い自体を先延ばしできる延納措置の適用に、一定の条件をつける学校もあります。
条件を満たせない場合は延納が認められず、途中で破ると即座に延納措置も撤回されてしまうので、延納を希望するのであればこの点にも注意してください。

国が運営する教育ローンから借りる

親の現状の収入だけでは子どもの学費を払えないなら、他からお金を借りて学費に充てる手段も検討しましょう。なかでも教育ローンはその名の通り、教育にかかる費用に特化した商品で、学費の支払いにも使えます

「学資ローン」と呼ばれていた時代からさまざまな商品が販売されていて、教育ローンの名称で一般化した現在ではその数もさらに増え、幅広い選択肢から自由に選べる点が特徴です。
なかでも国(日本政策金融公庫:JIC)の教育ローンとなる教育一般貸付(国の教育ローン)は、国運営ならではの安心感・信頼性の高さが魅力で、貸付条件も他のローンとと比べ破格の内容です
その上、教育一般貸付は奨学金とも併用できるので、例えば医歯薬系など毎年高額の費用がかかる学校に進学する子どもを持つ親も、借入先を必要以上に増やさずに済みます。

後述する民間運営の教育ローンと比較すると、利便性の高さも特長の一つ。全ての手続きが郵送もしくはインターネットからの申し込みで完結できるので、実店舗に出向く必要がなく遠方に住んでいる人でも自宅や職場から手軽に申し込めます。

ただし、奨学金と比較している人や併用を検討している人は、次の点に注意してください。
教育ローンは借り入れが発生した段階から返済が必要な商品であり、基本的に借り入れた翌月か翌々月から返済がスタートします(ただし利子のみの返済で元金の返済は卒業後に据え置き可能)。
卒業後から返済が始まる奨学金と混同して利用直後から滞納しないためにも、これらの違いは正確に把握しておきましょう。

【教育一般貸付の基本内容】
融資限度額 子ども1人当たり350万円まで
(留学は450万円まで)
金利(年利) 1.66%(固定金利、保証料は別途)※注1
(母子・父子家庭など優遇措置対象者は上記利率から0.4%減額)
返済期間 最長15年
(母子家庭など優遇措置の対象者は最長18年)
返済の開始時期 借り入れた月の翌月または翌々月から
(返済日は選択OK)
返済方法 ・元金+利子分の毎月一定額を返済(元利均等返済)
・在学期間中は利子のみ返済(元金据置返済)
※ボーナス時増額返済も利用可
認められている
使い道
・受験にかかる費用(受験料、受験時の宿泊費、交通費など)
・在学に必要な学費(入学費、授業料、施設設備費、実習費など)
・在学するために必要な生活費(家賃、光熱費、交通費など)
・在学中の学習に必要な教材費(パソコン購入費なども可)
・学生本人にかかる国民年金保険料
保証人 必要
(公財)教育資金融資保証基金との契約もしくは連帯保証人の設定(別居、別生計の親族のみ)

注1:金利は令和3年7月現在の数値であり、変更される可能性があります

国の教育ローンは審査が甘いと言われていますが、果たして本当にそうなのでしょうか。
下記ページではそんな国の教育ローンの審査について情報をまとめています。ぜひ参考までご覧ください。
>>> 国の教育ローンの審査は甘い?

民間の金融機関が運営する教育ローンから借りる

国のものだけでなく民間の金融機関からも教育ローンが販売されています。教育ローンを販売している主な民間の金融機関は次の通りです。

  • 銀行
  • 信用金庫
  • ろうきん(労働金庫)
  • JAバンク
  • 信販会社

各金融機関で教育ローンの特長もさまざまで、目的や用途にあった選び方が自由自在に行えるのが魅力です。
なかでも国の教育ローンでは採用されていない親子リレー返済は、子どもが在学中は親が返済し、卒業後は親に代わって子どもが返済する、民間ならではの制度です

