奨学金の3つの審査基準について|社会人は利用できる?
更新日:
公開日:2019.10.21
「進学のために奨学金が必要。社会人の私でも借りられるのかな?」
大学や短大などへ進学する際の手助けとなる奨学金といえば、主に高校生などの年代の人が利用する制度という印象があります。
社会人が大学で学びたい場合、奨学金は利用できないのでしょうか?そんなことはありません。すでに働いている人でも、進学や編入のために奨学金を使えるのです。
今回は社会人が奨学金を利用する方法や条件、注意点について解説していきます。対象の方はぜひ最後までご覧ください。
この記事はこんな人にオススメ!
- 進学・編入を考えている社会人
- 奨学金制度について知りたい人
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社会人の奨学金|気をつけたい審査基準や条件とは
「奨学金制度=学生のもの」というイメージが一般的です。しかし社会人でも奨学金を受け取れるのです。
ここでは、社会人が奨学金を申請する際に注意しておきたい審査基準や条件を見ていきましょう。
社会人が進学した際の奨学金制度はどうなる?
高校から大学などストレートに進学する人だけではなく、最近では一度社会人を経てから大学などに進学・編入し直す人も珍しくありません。
こうしたケースの増加を受け、実は社会人でも奨学金を受け取ることができます。
大学など、学校が独自に運営している奨学金や授業料免除制度を活用することも可能です。
社会人ならではの裏技:教育訓練給付金制度
学生が使えず、社会人だけが使える制度があることをご存じですか?
そんな裏技的な方法として活用できるのが「教育訓練給付金制度」です。この制度は、社会人が特定の技能を身に付けるために職業訓練や教育を受ける費用の助成を目的としており、雇用保険制度の一種です。
利用条件は次の通りです。
- 雇用保険加入期間が1年以上(初回利用時のみ適用)
- 雇用保険加入期間が3年以上で、前回利用時から3年以上経過している
上記のいずれかを満たしていれば申請が可能です。申請が認められた場合、厚生労働大臣指定講座を修了することで、費用の80%(上限30万円)まで助成してもらえます。
大学編入時の奨学金制度はどうなる?
進学ではなく編入として、大学で学び直す人もいらっしゃるでしょう。
そういった場合に怖いのが、「編入だと奨学金がもらえなくなるのでは?」という点です。
編入であるからといって、奨学金の受給が認められなくなることはないので安心して下さい。
ただし、進学で認められた奨学金を受けている人がその後に編入する場合、以下の点に注意しましょう。
第一種は継続利用不可
進学に対して認められた貸与型第一種奨学金は、その後の編入では継続利用できません。
引き続き受け取るには、再度奨学金制度に編入として申請をあげる必要があるのです。
この場合は再審査となり、条件によっては認められない可能性もあります。申請するのであれば、今一度ご自身の環境を見直しましょう。
第二種は継続利用可
貸与型第二種奨学金であれば、進学で認められた後に編入した場合でも継続して利用可能です。
編入後の受給に対して特別な手続きを行う必要も一切ないので、審査などを気にする必要もありません。
奨学金の3つの審査基準とは
奨学金制度では、以下の3つの項目を主な審査基準として採用しています。
- 学力
- 家計
- 人物
これら3つの基準を通じて奨学金を申請した人に対し、支給するにふさわしい人物かどうかの判断が行われています。
タイプ別に分かりやすく表で説明
日本最大級の利用者数と規模を誇る日本学生支援機構(JASSO)では、希望者の状況や条件に合わせた3つのタイプの奨学金を提供しています。その3つとは、次の通りです。
- 給付型
- 貸与型第一種
- 貸与型第二種
それぞれの奨学金の需給条件や、具体的な内容について詳しく見ていきましょう。
給付型
学力成績 | 高い学習成績 |
---|---|
家計基準 | 住民税非課税世帯や生活保護受給世帯など 著しく厳しい家計であること |
人物基準 | 学習面・生活面ともに良識がある (学校からの推薦が必須) |
おすすめな人 | 学業・人物ともに優秀だが、 進学が困難なほど家計がかなり厳しい人 |
給付型は、文字通り支給されるお金が返済不要なタイプの奨学金です。
元本だけでなく利息も一切発生しないため、学生だけでなく保護者への経済的な負担も抑えられます。ただし支給条件はとても厳しく、学力や人物の優秀さとともに家計にも厳しい制限が設けられています。
授業料・入学金の全額免除・減額のいずれかが、奨学金として適用されます。
貸与型第一種
学力成績 | 高校2年生までの全履修科目における 評定平均が高いこと |
---|---|
家計基準 | ・給与所得世帯:747万円以下 ・給与所得以外の世帯:349万円以下 |
おすすめな人 | 学習・成績に自信があり進学意欲が強い人 |
