融資詐欺にあったら|手口や見分け方を徹底解説
更新日:
公開日:2019.7.22
「後日還付されるという言葉を信じてお金を振り込んだら、追加で振り込みを要求された」
新手の詐欺行為として2019年から徐々に被害が急増している「融資詐欺」。
その巧妙な手口や人の弱みにつけ込む魅惑的な誘い文句に、だまされてしまう人が後を絶ちません。
被害者が急増する理由として、融資詐欺では「後日保証金を還付するのでとりあえず振り込んでほしい」など代表的なうたい文句で勧誘したり、SNSを使うことで未成年をも対象にしたりする業者が暗躍している点が挙げられます。
ここでは融資詐欺で用いられている手口を解説し、だまされないために覚えておきたい注意点と融資詐欺に遭ったら実行すべき対処法について、詳しく解説していきます。
この記事はこんな人にオススメ!
- 融資詐欺について知っておきたい人
- 融資詐欺の被害を受けてしまった人
この記事の目次
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融資詐欺の手口|お金を貸すふりをしてだまし取る巧妙なわな
融資詐欺とは、融資を求める人に対して架空の融資をほのめかしながら、手数料や保証金の名目でお金をだまし取る詐欺のこと。
- 「融資額の○○%を手数料として、融資前に振り込んでほしい」
- 「保証金は原則前払いだが、融資をした分が全額返済された時点で返還する」
などの言葉を用い融資前にお金を振り込ませるよう誘導するのが、融資詐欺の一般的な手口です。
融資詐欺の前提条件が「お金を振り込ませること」であることから、いわれた通りにこちらが指定額を振り込んだとしても、融資が受けられるわけではない点に注意してください。
ではここからは融資詐欺の具体的な手口や実状について、警察庁から発表されているデータや実際に起こった事例を交えつつ、確認していきましょう。
融資詐欺の被害総額は3.8億円!それでも氷山の一角か?
警察庁の発表によると、令和元年1月から10月までに発生した融資詐欺(正式名称=融資報奨金詐欺)の被害件数は253件。
これはオレオレ詐欺や架空請求詐欺、還付金等詐欺などを含めた詐欺の全体数のうち、約1.8%に過ぎない数値です。ところが具体的な被害額は3.8億円にも上り、その被害の大きさがうかがえます。
「被害総額÷認知件数」で計算すると、1件当たり150万円程度の被害が出ていることになるのです。
これらはあくまでも認知件数(警察が犯罪として認知している件数)であり、警察が認知していない詐欺被害を考慮すると、実際にはさらに多数の詐欺件数・被害額になります。
詐欺による被害件数・被害総額から見ればわずかな割合を占める融資詐欺ですが、それでもかなりの被害が現状すでに発生していることは否定できません。
体験談「保証金は後日返還されます」の言葉を信じたら……
ある日、身の覚えのない連絡先から突然ファクスが送られてきた、消費者金融を名乗る業者からのチラシ。融資先を探していた利用者の男性は、渡りに船とばかりにその融資に飛びつきました。
チラシに記載されていた連絡先へ早速問い合わせてみると、「500万円までであれば融資できます」「融資額の10%を保証料として最初に振り込んでください」とのこと。男性は、この段階では特に疑うこともなく、友人などから借りる形で500万円の10%に該当する50万を振り込みます。
ところが、これですっかり融資が受けられると思っていた男性のもとに、今度は業者側から連絡が届きました。応対してみると、「信用情報を確認するためにさらに費用が必要になった。50万円を振り込んでほしい」という内容。さらに、男性の不安をかき消すかのごとく「この50万円は、融資が実行された段階で直ちに返金されるのでご安心ください」と業者から告げられた利用者。
融資を必要としていた状況から追加で50万円を用意することはさすがにできず、男性は融資をこの段階で諦めることに。このため男性側は業者に対し、すでに支払った50万円の保証料を返金してもらうよう頼むのですが、業者からは「後日返金させてもらう」と返答を受けたきり、その後は一切連絡がつかない状態となってしまいました。
以後、男性からの連絡は業者側に一切つながらず、支払った50万円の返金もありません。
お金に困った末にすがった融資であるのに、融資を受けるどころか、50万円を失う最悪の状況に陥る結果に……。
「郵便局OBが運営」の売り文句に7,500人がだまされた!?