教育ローンは本来、親が契約して返済しなくてはいけない商品ですが、この方法なら卒業後の収入を得た子どもの力を借りて一緒に返済できます。
親単独での完済が難しく、卒業して就職した子どもの助けも借りなければいけないほど先行きが見通せない状況なら、ぜひ活用したい方法といえるでしょう
信販会社を中心に保証人設定が不要な民間教育ローンもあるので、保証人を頼める身近な人が見つからず諦めてしまっていた人にもおすすめです。

民間の教育ローンを使うときに注意したいのが、学校提携型ローンの存在です。
通常の教育ローンは契約者に対して希望額をローン会社から直接融資しますが、学校提携型教育ローンは契約者に代わってローン会社が学校側に直接お金を支払います
つまり、契約者の手元には一切お金が渡りません。家賃や定期代など学校に直接支払う以外の使い道も想定している人は、契約したのに手元にお金が来ないことで支払えない危険性がある点に注意が必要です。

学校提携型教育ローンは一部の銀行(楽天銀行、群馬銀行など)の商品を除き、基本的に信販会社が多く販売している商品です。信販会社との契約を検討しているなら、融資方法がどうなっているか確認してから申し込むようにしてください。

豊富な種類のなかから、全国から契約できる商品を中心にピックアップし表にまとめました。民間教育ローンのスペックや特徴を把握する材料として活用してください。

上段:販売元
下段:商品名
三井住友銀行
教育ローン(無担保型)
JAバンク
JAネットローン教育ローン
中央ろうきん
「教育ローン(証書貸付型)」
Orico(オリエントコーポレーション)
教育プラン
借入限度額 10万~300万円
(1万円単位)
10万~1,000万円(1万円単位) 2,000万円まで(1万円単位) 10万~500万円まで
(1万円単位)
申込資格 前年度の税込年収200万円以上で安定収入がある満20~65歳までの人 前年度の税込年収200万円以上で勤続年数1年以上の満20~70歳までの人 ・前年度の税込年収150万円以上で安定収入がある満18~64歳までの人
・労働団体構成員もしくは生協会員の人
安定収入がある満20歳以上の人
金利(年利) 3.475%(変動型、保証料別途) 2.0~3.5%(変動型、保証料込み) ・団体会員:2.2%(変動)2.4~2.9%(固定)
・生協組合員:2.4%(変動)2.6~3.1%(固定)
※全て保証料込み
4.8%(変動型)
返済期間 10年 15年 15年 7年
※借入金50万円以下の場合は4年
返済方法 ・元利均等返済方式(ボーナス時増額返済OK)
・繰り上げ返済(要手数料)
元利均等返済(ボーナス併用返済OK) ・元利均等毎月払い
・元金据置返済(最長5年間)
・分割返済
・繰り上げ返済(手数料不要)
・元利均等返済(ボーナス併用返済OK)
申込方法 ・インターネット
・電話
・本支店のローン契約機(ACM)
・インターネット(JAネットローン経由)
・全国のJA支店窓口
・インターネット
・店頭窓口
・インターネット
・郵送
保証人 必要
((株)SMBCコンシューマーファイナンスとの契約)
必要
(各JA所定の保証機関との契約)
必要
((一社)日本労働者信用基金協会との契約)
不要
※審査結果により必要になる場合あり
審査難易度 厳しい 厳しい 普通 やや易しい

親が学費を払ってくれないときには?

学費が払えないくらいに収入が減ってしまうなど、やむを得ない理由から親が子どもの学費を払えないケースが大半ですが、なかには親が学費を払ってくれないケースもあります。
払えるだけのお金はあるのにもしも自分の親が学費を払ってくれないとしたら、こんな場合にはどうすればいいのでしょうか?

