手付金が払えないと住宅は購入できないの?手付金について
更新日:
公開日:2019.9.17
「家を買おうとしたら手付金を請求されたんだけれど、これって払わないとダメなの?」
住宅を買う際に、手付金を支払わなくてはいけないことを「知らなかった」という人が多くいます。
なぜ、住宅の購入契約を交わす際にわざわざ手付金を支払う必要があるのでしょうか?
ここでは手付金が必要である意味と、万が一手付金が払えないときの解決策について解説していきます。
この記事はこんな人にオススメ!
- 住宅購入の際の手付金について知りたい人
- 家を買いたいが、手付金が払えず困っている人
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住宅を購入する際の手付金の意味とは
新築住宅や中古住宅など住宅の状態を問わず、住宅を購入する際にはほぼ確実に「手付金」の名目で一定の額を支払わなくてはいけません。
例えば車の購入時など、高額な商品を購入する際に手付金の名目で同様の費用を求められることがありますが、実は住宅を購入する際に求められる手付金にはやや違った意味が含まれています。
そもそもこの手付金とは、住宅の売買契約を結ぶ際に住宅費用に先んじて支払うことで、契約を交わす強い意志があることを示す具体的な役割を持つ費用です。
このため手付金には「売買契約が成立した証拠」や「契約解除・契約違反があった時の違約金」といった保証金としての意味が含まれており、無事に契約が履行された段階で手付金は買主側に返還されます。
ただし、住宅購入の手付金の多くは住宅の売買代金の一部にあらかじめ含まれているので、直接お金として返還はされず家の購入費用の一部に充てられるのが通常です。
では、手付金の扱い方について分かりやすく説明するため、表を使って見ていきましょう。
ここでは、購入代金3,000万円の住宅を購入し、手付金として300万円を先払いするケースを例に解説していきます。
取引の流れ | 手付金 | 住宅購入費用の残額 |
---|---|---|
売買契約成立 | 300万円を売主へ先払い | 3,000万円 |
契約履行 | 200万円を購入費用に充当 | 2,800万円 |
引き渡し | 残額100万円を購入費用に充当 | 2,700万円 |
上記の表からもわかるように、実際に契約が成立した後に履行された段階で手付金の一部あるいは全額が購入費用に充てられます。
また、住宅引き渡しの段階で手付金が残っているようであれば、その残額も全て住宅購入費用に充当されます。
ただし、万が一契約が履行されるまでの間に買主側の都合で契約をキャンセルするなど不履行が行われた際には、手付金はそのまま補償金として売主側に引き渡されます。
手付金=契約成立の証拠
例えば、住宅の売買に関する契約を正式に交わしたにもかかわらず、その後に「より高額で購入してくれる人が見つかった」という理由から一方的に売主が契約を取り消しました。
この場合、買主は契約を交わしているのに住宅を購入できず、不利益を被ることになります。
また、別の例として逆に買主側が「契約した住宅を買いたくなくなったのでキャンセルしたい」など自己都合で契約を取り消すと、当然ながら売主側に不利益が発生することになります。
このように、どちらか一方の契約の不履行によってもう一方に不利益が発生した場合に備えて、手付金という費用が計上されているというわけです。
手付金は一方の不利益に対する損害補償としての役割を担うとともに、買主が手付金を支払う行為自体が「契約は絶対に守ります!」という強い意思表示を示すことを意味し、契約が正しく履行される手助けにもなります。
特に高額な費用のやりとりが前提となる住宅の売買は、契約の不履行などさまざまなトラブルが起こりやすい取り引きです。このため、手付金は契約を双方が正しく履行するうえでも必要な制度なのです。
解約の権利を手に入れるためのお金でもある
契約を交わす段階では「買いたい」あるいは「売りたい」という強い意思があったとしても、その後に何らかの理由から心変わりすることは決して珍しくありません。
こういった場合、売主と買主は次の方法を行うことで売買契約を正式に解除することができます。
まず、売主側は買主からすでに受け取った手付金の倍額(受領手付金100万円であれば倍の200万円)を買主側に支払うことで契約を正式に解除でき、これを「手付倍返し」といいます。
一方、買主側はすでに支払った手付金を全て放棄し、売主側に譲ることで正式に解除できます。
また、手付金は契約を交わした二者のうち一方が何らかの契約違反(債務不履行)を犯した段階でもう一方に全額没収されます。この場合は契約違反に対するペナルティーの意味合いで手付金が扱われることになります。
ただし一般的には、手付金を放棄することで契約解除できる期間があらかじめ定められており、手付金を放棄するからといっていつでも好きな時に解約できるわけではない点に注意しましょう。
この解除可能期間については、売買契約を交わした際の契約内容に必ず記載されています。今一度、契約内容を確認してみることをおすすめします。
契約が履行できなければ手付金が戻ってくる
例えば地震や浸水といった自然災害によって売買契約対象の住宅が壊れてしまうなど、買主と売主の双方に責任がないと認められた場合、その売買契約は全て無効と判断されます。
当然、すでに支払っている手付金についても買主側へと返還されます。
手付金が払えないと住宅を購入できない!