全国各地の集合住宅へ、「郵便局を退職したOBが運営」「100万円まで融資。返済もある時払いの催促なし(お金に余裕がある時に返せばよい、返済の催促は一切しない)」などと書かれたチラシが一斉に投函(とうかん)されました。
記載されていた連絡先は携帯電話の番号で、電話をすると数日後、入会申込書と記された書面が届きます。このとき返金先には、北海道在住の女性名義の金融機関口座が指定されていました。
電話時に応対した担当者からの説明では、「初回融資限度額の3万円を融資する」「実際の振込額は、3万円から手数料分を差し引いた2万円」「取引実績を重ねるごとに融資限度額が上がっていく」という旨が報告されます。
この説明通り、利用2回目以降は徐々に融資限度額が上昇し、申込者は希望額を借りるべく何度も繰り返し融資と返済を行いました。
ところが、ある日突然業者側から「あなたの返済能力に疑問が見受けられる」と通告され、その後は担当者との連絡が一切つかなくなり、すでに支払っていた分の手数料の返還も受けられないという結果になったのです。
これについてその後の警察による捜査から、業者は貸金業としての登録を行っていなかった上、郵便局OBとの関わりも一切なく、虚偽の説明で集金する詐欺行為であることが判明したのです。
被害者は全国で約7,500人、被害総額はおよそ2億2,000万円にも上りました。
なぜ、ここまで大規模な被害へと拡大したのか?その要因として無視できないのが、「郵便局のOBが運営している業者である」と利用者の多くが信じてしまった結果といえるでしょう。
加害者も被害者も未成年?SNSで詐欺被害に遭うことも
2019年12月17日、「融資の保証金」という名目で1万4,000円をだまし取った容疑で19歳の少女が逮捕されました。
この少女は、大手SNSであるTwitterで「融資を始めました!お困りの方お助けします」という内容で不特定多数に向けて発信。これを見て連絡してきた20代女性に対し「保証金として融資金額の1割を前払いしてほしい」「融資した分を全額返済した後、前金として受け取った1割は返金する」と提案し、指定する口座まで振り込むよう要求しました。
20代女性は、いわれた通りに前金を振り込みました。しかしその後に融資は実行されず、前金が戻ることもありませんでした。
少女は、これと同じ手口で全国の115人から総額207万円をだまし取っていたことも判明。また驚くべきことに、被害者の中には小学6年生の児童も含まれていたとのことでした。
13歳未満の未成年者が被害を受けていたことがクローズアップさで、これは全国ニュースでも流れたほど脚光を浴びる事件となりました。
実は、逮捕された少女自身も過去に同様の手口で被害を受けた元被害者であり、「お金を取り返したかった」というのが動機の一因だったのです。
加害者・被害者ともに未成年という、驚きを隠せない詐欺事件。
この事件によりSNSで気軽に知らない人と交流可能な現代において、加害者側・被害者側双方が手軽に詐欺に加担できるようになったことが明らかとなりました。
融資詐欺の見分け方|こんな言葉が出てきたら要注意!
融資詐欺を行っている業者は、被害者が一度でもお金を振り込んだらその後、一切連絡がつかなくなります。
すでに支払ったお金は戻ってこず、振り込んですぐに相手先の口座から引き出されているため、金融機関に連絡して口座の凍結を依頼しても手遅れというケースが大半です。
したがって、何よりも大切なのは「被害に遭う前に詐欺業者であると見抜くこと」。そこで、以下のようなポイントを確認しておきましょう。
- 業者に融資を申し込む前に、日本貸金業協会のホームページから登録済みの業者かどうか調べる
- チラシなどに記載されている住所や連絡先といった企業情報に、虚偽がないか確認する
業者のチラシや連絡時の説明から、以下で解説するような文言が出てきた場合は怪しい業者である可能性が高いので、特に注意してください。
「融資前に保証金が必要です」
銀行や正規の消費者金融など、まっとうな金融業者から融資を受ける場合、事前に保証金を求められることは絶対にありません。正規の業者ほどこの点は徹底しており、いかなる理由でも融資前に現金を要求することはないからです。つまり、その業者は悪徳であると判断してよいでしょう。
「融資額を返済すれば保証金も返金する」など、安心できるようなことをいってくるかもしれません。しかしこれまで解説した通り、こういったケースで返金されることは皆無です。
「誰でも借りられます」「ブラックでも大丈夫」「審査なしで融資可能です」