そこでここでは、親が学費を払ってくれないときにぜひ採りたい対策をいくつかご紹介します。端から諦めてしまうのも一つの手ですが、どうせ諦めてしまうくらいならダメ元で、最後に一度は行動してみましょう。

親を説得する

払える余裕はあるのに親が学費を出してくれないときには、まず説得するところから始めてください。
といっても、ただ「学費を出してほしい」とお願いしたところで、それでYESと言う親なら最初から学費を払ってくれているはずです。
子どもの将来よりも目先の出費を優先するくらいなので、そんな親の心を動かすことに重点を絞った説得をできるかが、今回のカギになります。

支払いを渋る親の心を動かしたいなら、以下のポイントに重点を置いた言葉で説得しましょう。

  • 進学することで、本人だけでなく親にもメリットがあることをアピールする
  • 進学した場合としなかった場合での収入の違いを具体的な数値でアピールする

親が学費を出し渋る理由はそれぞれ違いますが、お金を出すことで直後の生活が不安定になるなど、目先の不安や負担から払いたくない、といった理由が大半です。
そこで、金銭面での不安を理由に出し渋る親を説得する材料として、進学した場合としなかった場合で将来的にどのくらい収入に差が出るかを具体的に伝えるのが、今回のポイントです。

厚生労働省が令和2年に行った調査(下記参考元)によると、高卒と大卒の平均年収は約425万円と約585万円で、その差は160万円にも上りました。
これが55~59歳の定年間際になるとその差はもっと広がり、高卒が約494万円なのに対し大卒は約823万円と、2倍に迫る開きになる結果でした。

1年間の収入だけで平均160万円もの差が出るので、大学に4年間通って合計300~600万円程度のお金が必要と考えると、4年働けば十分に元が取れる計算です。以降は働き続けるほど年収に差が出てくることになるので、結果的にどちらが得かは明白です。

ここまで説明してもまだ、自分が抱える目先の負担にばかり目が行き、学費の支払いを渋る親もいるでしょう。そこで、説得の成功率をより底上げする方法として「就職したら、給与から毎月仕送りをして家計を援助する」と、こちらから提案してみるのも一つの手です。
もしくは「取り急ぎ自分の借金として学費を親に立て替えてもらい、将来働き始めたら返済する」と約束する方法もあります。この時、口約束ではなく書面として借用書や契約書を自作して渡せば、より効果的です

「お金を出したくても、現金自体が手元にない」といわれる可能性もあります。
こんな場合は、上記「民間の金融機関が運営する教育ローンから借りる」の項目で紹介した、親子で一緒に返済するタイプ(親子ステップ返済)の教育ローンから借りる方法を提案してください。
これなら、契約者となる親にだけ返済義務が課せられる他のローンを提案するより説得しやすいはずです。

親戚に相談する

親に学費を出してもらうよう、相談や説得をしても善い返事が返ってこないようなら、より強い説得効果を狙って親戚に相談してみる手もあります。
少し卑怯な手口のようでもありすが、家族以外の身近な人からの説得に弱いタイプの人もいます。特に祖父母や伯父・伯母といった、親から見て目上の人に狙って相談し力添えを頼めば、それ以外の人に頼むより効果も期待できるはずです。

お金の貸し借りを相談できるくらいのつながりがあるなら、いっそのこと親戚に学費分の負担を直接お願いするのも方法の一つです。祖父母のようなつながりが特に強い親戚なら、大切な孫のために一肌脱いでくれる可能性も十分期待できます。
親戚に相談するなら親に相談するときと同様、借金としてお願いし借用書を用意して頼めば、貸してもらえる確率を上げられるでしょう

ただし、伯父や伯母といった祖父母以外の親戚に借金を申し込むつもりなら、一つだけ注意しておきたいことがあります。それが、贈与税の存在です。

直系親族以外から学費を出してもらうときに注意したい贈与税

贈与税とは相続税法によって定められた税制度の一つで、他人から財産を譲り受けたときに、その財産の価値に応じて課せられる税金です。学費もお金であり財産に当たるので、基本的にはこの贈与税の課税対象です。

ただし、相続税法では以下のようにも規定されていて、親子など特定の親族間でのやり取りであれば、学費として使う分は贈与税の非課税対象として扱われます。

第21条第3項
次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。

扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの

引用元:相続税法|e-GOV 法令検索

学費は教育費に含まれるので、この規定により扶養義務者との間のやり取りであれば、贈与税はかかりません。扶養義務者とは民法第877条第1項で規定されている直系親族(直系血族)のことで、この場合は以下の親族がその対象です。

