個人事業主・自営業者がお金を借りる方法|事業資金から生活費までOK
更新日:
公開日:2018.8.6
自営業をしていると、短期的・中期的にお金が必要になることが多々あります。
個人事業主はサラリーマンではないため「お金を借りづらいのでは?」と不安になる人もいるかもしれませんが、カードローンの利用条件は「20歳以上で安定した収入がある人」となっている場合が多いので、審査に通れば融資を受けることが可能です。
個人事業主・自営業者は、「個人」と「自営業者」という2つの側面からお金を借りることが可能であり、利用できる融資の種類が多いという強みがあります。この強みを生かしてお金を借りましょう。
この記事の目次
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個人事業主・自営業者ではなく「個人」として生活のお金を借りる方法
お金を借りる上で、個人事業主や自営業者は「個人」と「自営業者」という2つの顔を使い分けることができます。これはサラリーマンにはできない強みです。
まずは個人としてお金を借りる方法を3つ解説していきます。
個人としてお金を借りる場合、事業性融資を受けるよりも、より簡単な手続きで済みスピーディーな融資を受けられる点がメリットです。金融機関によって規定は異なりますが、生活費と事業費の双方に利用しても良いとする金融機関もあります。
[1]カードローン
個人がお金を借りる方法として人気なのがカードローンです。カードローンは主に、消費者金融、信販会社、銀行の3つが発行するものがあります。
カードローンの利用者は銀行カードローンだけでも1,000万人以上なので、消費者金融も合わせれば「日本の10人に1人以上がカードローンを利用している」ということになります。
カードローンは、コンビニや金融機関のATMから好きなときにお金が引き出せるので、急に生活資金がなくなったときに重宝されます。
消費者金融カードローンの場合、店舗、ATM、インターネットから申し込みが可能で、スピーディーな審査による即日融資にも対応しています。
別記事「個人事業主・自営業はカードローンで借りられない?収入証明書は必要?」では、個人事業主や自営業者がカードローンを利用するときの注意点や審査のコツなどを解説しています。
銀行カードローンは注意が必要
カードローンの中でメガバンクや地方銀行が発行している「銀行カードローン」は、近年人気が高い金融商品です。
銀行という名前がついている安心感や、上限金利が14.0〜15.0%なので消費者金融よりもやや低いという点が人気の理由でしょう。
しかし、銀行カードローンは審査に数日~数週間かかる上に、消費者金融に比べて審査が厳しいというデメリットがあります。個人事業主・自営業者には少しハードルが高いカードローンと言えるでしょう。
[2]クレジットカードのキャッシング枠
クレジットカードには通常の買い物に利用するショッピング枠以外に、カードローンと同様にATMから現金を引き出せるキャッシング枠を利用することができます。
これを利用すれば、すぐに現金を手に入れることができるため、急な出費にも対応しやすい便利なものです。
所持しているクレジットカードにキャッシング枠が付与されていればすぐに利用することが可能ですが、もし付与されていないのであれば増枠審査を受けなければならず、数日間の時間を要します。
消費者金融ははじめての契約に限り30日間の無利息期間を用意しているのに対し、キャッシング枠はそういったサービスは行っていません。
もし「借り入れ希望額が大きい」「少しでもお得に利用したい」と考えているのであれば、消費者金融カードローンをおすすめします。
[3]目的別ローン・フリーローン
個人で借りられるローンには、マイカーローンや住宅ローンなどの目的別ローンがあり、資金使途が自由なフリーローン(多目的ローン)があります。
目的別ローンは利用する目的が明確であり、それ以外の用途には使用できません。汎用性は低いですが、そのローンを元に住宅や自動車などの大きな資産を手に入れやすいというメリットがあります。
一方のフリーローンは、資金使途が自由ということもあって目的別ローンよりも金利が少々高めに設定される傾向にあります。
ローンは目的が明確なものほど金利が低くなり、使用使途が自由なフリーローンほど金利が高くなるという特徴があります。一度契約すれば何度でも利用でき、使途が自由なカードローンはその典型と言えるでしょう。
利便性に欠ける?契約したら後は返済していく形
目的別ローンやフリーローンは、一度契約して融資を受ければあとは返済をしていく形をとっています。もし「再度融資を受けたい」という状況になった時には再度契約を交わさなくてはなりません。
カードローンやクレジットカードキャッシング枠と比較するとわかりやすいですが、これらは利用して返済すれば再契約を交わさずとも、限度額内であれば好きな時に利用することが可能です。
余分に借りすぎないとも受け取れますが、利便性が低いとも言えます。状況に合わせて検討しましょう。
個人事業主・自営業者として事業のお金を借りる方法
次に、個人事業主・自営業者としてお金を借りる方法を3つ紹介します。