正規の貸金業者は、「お金を貸す→利子をつけて返済してもらう」ことで利益を獲得しています。
債務者からの返済が遅れたり滞ったりすると、業者も赤字になってしまうのです。これを避けるべく、貸金業者が融資を行うのは「きちんと返済してくれると判断できる人」のみ。
返済する能力があるかどうかは、業者ごとでさまざまな基準やルール付けのもと判断しており、この段階ですでに「審査なしで」や「誰でも」「信用情報がブラックでも」貸すことが、絶対にあり得ないのです。
そのため、こういった聞こえがいい言葉で勧誘している業者は、ほぼ確実に詐欺業者だといえます。
「年利3%の低金利ですよ」「返済は余裕のある時でOK」
極端なほどの低金利や毎月返済しなくてもいいなど、借主にとって有利すぎる条件で持ちかけられた融資もまた、疑うべき対象です。
融資詐欺の本来の目的は「お金を振り込ませること」であり、一度でもOKしてお金を振り込んだ段階で詐欺は成立します。
ターゲットに対して「融資を受けたい」と乗り気にさせることが一番の目的であるため、その最初の関門で魅力的な条件で興味を引いて釣ろうとするわけです。
これらの対策としては、日頃からローンの金利について知識を持ち、提示された条件が一般的なものかどうか判断できるようにしておくこと。
例えばカードローンを新規で利用する場合、消費者金融では18.0%、銀行では14.0%程度の年利が課せられます。
返済も月に1回必ず行うよう定めているケースが大半で、ここからも「年利3.0%」や「返済は余裕のある時でOK」という条件がいかに異常な内容であるかが分かります。
融資詐欺でお金を振り込んでしまった場合は
巧みな話術や手口からだまされてしまう人も多くいます。
万が一、すでにお金を支払ってしまったとしたら、まずは振り込め詐欺救済法を活用しましょう。あわせて必ず警察に被害届を出し、念を押す形で消費者センターに相談・報告するのも有効です。
加害者の口座を凍結する「振り込め詐欺救済法」
2007年、振り込め詐欺に代表される指定の銀行口座にお金を振り込ませる形で詐欺を行う被害に対し、被害者を救済するべく制定されたのが「振り込め詐欺救済法(正式名=犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)」です。
被害者からの申請を受けると、銀行は加害者の口座を凍結するとともに、口座内の残高を被害者へ分配する形で返還されます。ただし、分配してもらえるのはあくまでも加害者の口座にお金が残っている場合のみで、残高がない場合は返還されません。
一方の悪徳業者側も、被害が発覚した段階で速やかに銀行口座が凍結されることをあらかじめ想定しており、入金が確認された段階で逐一預金を引き出し、いつでも逃げられるよう対策しています。
逃げられた後では救済が一切受けられなくなるので、まずは詐欺被害に遭ったと分かった時点で速やかに銀行へ連絡してください。
警察にも急いで連絡しよう
銀行への連絡と並行して、必ず最寄りの警察署へも詐欺被害に遭った旨を申告し、被害届を出してください。
このとき、被害状況について詳しく説明する必要があるので、業者とのやり取りやお金を振り込んだことが分かる証拠(預金通帳など)を集めた上で持参してください。
詐欺かどうか分からない場合は消費者センターへ相談を
ご自身が被った被害が、本当に詐欺によるものなのか分からないケースもあります。そんなときは消費者センターに相談しましょう。
専門の相談が内容を聞いた上で詐欺行為に該当するかどうか判断してくれ、その後の動きについてもアドバイスが受けられます。
消費者センターへの連絡は、消費ホットライン「188」まで電話するか、各地に点在する消費者センターへ直接電話連絡・訪問でも対応してもらえます。
まとめ|後を絶たない融資詐欺、人ごとと思わず十分注意して!
新手の詐欺として被害件数・被害総額とも急増している「融資詐欺」は、決して被害が回避できない犯罪ではありません。
正しい知識と冷静な判断力を備えていれば、ある日突然悪徳業者からの勧誘があったとしても、被害を未然に防げます。 被害に遭わないためにも、「破格の条件は存在せず、甘い誘惑には絶対にだまされない」ことを前提に対応してください。
万が一にもすでに被害を被っているという人は、振込元・振込先の各銀行窓口へ連絡するとともに、最寄りの警察署へ相談した上で被害届を提出してください。
被害を拡大させないためにも、一人一人の迅速な対応が何よりも求められています。
※記載されている内容は2024年9月現在のものです。