  • 父母
  • 祖父母
  • 兄姉弟妹

つまり、父母や祖父母、兄姉といった直系親族からのお金であれば、その学費には贈与税が課せられないわけです
反対に、伯父・伯母やいとこといった直系親族以外の親戚からの融資には、たとえ教育目的に使ったとしても贈与税が課せられるため、注意してください。
贈与税さえきちんと払えば、直系親族以外の人から融資を受けること自体に問題はないので、貸してもらえるなら納税ありきで融資を受けるのも一つの手段です。

ただしこれらは全て、上記法律で規定された「通常必要と認められるもの」に該当するお金にのみ適用されます。
例えば、入学金や授業料と別に入学祝いの名目でもらったお金は、通常必要な教育費と認められず課税対象です。
学費として借りたお金が余ったからと、生活費や教育費以外の目的に使った場合も通常必要なものとは認められず、その分は課税対象として扱われます。

贈与税には年110万円までの基礎控除(非課税の上限)が設定されていて、これを上回った額には納税義務が発生します。合算して110万円の上限を超えないよう、くれぐれも注意しましょう。

自主退学・進学の辞退を検討する

親や親戚に相談しても答えが見つからないようなら、退学や進学の辞退を真剣に検討する段階に差し掛かっているといえるでしょう。
親戚に頼ってまで現状を解決しようと行動したことを考えれば、学校に通いたい強い意思の表れととれます。それでも、学生が自分の力だけでお金の問題を解決するのは至難の業です。

特に、自分名義で借金をしてまで学生を続ける意欲を持てない人は、学生の道を一度諦めて就職や別の道を模索する方法を検討すべきでしょう。別の世界を体験した上で「やっぱり学生として勉強したい」と強く感じたなら、再挑戦する方法もあります。
詳しい内容は後述しますが、本当に今の自分にとって進学すること、学校に在籍し続けることがベストな選択か、振り返ってみることも大切です

自分でお金を借りる

親や親戚に相談しても解決できず、かといって学生の道を諦めるのが嫌なら、自分でお金を借りてそれを学費に充てる方法もあります。お金を借りる=借金なので、自分で借りたなら将来必ず返済しなくてはいけません。

そのリスクを背負ってでも学生として勉強を続けたい強い覚悟があるなら、奨学金を初めとした学生でも利用できる方法で問題解決を目指しましょう。

親に頼れない学生ができる対処法

どれだけ説得しても親から快い返事をもらえなかったり、端から聞く耳を持ってもらえなかったりしたなら、いよいよ自分で問題を解決するしかありません。

そこでこの項目では、学生の人でも学費の問題を解決できる方法を詳しく紹介していきます。親の助けを期待できた場合と比べると将来の負担は大きくなりますが、それでも学生の道を諦めたくないなら、ぜひ検討してください。

奨学金から借りる

未成年を含む学生本人が今すぐに始められる対処法は限られています。それでも、現状を一気に解決できる方法となるのが奨学金の利用です
奨学金とは、学ぶ意欲があるのに経済的な理由などから学業を続けるのが難しい、学生本人にお金を貸し出す制度です。

同じような制度として教育ローンを連想する人も多いでしょう。教育ローンは親など保護者が学生に代わって契約するのに対し、奨学金は学生本人が契約するところが最も大きな違いです。
つまり、教育ローンは親が背負う借金であり、奨学金は学生本人が背負う借金となります。

奨学金とひとくくりにしてもさまざまな種類のものが運営されていて、その中から自分に合った条件のものを選んで契約するところから始めなくてはいけません。それぞれの奨学金の基本的な内容と特徴を解説するので、ぜひ参考にしてください。

日本学生支援機構(JASSO)