※家計水準は4人世帯の場合
貸与型第一種は、元本のみの返済が必要で利息が一切発生しない無利子の奨学金です。
家計基準を満たすとともに、高校2年生までの全履修科目の評定平均値が5段階評価で3.5以上であることが必須条件です。ただし、家計基準が基準を大きく下回るようであれば平均3.5未満でも受給が認められる可能性があります。
貸与型第二種
学力成績 | 学習意欲があること |
---|---|
家計基準 | ・給与所得世帯:1,100万円以下 ・給与所得以外の世帯:692万円以下 |
おすすめな人 | 確実に奨学金を借りたい人 |
※家計水準は4人世帯の場合
貸与型第二種は、元本に加えて所定の利息の返済が必要な有利子の奨学金です。
将来、元本とともに利息の返還が必要であり、その分他の奨学金よりも支給が受けやすいです。
審査基準も「家計水準を満たした上で進学する意欲があること」のみとかなり緩く、将来返還してでも、確実に今奨学金を借りたい人に最適です。
ただし、貸与型第一種・第二種ともに、卒業後に返還の義務が発生します。
収入状況によっては返済できず不払いや滞納となり、生活に著しい負担をかける可能性があります。
返済不能に陥った奨学金には厳しい取り立てが行われ始めています。安易な奨学金の利用は、将来の負担を増やす要因にもなりかねません。
この問題については、別記事「奨学金が払えない!役立つ制度と年々厳しくなる取り立てについて」で詳しく解説しています。
奨学金の不払いを解消する方法もあわせてご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
奨学金の審査基準に満たなかったら
給付型、貸与型一種・二種という3つのタイプの奨学金のうち、貸与型第二種の奨学金の審査基準はかなり緩く設定されています。そのため、奨学金を絶対に受けたいのであれば、審査に通りやすい第二種を選ぶのが基本です。
奨学金を受給した上で大学や短大などに進学する学生の数は年々急増しています。大学学部生においては、全体の半数近くにも及ぶことが調査(以下参考元)で判明しているほどです。
審査が緩い第二種奨学金であったとしても、必ずしも受給できるわけではありません。
審査基準に満たないと判断された段階で問答無用で拒否されてしまうため、万が一に備えた対策を行っておく必要があります。
奨学金が借りれなかったら
適切に申し込んだにもかかわらず奨学金が受けられなかった場合、下記でご紹介する代替案をぜひ検討してください。
在学採用
奨学金を受け取る予定の人は、通常高校などの在学中に申請を行います。これを「予約採用」といいます。この予約採用とともに導入されている「在学採用」を活用することで、奨学金を断られた人であってももう一度申し込みが可能です。
在学採用は、進学予定だった大学や短大に進学した後に再度申し込める制度で、予約採用と比べ条件などに違いがあります。予約採用よりも選ばれる確率が低い点にも注意が必要です。
学校独自の奨学金制度や学費免除制度
国が主導し運営されている日本学生支援機構のもの以外にも、日本国内ではさまざまな奨学金制度が導入されています。例えば、学校独自で運営されている奨学金や、民間団体によって運営されているものなどです。
条件に合えば、学費の免除や減額が受けられる制度を活用する方法もあります。
教育ローン
奨学金制度は、貸与型を除き支給を受けた学生本人に将来の返済の義務が課せられます。いわば、奨学金は借金の一種ともいえるのです。こうした特徴を考慮すれば、奨学金ではなく教育ローンなど、目的型ローンを活用するのも一つの手段です。
最近では奨学金の返還に関する問題が社会問題として取り上げられました。こうした学生の窮状を不安視する親の中には、子どもではなく、親がその負担を背負う教育ローンをあえて選ぶ家庭もあります。
教育ローンは奨学金と違い、借りた段階からすぐに返済が発生します。こうした違いをしっかりと理解した上で教育ローンの利用を検討したいという人は、別記事「教育ローンと奨学金どちらを選ぶべき?注目すべきポイントとは」も参考にしてみてください。
まとめ|奨学金申請のときは審査基準を大きくクリアする気持ちで!
進学するのが困難な家計で育つ子どもをサポートする目的で運営されているのが奨学金です。今回は、すでに社会人として働いている人の進学をサポートする方法としても活用できることをご紹介しました。
社会人だからこそ利用できる制度もあるので、社会に出た後で大学などでもう一度勉強したい人は、制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。うまく活用すれば、退職・休職して学業への専念も夢ではありません。
奨学金の選び方や、自分にはどれが一番合っているのか知りたい人は、別記事「おすすめの奨学金/状況や環境に合わせた正しい選び方」もあわせてご覧ください。
※記載されている内容は2024年9月現在のものです。