先述した個人として融資を受けるより手間や時間がかかりますが、金利を低く抑えながら高額の融資を受けられる点が最大のメリットです。
[1]事業性融資
事業性融資とは、事業を営む個人事業主や自営業者、法人が受けられる融資のことです。
個人的な使用は認められず、事業に必要なお金のみ借りられます。
事業性融資のメリットは、金利が1.0〜3.0%程度と、個人が借りるカードローン等に比べて圧倒的に低いことです。お金を借りるには、銀行などの金融機関、もしくは日本政策金融公庫に融資を依頼する必要があります。
詳しく見ていきましょう。
金融機関からお金を借りる場合
個人事業主・自営業者が銀行などの金融機関からお金を借りるには、今までの事業実績と今後の事業計画について担当者に説明し、「なぜ資金が必要なのか」「その資金を元に事業をどう伸ばしていくか」についてプレゼンする必要があります。
金融機関の審査を受けための必要書類は次の通りです。
- 決算書、もしくは確定申告書(3期分)
- 創業計画書(創業時のみ)
- 印鑑証明書
- 商業登記簿謄本(法人の場合)など
最も重要なのは、決算書・確定申告書の内容です。
3期赤字だと融資を受けるのは難しいでしょう。
利用する金融機関によって差はありますが、決算書や確定申告書が3期分揃っていない場合はある分だけ持参し、会社を興して間もない場合は創業計画書を提出しましょう。
必要書類を提出し不備がなければ、金融機関の審査により融資金額と融資金利が決められます。審査の内容、基準、難易度などは公表されておらず金融機関によって異なります。
一般的にはメガバンクほど厳しく、地銀や信用金庫が中程度、ノンバンクが最も審査が甘いと言われています。もし融資を断られた場合には、審査難易度が低い金融機関に相談してみると良いでしょう。
日本政策金融公庫からお金を借りる場合
日本政策金融公庫(通称:公庫)とは、一般の金融機関が行なう金融を補完しつつ、国民生活の向上に寄与することを目的とした政策金融機関です。
業務内容の1つに「中小企業事業」があり、中小企業に向けた融資を行なっています。創業融資を受けることも可能です。
公庫の審査を受けるのに必要な書類は次の通りです。
- 借入申込書
- 過去2年分の決算書・確定申告書
- 創業計画書
- 通帳コピー半年分
- 設備投資の見積書(設備投資予定の場合)
- 履歴事項全部証明書(法人の場合)など
公庫の審査には面接がありますが、この面接は融資を断るためではなく「なるべく希望通りの融資を行なえるためにある」と言われています。
今後の事業計画の現実性や資金の必要性を主張して、より多くの融資を受けられるようにしましょう。
公庫の融資は700万円以下など比較的小口が多く、金利は1.0〜2.0%程度と低めに設定されています。
[2]ビジネスローン
ビジネスローンでは、個人事業主や自営業者専用の金融商品です。
融資を行いあとは返済だけしていくタイプのものもあれば、限度額内であれば自由に使えるカードローンタイプもあります。
金融機関や公庫の融資を受けることが難しい場合には、ビジネスローンの利用を検討すると良いでしょう。
ビジネスローンのカードローンタイプは個人向けカードローンに似ており、「審査書類が少なめ」「即日発行可能」などのように利便性が高いことが特徴です。
資金使途が「事業に限られるもの」と「プライベートでも使用できるもの」があるので、状況に合わせて選びましょう。
カードローンタイプの金利は個人向けカードローンと同程度です。上限金利として18.0%程度と高めなので計画的な利用を心がけましょう。
[3]ファクタリング
ファクタリングは、売掛金がある場合に利用できる資金調達方法で、売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらうことで現金化する仕組みです。
売掛金という債権を渡してその対価を受け取るため、融資と違って返済する必要がありません。取引先から知られることなくファクタリングを実行することも可能です。
このファクタリングの認知度はまだ低いですが、国も認めている金融取引の1つで取り扱い数は上昇傾向にあります。事業規模や業種を問わないファクタリング会社も多いことも追い風の要因にあるでしょう。
ファクタリングの審査は、融資の審査と決定的に異なる点があります。
一般的な各種ローンは申込者について審査するのに対し、ファクタリング審査は売掛金を返済する売掛先(取引先)について審査をします。赤字決算や債務超過などにより融資を断られていても、ファクタリング審査を通過できる可能性があるのです。
デメリットは、金融機関の融資と比べて手数料が高めになる点です。
条件によって異なりますが、売掛金の5.0%〜20.0%程度で設定され、ときにはビジネスローンより高額になる場合もあります。
ファクタリングを行なう場合は、複数のファクタリング会社に見積もりを依頼し、結果を比較して、納得できる条件を提示した会社に依頼すると良いでしょう。
個人事業主・自営業者は審査のハードルが上がる
個人事業主・自営業者でもお金を借りることは可能ですが、サラリーマンや公務員よりも審査のハードルが上がる傾向にあります。