日本で運営されている奨学金のうち最もポピュラーなものが、日本学生支援機構(JASSO)が運営している奨学金制度です。

進学予定者を対象に全国の高校で紹介される奨学金の定番といえば、ピンとくる人も多いでしょう。
運営者の日本学生支援機構は文部科学省所管の独立行政法人であり、JASSOの奨学金は国運営の奨学金とも呼ばれています。国運営ならではの安心感や安全性が一番の特長で、そのほかにもさまざまな用途に合わせた制度を導入している点も魅力です

令和3年現在JASSOが運営している奨学金制度は以下の三種類です。

  • 貸与型(利子あり):年利0.003~0.468%(令和3年度7月時点)の利子が発生する、将来返済が必要な奨学金。第二種奨学金と呼ばれる
  • 貸与型(利子なし):利子が発生しない、将来返済が必要な奨学金。第一種奨学金と呼ばれる
  • 給付型:借りたお金の返済が原則不要な奨学金。収入制限など一定条件を満たす必要がある

第二種よりも第一種が、第一種よりも給付型の方が、借り手側の負担から見ればお得な制度です。ただし、給付型は収入制限などの一定の条件を満たす必要があるため、全ての人が利用できるわけではありません。

第一種は主に、成績上位者など高めの選考基準をクリアできる人が対象の奨学金で、将来の返済は必要ですが元本のみの返済でよく、利子の負担はゼロ。
第二種は学習意欲がある希望者が利用できる奨学金で、3つの中で最も利用条件が易しいです。代わりに元本+利子の返済が必要なので、最も負担が大きい奨学金の一面もあります。

【日本学生支援機構(JASSO)奨学金制度の概要】
奨学金の種類 第一種 第二種 給付型
契約する人 学生本人 学生本人 学生本人
支給額(月額) 大学:2~6万4,000円
短大、専門学校:2~6万円
大学・短大・専門学校:2~12万円
大学院:5~15万円
国公立:5,900~6万6,000円
私立:8,900~7万5,800円
収入条件(4人家族で給与所得の場合) 年収747万円以内 年収1,100万円以内 住民税非課税世帯
返済義務 あり(元本のみ) あり(元本+利子) なし
返済期間 卒業後20年間 卒業後20年間
利子 0.003~0.468%(固定型)※令和3年度7月時点の数値

社会福祉協議会

社会福祉法に基づいて設置された社会福祉協議会(社協)からも、学生が利用できる教育支援資金貸付制度が提供されています。
教育支援資金貸付制度は、主に銀行などからの借り入れが困難な世帯を対象にお金の貸付を行う、全国の都道府県が主体となる自治体運営の奨学金の一種です

申し込みは全国の各市町村社会福祉協議会から行い、その後に各都道府県社会福祉協議会で審査後、融資が行われます。
学費を対象にした教育支援資金貸付制度には、一括して資金を貸し付ける就学支度金と毎月一定額が支払われる教育支援金の二種類が用意されていて、併用可能です

利用時には、以下の点に注意してください。
教育支援資金貸付制度はあくまでも、学生が利用できる他の貸付制度(JASSO奨学金など)の支給開始までのつなぎとして実施されている制度です。したがって、JASSOやあしなが育英会から給付・貸付が始まってから申し込んでも原則利用できません
ただし、他の制度で上限額まで給付・貸付を受けてもお金が不足する場合に限り、最短就学期間(例:大学4年間、短大2年間など)を上限に、給付・貸付後でも借入申請できます

また、すでに生活福祉資金からお金を借りていて滞納中の世帯や、生活福祉資金の連帯保証人がいる世帯の利用も認められないため、対象になっていないか事前に確認しておきましょう。

【教育支援資金貸付制度の基本内容】
貸付制度の種類 就学支度金 教育支援金
貸付額 50万円まで(一括による支給) 高校:月額3万5,000円まで
高専・短大:月額6万円まで
大学:月額6万5,000円まで
※必要と認められた場合に限り上記金額の最大1.5倍を上限に増額可能
利子 なし(返済期間内)
※返済期間を過ぎると年利3.0%の遅延損害金が発生
返済期間 最長14年間
※卒業後6ヶ月までは据え置き可能
返済方法 毎月一定額を返済(元金元利均等返済)
保証人 原則不要
※ただし同一世帯内で連帯借受人が必須
認められる使い道 ・入学金
・学校内組織の入会金
・教材費
・備品代(制服、かばん、靴など)
・授業料、施設設備費など
・就学に必要な生活費(家賃、食費、光熱費など)
・交通費
・学用品の購入費
・施設設備費