住宅購入の際に求められる手付金は、売買契約を交わす段階で支払う必要があるお金です。
契約を交わす意思がどれだけ強くても、手付金を現金で払えないなら売買契約は成立しません。この場合、当然ながら住宅を購入することはできなくなります。
ただし、極まれなケースですが、手付金を支払う必要がない売買契約も存在しています。どうしても手付金を契約時に支払いたくないのであれば、こういったタイプの住宅をあえて選ぶという選択も可能です。
手付金なしの物件はレアケース
そもそも、住宅購入時の売買契約を交わす際に必要な手付金は、売主と買主の双方が話し合いによって額など詳細を決めることになっています。
ただ、住宅を売る側としては、買主がわざわざ手付金を支払ってくれること自体が「契約を履行して住宅を間違いなく購入してくれる」保証になります。このため、手付金なしの状態で契約してくれる売主はほとんどいないと言っていいかもしれません。
家族間や親族間など、あらかじめ一定の信頼関係が構築できている人との売買契約は別としても、全く他人同士の住宅取引で手付金をゼロにするのは非常に難しいことである点を理解しておいてください。
金額については交渉の余地もあるかも
住宅購入時に支払う手付金にはある程度の相場があり、住宅の購入価格の約5~10%とされています。ただしこれはあくまでも目安であり、具体的な額は前述した通り、売主と買主双方の話し合いによって決められるのが一般的です。
では、これを逆に考えてみましょう。
手付金を全く支払わないゼロの状態で住宅の売買契約を請け負ってくれる売主は極まれですが、交渉によっては、手付金の額を本来の額よりもさらに低く設定することができるわけです。
例えば本来であれば300万円の手付金が必要な契約を、交渉で100万円や50万円にまで減額してもらえれば、ゼロとまではいきませんが手付金を支払う負担を大きく下げることができます。
しかし、売主側に手付金の減額を申し入れても聞き入れてもらえる可能性はあまり高くありません。なぜなら、手付金自体が契約を履行する意思を示す一種の保証であり、手付金を値切ってくる買主を快く思う人はほとんどいないためです。
一方で、必ずしも要求が通らないというわけではなく、そこは交渉次第といえます。
そのうえであえて手付金の減額を申し入れるのであれば、購入する意思が固いことや必ず契約を履行する人間であることが売主に伝わるよう、強い心構えで挑みましょう。
手付金を借りる場合は要注意
住宅の購入費用と違い、手付金は住宅の売買契約を交わす段階で先払いとして必要な費用です。
また、多くの人が住宅の購入費用を住宅ローンなどで別途用意すると思いますが、その際には必ず住宅ローンの審査を受けなくてはいけません。
もしも、契約に必要な手付金のお金をカードローンなどから借り入れた場合、この借り入れは信用情報に記載されます。そして、これが後に行われる住宅ローンの審査で悪影響を及ぼす可能性があるのです。
収入状況や借入金の総額によっては、これがきっかけで審査に通らなくなる危険性が高くなります。これでは、せっかく手付金を用意できても逆に住宅の購入費用が用意できず払えないという、本末転倒な状態にもなりかねません。
こういった最悪の状況を避けるためにも、手付金は家族や知人などから一時的に借り入れたり、手持ちの不要品を売却して用立てたりするなど、借金として信用情報に記録が残らない方法を活用しましょう。
まとめ|住宅購入に手付金は必須!払えないなら売主に交渉してみよう
住宅を購入する際に手付金の名目でお金が必要になることは、実際に家を購入したことがある人ぐらいしか知らないほど、あまり周知されていません。
中には、家を購入する段階になって初めて手付金の存在を知り、どうやって用立てようか悩んだ経験があるという方もいるのではないでしょうか。
今回は、この手付金についてなぜ支払う必要があるのかなど、その意味や扱い方について解説しました。
まずはそのおさらいから見ていきましょう。
- 手付金は買主が売主に対して契約を守る意思を示す保証である
- 手付金は住宅の売買契約を結ぶ段階で支払う必要がある
- 自己都合で契約をキャンセルした場合、手付金は返還されず相手方に支払われる
- 手付金の額は住宅価格の5~10%が相場だが、交渉次第で減額できることも
住宅の購入費用と違い、手付金はその前段階の売買契約を交わす際に支払う必要がある費用である点に特に注意しましょう。
どうしても手付金を用意できないという人は、契約を履行する意思が固いことをしっかりと示したうえで、手付金の減額交渉を売主側に持ちかけてみましょう。
難しい交渉ですが、誠意を持って取り組むことで減額を受け入れてもらえる可能性も十分に見込めます。
※記載されている内容は2024年9月現在のものです。