その理由は主に3つあります。
理由1|収入が不安定になりやすい
審査・融資をする金融機関は「お金を貸した顧客が安定的に返済してくれること」を期待しています。
サラリーマンであれば、業績に関わらず定額の月給を受け取れますが、個人事業主・自営業者の場合は業績に応じて毎月の収入が変動します。その点を踏まえ金融機関からの評価が厳しくなりやすく、同じ年収のサラリーマンよりも少額しか借りられないケースが多いです。
理由2|収入証明上の所得金額が低くなりやすい
個人事業主・自営業者が毎年行なっている確定申告は、経費を多く計上するほど所得金額が下がり、結果として税金額を低く抑えることができる仕組みです。
この節税を意識しすぎると「所得金額を低くなりすぎてしまい審査が厳しくなってしまう」ということがあります。
それに対し、サラリーマンが毎年会社からもらう源泉徴収票の額面欄は、支払った税金や社会保険料なども含めた金額になっており、この額面欄の金額を融資審査の参考にしている金融機関が大半です。
以上から、個人事業主・自営業者は収入がより低く見られやすく、サラリーマンは収入がより高く見られやすいため、結果として個人事業主・自営業者の方がより融資を受けにくいのが現状です。
理由3|資金の流れが不透明になりやすい
個人事業主・自営業者は、事業と自分の生活とが密着しており、銀行口座が個人用と事業用に分かれていないことが多いため、資金の流れが不透明になりやすいです。
金融機関は個人向けローンで融資した場合、そのお金が本来の目的ではない「事業に使用されるのではないか」ということを懸念します。このことから個人事業主・自営業者に対する融資はより少額になりやすい傾向にあるのです。
以上の3つの理由から個人事業主・自営業者の審査は厳しくなりやすいですが、お金がまったく借りられないわけではないので過度に心配する必要はありません。
お金を借りるための対策は赤字・黒字で異なる!
個人事業主・自営業者が融資を受ける方法は多くありますが、理想の条件でお金を借りられるかは状況次第です。審査を通りやすくするため対策を「赤字でお金を借りたい場合」「黒字でお金を借りたい場合」のケースに分けて説明していきます。
赤字でお金を借りたい場合
まずは赤字の場合です。
以下の2点を意識しながら対策を打ってください。
- 実現性の高い業務計画・経営改善計画
- ハードルの高い金融機関は避ける
詳しく見ていきましょう。
実現性の高い業務計画・経営改善計画
赤字の状態でお金を借りたいと考えている場合は、銀行や公庫と面談した際に話す業務計画や経営改善計画の精度を上げましょう。
担当者はプロなので浅はかな計画には同意してくれません。
現在の赤字から黒字に転換する現実的な根拠をより具体的に説明し、相手を納得させることができれば良い結果につながります。
ハードルの高い金融機関は避ける
前述の通り、金融機関による事業性ローンは金融機関によって審査の難易度が異なります。メガバンクが最も厳しく、地方銀行や信用金庫が中程度、ノンバンクが最もやさしめです。
赤字が多い場合は、審査のハードルが高いメガバンクは避け、地方銀行や信用金庫、ノンバンクに相談することをおすすめします。
3期連続赤字の場合は金融機関の審査に通らない可能性が高いので、「ファクタリング」や「消費者金融の個人事業主・自営業者向けカードローン」の利用を検討しましょう。
黒字でお金を借りたい場合
黒字でお金を借りたい場合は以下のことに注意してください。
- 借入枠の確保
- 決算書を3期黒字化
それぞれ見ていきます。
借入枠の確保
資金に余裕がある場合は、すでに借り入れている融資を積極的に返済することをおすすめします。
金融機関には「融資枠」という概念があり、個人・法人に対して、その収入や業績に応じた融資限度をある程度定めていることが多いです。受けた融資を返済することで、融資枠が空き、新たな融資を受けられるようになります。
借り入れを返済する際は、金利が高い、担保が取られているなど、条件の悪い融資から返済するのが鉄則です。悪い条件の借り入れを返済し、より好条件で融資を受けられるようにしましょう。
決算書を3期黒字化
資金に余裕があり、今後融資を検討しているのであれば決算書を3期黒字化しましょう。その分納税額は増えますが、健全な決算書を持っていることでより融資を受けやすくなります。
銀行の融資には、信用保証協会を介さず銀行が独自で融資を行う「プロパー融資」と、信用保証協会が保証人となる「保証付融資」があります。
プロパー融資は保証料を払う必要がないため手数料が安めですが、個人事業主・自営業者が審査通過することはほぼないので、保証付融資を選択するようにしてください。
まとめ|メリット・デメリットを理解してお金を借りよう
個人事業主や自営業者は、事業資金と個人ローンの2つの方法からお金を借りられることがわかりました。
急にお金を借りる事になったとき、個人事業主・自営業者は借りる方法が最も多い業種ですので、それぞれのメリット・デメリットを理解し利用していきましょう。
また、高金利に注意しながら融資を受けてピンチを乗り切り、事業をより健全に拡大していきましょう。
※記載されている内容は2024年9月現在のものです。