あしなが育英会

病気や事故、災害などにより親が亡くなったり重い後遺障害を抱えていたりする世帯の子どもを対象に支援活動を行っているあしなが育英会にも、独自の奨学金制度があります。

あしなが奨学金は、親が重い障害を抱えているか亡くなっている場合にのみ利用できる奨学金なので、利用できる人は限られています。そのため、他の奨学金と比べて好条件でお金が借りられる上、併用も可能です。
あしなが奨学金の一番の特長が、貸与+給付という独自の制度を設けている点。毎月一定額を支給する方式はJASSOなどと同じですが、大学生の場合は毎月7万円支給されるうち、4万円が貸与で残り3万円が給付の形で支払われます。
つまり、将来的に返済するのは貸与された金額のみで、給付された金額には返済義務がありません。その上、貸与されたお金も返済期限を迎えるまでは無利子なので、負担が少なく済みます。

特に生活が困窮していると判断される大学生に対しては、要申請の特別制度を設けており、認められれば通常の支給額に1万円追加して受け取れます。
そのほかにも、私立学校に入学する学生を対象に、高校30万円大学40万円のお金を一括で貸し付ける入学一時金制度もあるので、国公立よりも負担が大きい私立に進学する場合も安心です。

申込資格はとても厳しいですが、もし対象者に含まれているのなら、ぜひ利用したい制度の一つといえるでしょう。

【あしなが奨学金の基本内容】
支給額 高校・高専 国公立:4万5,000円(貸与2万5,000円、給付2万円)
私立:5万円(貸与3万円、給付2万円)
専門学校 7万円(貸与4万円、給付3万円)
大学・短大 一般奨学生:7万円(貸与4万円、給付3万円)
特別奨学生:8万円(貸与5万円、給付3万円)
大学院 12万円(貸与8万円、給付4万円)
利子 無利子
返済期間 20年間(卒業後半年間の据置期間後)
※返還が困難と認められた場合の猶予制度あり
返済方法 ・年1回払い
・年2回払い
・毎月払い
保証人 必要(保護者でも可)
備考・特徴 ・私立大学入学者への最大40万円の一時金制度あり(要申請・貸与型)
・3ヶ月ごとに3ヶ月分の金額を一括で送金(本人名義のゆうちょ銀行口座が必須)
・他の奨学金との併用OK

学校独自運営の奨学金

進学先の学校によっては、学校が独自で運営している奨学金制度も利用できます。原則としてその学校に在籍しているか進学予定の学生のみが利用できる点に注意してください。

学校を運営している法人が独自に提供している奨学金のほかにも、主に国公立大学を対象に自治体が入学金や学費の一部を無利子で貸与する制度もあります
学校や自治体ごとで提供しているかどうか違ってくるので、お住まいの自治体で提供されているか公式サイトで事前に確認しておくことをおすすめします。
もしくは、日本学生支援機構(JASSO)の公式サイトからも全国の学校・自治体運営の各奨学金を検索できるので、ぜひ活用してください。

⇒ 大学・地方恋協団体等が行う奨学金制度|JASSO

一時的に休学する

親には頼れず、かといって借金をしてまで学生でいることに抵抗感があるのなら、最後の手段として一時的に学校を休学する方法を検討してください。
学費をそのまま支払わない状態でいると、最終的に学校側から強制的に退学処分を受けるだけでなく、最悪の場合はさらに厳しい除籍処分を受ける危険性があります

一度除籍処分を受けると、以降は学校に入学した事実さえ公表できなくなるので、就職などで不利益を被る恐れもあるでしょう。
処分を受ける前に自主的に休学すれば、学費未納が原因の退学・除籍処分を受けるリスクを減らせる上、問題解決のための時間を稼げます。

休学が認められると1回の申請当たり最大2年間、学籍を残したまま学生としての権利・義務を休止できます
学生としての活動ができなくなる代わりに、本来支払うべき授業料などの学費を支払う義務も基本的に停止するので、取り急ぎ学費を払えない問題を先送りできるわけです。
休学によって作った時間でアルバイトに打ち込み、学費分のお金を自分で稼いでから復学すれば、親に頼らずとも自分の力だけで問題を解決できます。

ただしなかには、休学が認められても支払いが全学免除されない学校があります。
この場合は授業料の1、2割程度を支払う、もしくは休学中も学籍を残すための費用(休学費など)を支払うといった規定になっているので、その分のお金は用意しておきましょう。

改めて進学する目的を再確認してみる

子どもの学校にかかる学費を払うのは、親として当たり前の役割です。そしてほぼ全ての親が、子どもの幸せな未来を願いつつ日々努力をしてくれています。
このため、やむを得ない理由で親が学費を払えないとき、子どもとしては親を責めるのではなく、なぜ払えないのかを一緒になって考えるところから始めるべきでしょう。

それにお金の問題は、そんなに早く解決するものではありません。本当に今の自分にとって進学がベストな選択なのか再確認する時期としては、むしろ絶好のタイミングといえるのではないでしょうか。

そこで最後に、この苦しい状況で進学が本当にベストな選択なのかを、ここまで紹介してきた情報を交えながら確認していきましょう。

進学が必ずしもベストな選択肢ではない

「学生でいることが当たり前」とつい考えがちで、これは本人だけでなく周りの人からもなかば強制的に押しつけられる考え方、ともいえます。

ここまでに紹介した通り、進学して卒業するまでには途方もない金額のお金が必要です。親の力を100%借りられるならまだしも、親が学費を払えないのなら、一度その選択を選ぶべきか考え直すことを検討しなくてはいけません。
「学校でやりたいことがある!」と強い意思で語れる目的があるなら、無理をしてでも進学すべきです。奨学金など親の力を借りず学生自身の力で解決できる方法もあるので、ぜひ活用してください。

逆に、進学に強い目的を見いだせないのなら、別の選択を考えてみるのも一つの手です。
例えば、大学ではなく専門学校に進めば、4年間から2年間と短期間の在籍で済み学費を浮かせる上、卒業後すぐに仕事で生かせる専門知識や技術を習得できます
借金をしてまで学費を用意するのが嫌な人は、一度就職する手もあります。 就職して社会経験を積むことで新しい発見があるかもしれませんし、学生を諦めきれないなら、給与をためてからもう一度受験にチャレンジする選択もいいでしょう。

危険なのは「進学だけが唯一の道」と、思い込み過ぎないことです。考え方を柔軟にすれば、その分選択肢は必ず広がります。いろいろな選択肢を用意して比較しつつ、進学が本当にベストな道かを考えれば後悔はしないはずです。

まとめ

学費を払えない状態になったときにできる対処法を紹介してきました。今回のまとめは次の通りです。

  • 払えない状態になったらすぐに学校に相談し、放置だけはしない
  • 今すぐ払える現金が手元にないなら、教育ローンを使って融資を受ける
  • 親が学費を払ってくれないときには、親戚の力を借りて説得する方法も
  • 進学を諦めたくないなら、最後の手段として奨学金の検討を

やむを得ない理由から学費を払えない状況でも、教育ローンなどを活用すれば問題の解決は十分に図れます。
もし親が学費を払ってくれないのであれば、自分の力で解決するしかありません。そのときは一時的に休学してアルバイトをするか、奨学金を使って一気に問題を解決してしまいましょう。

大切なのは、学費が払えないからといって放置したり問題から目を背けたりするのではなく、まず原因を突き止め、それに合わせた対策をいち早く実践することです。
今回ご紹介した対処法を参考に、学費のことで悩み続ける毎日から解放されましょう。

※記載されている内容は2024年9月現在のものです。

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